2020/12/29:和歌山沖の深発地震で異常震域発生。福島・茨城・浦河沖でも小規模な地震
2020/12/29は和歌山県南方沖の深さ440kmを震源とする深発地震が発生。これによって北関東の一部〜東北地方で異常震域が発生し、揺れが観測されたのは宮城県・福島県・茨城県・栃木県などとなりました。また別途、福島県沖・茨城県南部・浦河沖でも小規模な地震が発生しました。
それぞれを時系列で列挙すると次の通りです(最新順)
発生日時 | 震源 | 震度 | 規模 | 深さ | 北緯, 東経 |
---|---|---|---|---|---|
2020/12/29 17:09頃 | 浦河沖 | 1 | M3.5 | 約70km | 41.6, 142.1 |
2020/12/29 04:24頃 | 和歌山県南方沖 | 1 | M4.4 | 約440km | 33.1, 135.8 |
2020/12/29 04:19頃 | 茨城県南部 | 1 | M2.8 | 約40km | 36.1, 139.9 |
2020/12/29 01:15頃 | 福島県沖 | 2 | M4.0 | 約50km | 37.1, 141.2 |
注目は和歌山県南方沖で発生した最大震度1・M4.4、震源の深さが440kmの深発地震です。
異常震域とは、震源より遠く離れた場所で異常に震度が高くなる現象です。
近年、異常震域が発生した例は他にもあります。
・2019/11/22朝、東海道南方沖で最大震度1, M4.9の地震が発生。
震源の深さは約410kmとなる「深発地震」で栃木県宇都宮市で最大震度1を観測する「異常震域」が発生。
・2019/07/28早朝、三重県南東沖の南海トラフ沿いでM6.5・最大震度4(深さ420km)の地震が発生。
同時に東日本の太平洋側・特に宮城付近で強く揺れる「異常震域」が発生。
・2019/7/13にも奄美大島北西沖で起きたM5.9の地震
岡山あたりに異常震域と見られる震度分布を発生。
・2018/12/10の00:22頃、三重県南東沖を震源とした震度2・M5.3の地震
揺れたエリアが三重県からはかなり距離がある関東地方で、最も震度が大きかったのは栃木県。
・2007/7/16には京都沖の日本海で起きた深発地震
京都では小さな震度でしたが、距離的に遠い北海道では大きな揺れを観測。
逆にプレート境界をまたいだ中京関西地方や中部地方での揺れは小さかった。
異常震域の発生は決して稀有な現象ではないので必要以上に不安を感じる必要はありませんが、これを機会として備災・防災用品の確認や備蓄品の補充などをおこなっておきましょう。
和歌山県は南海トラフ巨大地震の想定震源域内に位置しています。このあたりでの地殻の活動は現在も活発に続き「ひずみ」を蓄積し続けていると言われます。
特に、南海トラフにおいて海側プレートと陸側プレートが地下で接し動いている部分にあると見られる「固着域」には、定点的に強く固着している部分と広範囲に渡って弱く固着している部分がありますが、弱い固着域部分では継続的なスロースリップ現象が観測されています。
弱い固着部分で破壊が起きるたびに体感できる地震が発生すると考えられますが、気にしておきたいのは沖合にある強い固着域のいくつかです。ここのひずみが限界を迎えて連鎖的に破壊されたときは、より大きな地震が発生する可能性があります。
南海トラフ巨大地震の発生時期に関しては、現時点では科学的に確度の高い予測は不可能というのが実情ですが、確率論的には今後30年以内の発生確率は70%、さらに50年以内まで範囲を広げると90%という高い数値となっています。
ただし、ネット上の情報に関して特に極端なもの(「X月X日に起きる」という予言的な話し等)については、必ずその情報源が公式なものか、科学的な根拠にもとづいたものかどうかを確認してください。オカルトネタ的なものに関しては「そういう話もある」という程度の受け取り方で構いません。
その上で、こうした小規模な地震は「備えのキッカケ」として活用しましょう。他の地域の方も今のうちに改めて防災用品や備蓄品の用意と、ご家族との緊急連絡手段や連絡先・集合場所などを確認しておいてください。
重要なことは「いつ起きるか・どこで起きるか」ではなく「起きたときに備えがあるか」です。防災よりも「備災」を念頭においた行動を。
この日、他に発生した有感地震(主に記事公開後)
あああああ