トップ レビュー 実践・野外でポータブルトイレを「大」を含めて実際に使う!

実践・野外でポータブルトイレを「大」を含めて実際に使う!

災害時の備えにもっとも必要なものは、食料備蓄よりも「簡易トイレ」と言っても過言ではありません。過去の大震災でも「困ったこと」の上位になっていたのがトイレ問題。しかし次の震災が起きた場合、また同じことが繰り返される可能性が。解決するには机上の空論よりも、実践あるのみです。

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災害時や野営での最大の課題は「トイレ」

阪神淡路大震災・東日本大震災・熊本地震など、これまでの大震災で毎回必ず問題になってきたのが「トイレ」です。

いまでは日本全国津々浦々まで当たり前のように下水道が敷設され、用を足した後は清潔な水洗式によってすぐにウンチやオシッコともオサラバ。お尻を洗う便利なシャワー機能までもが当たり前となりました。

しかしひとたび大震災が起きて断水すれば、水洗トイレの機能は完全に停止します。公衆トイレなどでは流れていかず山積みになるウンチ、漂う悪臭、そして悪化する衛生環境。

そんな問題に備えるため、現在では様々な簡易トイレやポータブルトイレが販売されており、実際に購入している方も多いでしょう。しかし、

それ実際に使ったことありますか?

通販サイトのレビューを見ると「防災用に購入しました。実際に使う状況にならないことを祈ります」といったコメントを散見します。でも実際に使ってみないとわからないのも現実。簡易トイレを野外で使うことになる場合はなおさらです。

そこで今回、編集部ではトイレや水道設備の無い場所へポータブルトイレと簡易水道として使うための水タンクなどを持ち込み、野営スタイルとしての「備災キャンプ」を敢行。オシッコもウンチもガチで実践してきました!

備災FUN!』では、次の震災・災害に備える「備災」をテーマに、被災時にも大活躍のアウトドアグッズを日常で活用して「楽しみながら備える」情報をメインに発信しています。

『野営型・備災キャンプ』でトイレを実現

今回のトイレ検証を目的とした備災キャンプは、関東南部・埼玉県ときがわ町で農業を営むかたのご自宅の裏山となっている私有地をお借りしました。立地的には標高700m付近の山林の一角なので、当然ですが上下水道も洗い場もトイレもありません。必要なものはすべて自前で用意して持ち込みました。

キャンプ用の装備としては主に、リビングには虫除け用のフルメッシュ・タープである「NEMO Bugout」と、寝室用には3人用テント「MSR Elixir3」を利用しました。

トイレも水道も無い環境に持ち込んだ「ハードウェア」がこちら。

消耗品類の「ソフトウェア」は、この後でご紹介します。

もっとも重要なものは、このポータブルトイレ。便座の下に黒いメッシュ状のボックスがありますが、ここにセットした黒いポリ袋で「実」を受けます。いわゆる便槽です。

これは無くてもいいかもしれませんが、お腹を壊してしまった際に軟便となる場合、便槽があると「お釣り」の跳ね返りを防げるのではないかという観点からこのタイプを選択しました。製品としてこのタイプのものはいくつかあるようです。

こちらは簡易水道として、20Lの水タンクとシャワー設備。手洗いや洗い物等と、テント内のポータブルトイレと入れ替えて身体の汗を簡単に流す程度のシャワーに使いました。調理用や飲料水は別途用意。

2〜3名程度であれば、生活用水としてそこそこストレス無い範囲で使っても1泊あたり20Lで余りが出ましたが(むしろ贅沢使用です)、災害時はより制限して使うことが必須となります。

ポータブルトイレで野外💩体験の儀、実践編!

では、いよいよ実践してみます。いわゆる「オシッコ」に関する情報は比較的ネット上に存在しますが、ポータブルトイレを使った詳細なウンチ実践編となるとなかなか情報がありません。もうこれはITOITO-STYLE編集部で切り拓くしかない!

これより、備災・防災・キャンプでの野外グソ・エキスパートを目指す覚悟を決めた編集部スタッフ「S」による渾身の野外グソ・ルポをお送りします。

トイレで用を足す際のミニマム状態が「小のみ」であれば、マックス状態は「小 + 腹を下した状態でのリキッドな大」に耐えうる装備と言えるでしょう。であれば、もちろんやるべきはマックス状態向けの実践です。

ポータブルトイレやトイレ用テントがハードウェアなら、こちらは消耗品となるソフトウェア類。それぞれ、

となります。いろいろ検討した上で実践し、これなら「マックス状態」に確実に対応でき、なおかつ廃棄量も最適化されたギア・ラインナップであると自信を持ってお伝えできます。

もちろん、トイレットペーパーと除菌ウェットティッシュも忘れずに。

使用前の仕込み

ではさっそく、ウンチ💩1回分の装備を仕込みます。予め数セット作っておくと便利です。

基本は黒いポリ袋。小さめサイズだと便座を包み込めない可能性があるので大きめが良いでしょう。編集部では45Lサイズを使いましたが、これだと高さが余分に大きめでした。

ウンチの際には同時にオシッコも伴うことが多いと思いますが、まずはオシッコ用に高吸水性樹脂を投入します。量は2g程度で十分でしょう。写真ではわかりやすいように多めに入れています。

確実にウンチ100%で運用するなら、高吸水性樹脂は不要です。健康的なかたさのウンチの場合、高吸水性樹脂が吸収する水分がほとんど無いため役に立たないからです。

高吸水性樹脂の後は、便受けとなる古新聞紙をちぎったものを。特にお腹を壊して軟便状態になっている場合、「お釣り」が跳ね返る可能性を小さくするクッションの役目となります。

使う量は、新聞見開きサイズの1/4〜半分程度で十分です。古新聞紙を多く入れた場合、トイレを使う回数が増えると使用後に袋を縛って密封しても意外とかさばることになります。

準備完了。ポータブルトイレにセットしていきます。右に見えるのは「ペール缶」。用を足し終わって密封したゴミ袋を格納します。

災害時に在宅避難とする場合は、同様にしてご家庭のトイレに同じものをセットします。

特に大震災の場合、自宅やマンションなどの排水管が破損している可能性があるので、その無事が確認できる前に(バスタブに溜め置いた水など)うかつに水を流すと、階下のお宅や部屋に汚物と汚水が流れ込む危険性があります。

トイレ用のテントにポータブルトイレを設置し、用足し1回分の準備をした黒ポリ袋をセットします。

用を足す直前の状態です。写真は上がお尻が位置する後ろ側、下は前側です。

この際のちょっとしたコツとして、ウンチ受けクッションとなる新聞紙は後ろ側に寄せ、オシッコを受ける高吸水性樹脂は前側に寄せておくとより効果的です。

あとはテントを閉めて、思う存分・心ゆくまで用を足しましょう。

キャンプでポータブルトイレを使う場合、テントからさほど遠くない場所にトイレテントを設営することになりますが、用足し中の「音」が気になる場合はラジオやスマホを持ち込んで、周囲の迷惑にならない程度の音量で音楽を流しておくなどの対策もいいと思います。

そして忘れてはならないのがトイレットペーパーとウェットティッシュ。水洗トイレに流すわけではないので、使ったら使っただけ持ち帰ることになります。

用を足した後のアフター・ケアでは、できるかぎり少量で対応できるようにすると、最終的な廃棄物の量を減らすことに繋がります。

用を足した後の廃棄・保管方法

さて、用を足し終わりました。黒ポリ袋をポータブルトイレから取り外し、できるかぎり空気を抜いて、クチを縛ります。

これをいかに小さくするかがポイントです。写真は、編集部スタッフが実際に用を足した直後。もちろん「💩」です。////

「実」が入った黒ポリ袋を空気を抜いて小さくして縛ったあとは、それを「防臭袋」に入れます。一般的なポリ袋ではウンチのニオイ成分を時間経過と共に通してしまうので、防臭効果はほぼありません。

その点「防臭袋」であれば、100%ではありませんが時間と共に透過していくニオイ成分を極限まで抑え込み、菌なども通さない素材の構造になっているので、災害用やアウトドア用のポータブルトイレにマッチするというわけです。

最後に防臭袋の空気も抜いて、クチをしっかり縛りましょう。その際は不必要なチカラを入れて袋が破れたりしないよう、ご注意を。

あとはトイレ用テントの横や後ろに設置したペール缶に、防臭袋に入ったモノを入れて用足し終了です。

ペール缶にはあらかじめ、大型のゴミ袋をセットしておくと良いです。このまま燃やすゴミ用の袋に入れて、燃やすゴミの日にゴミ収集に出すことができます。

しかし、人間というものは飲み食いしたものはキッチリと出てくるものです。普段は水洗トイレやシャワートイレを利用しているのでまったく意識しませんが、ウンチやオシッコをトイレットペーパーやウェットティッシュ、高吸水性樹脂などと合わせて保管するということをやってみると、「いかに出しているか」を痛感します。

キャンプでポータブルトイレを使う場合は、廃棄するモノを持ち帰るためにフタの付いたペール缶があると安心です。フタを乗せた後にリング状のフタを閉めれば撤収準備完了。

このペール缶は20Lサイズで、密封できるフタ付きのもの。今回、1泊2日の備災キャンプにおいて2名でトイレを実践的にガンガン使った結果、使用した黒いポリ袋は15枚

成人男性の場合、排尿は1日あたり平均約6〜7回・排便は多い人で3回と言われますので、おおむねその通りの使用率となったと見ていいでしょう。

実際の災害時に備えるには、最大2週間分の排泄物を保管しておかねばならないので、より大型のポリバケツなどを準備しておくことになります。

フタを閉めた状態です。ガッチリ固定&密封され、万が一、中のビニール袋が破れていたとしても実・ニオイともに漏れ出す可能性は低くなります。

野外でポータブルトイレを使って廃棄物を持ち帰る場合は、こうした「ハードケース」類は必須です。トイレと共に準備しておきましょう。

収納時のサイズ感はこの程度です。身長168cmの女性が肩掛けしたところ。

今回使用したogawaのポータブルトイレを撤収時に付属のソフトケースに収納するところです。実際に使ってみましたが、構造もシンプルで扱いも簡単。慣れてしまえばとても快適でした。

おまけ

今回の野外トイレ検証で、手洗いや洗い物、汗を流すための簡易シャワーとして採用した仕組みです。20Lサイズの水タンクと、手動ポンプ式のシャワーユニット

使い方も簡単です。手動ポンプ付きシャワーを水を入れた水タンクの小さいクチにねじ込んでセットします。このとき、水タンクの上部にはある程度空気が残るようにしておきます。

それからポンプをシュコシュコと何回か押し込むと、水タンク内が加圧されていきます。水タンクから空気漏れが無いようにしっかりキャップを閉めて(締めて)おく必要があるのですが、あまり強く締めすぎるとキャップの破損に繋がるので適度なところにしておきましょう。

あとはシャワーのコックをひねれば水が使えます。ちゃんと加圧しておけば、まずまず実用レベルで使えるので、ポータブルトイレの相棒としてだけでなく、夏場のキャンプや海水浴などにも便利です。それ以外の用途としては、洗車や園芸用などにも便利に使えそうですね。

電源不要で使えるというのは実際のところかなり重宝します。キャンプにせよ防災用にせよ、バッテリーなどの電力がある場合は通信手段や夜間の灯りなどの用途が優先されるので、それ以外の用途では極力電力の使用は控えたいところです。

野外にポータブルトイレを設置して利用する場合、このようにトイレのすぐそばで清潔な水を使えるようにしておくと良いでしょう。特に、利用者に女性やお子さんなどが含まれる場合は必須となります。

まとめ

今回、実際にポータブルトイレを野外に持ち出して実践的に活用してみたわけですが、感想としては「とても便利かつ、実用的である」となりました。これは編集部の女性スタッフも同じ感想を述べています。

あくまで災害用の備えであれば、ポータブルトイレはとりあえず見送って、高吸水性樹脂や防臭袋、廃棄物を保管するための大型ポリバケツなどを準備しておけば、もし次の大震災が来た場合に自宅が全壊せず無事であれば、「在宅避難」として自宅のトイレで活用することができます。

ポータブルトイレを災害用に準備しておけば、自宅が全半壊しても自宅敷地内に家族用のトイレを用意できるため、復旧までの間の衛生環境をだいぶ担保できるはずです。

その場合、本格的なポータブルトイレ以外の簡易的なダンボール製のものでも、非常時用には十分機能してくれるでしょう。

そしてキャンプをされる方、特にファミキャン派であれば、ポータブルトイレは備えておいて絶対に損のないどころかメリットしか無いギアだと思います。特に大型連休などの混雑時期には、高速道路のSA・PAのトイレやキャンプ場のトイレも混雑します。

また、敷地の広いキャンプ場だと設営サイトからトイレまで遠いことがあります。連休に人気の大型キャンプ場を利用した際に、トイレまで長々と歩いた先に行列ができていると、特に女性の場合は深刻です。

公衆トイレの多くは男女それぞれ同じ面積で作られていることが多いのですが、女性の場合は個室利用が前提となるので、同じ面積のトイレでは利用できる人数が女性のほうが少なくなってしまうのです。

そして統計的に、女性のトイレに掛かる時間は男性の2.5〜3倍と言われます。これが、女性トイレで行列ができる大きな要因となります。

もちろん、本来トイレではないところにトイレを持ち込んで用を足すという、要は「最初の1歩」を踏み出すメンタル的なハードルの高さを乗り越える必要はありますが、ITOITO-STYLE編集部の女性スタッフでも実際に乗り越えた部分です。実際に体験してしまえば、以降はメリットしかありません。

だからこそ、必要な時にすぐにトイレが使える状態にあるというのは、様々な点でストレス軽減にもつながります。

キャンプや防災視点におけるトイレは、「すでにあるトイレへ行って利用するもの」から「みずからトイレを設置して利用するもの」へ考え方を転換してみると、トイレ問題の解決へとつながっていくことになると感じます。

通常、記事中でご紹介している商品などを必要以上に推すことはありませんが、今回だけは推します。ポータブルトイレと周辺グッズ、買っておきましょう !!

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