トップ レビュー 【レビュー】被災時のミニ仮設住宅にも!?爆速設営・お座敷ロッジ型「コールマン インスタントテント8人用」

【レビュー】被災時のミニ仮設住宅にも!?爆速設営・お座敷ロッジ型「コールマン インスタントテント8人用」

キャンプで快適なテント内の「お座敷スタイル」。チェアを使わないベタ座りやゴロ寝も可能な極楽テントライフが楽しめます。フルクローズできるロッジ型で、なおかつ超短時間での設営が可能なコールマンUSAの「インスタントテント」を実際に購入・お座敷スタイルで使用してみました。震災などの被災時には自前の「ミニ仮設住宅」としても転用可能!?

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ロースタイルからお座敷スタイルへ

近年のキャンプシーンで盛り上がりを見せていた低めのギア類で統一する「ロースタイル(Low Style)」から、靴を脱いでくつろぐ「お座敷スタイル」が新たな盛り上がりを見せています。

特に冬キャンプではワンポールテント内をお座敷スタイルにして薪ストーブを設置し、ヌクヌクとした時間を過ごされる方も多いのではないでしょうか。

リビングが土間形式の2ルームテントなどでもリビング部分の地面にグランドシートを敷き、その上に厚手のアルミマット → インナーシート → ラグなどの構成にしてお座敷状態を作り出すことが可能です。

お座敷スタイルでのキャンプを実際にやってみると、老若男女を問わずゴロゴロできて実にラク。就寝スペースまでお座敷にしてしまえば、食べて飲んで楽しんで、眠くなったらそのままシュラフ・インという快適さ。

より快適なお座敷空間を実現するにはテントもそれなりに大型のものを選んでみたかったりするものですが、大型になるほど設営と撤収に時間がかかったりするもの。特に寒い季節のキャンプであれば、設営・撤収に時間がかかるほど身体が冷えていきます。

編集部では設営担当がギックリ腰による腰痛持ち。「設営に時間がかかるとコシがツラい!最近2ルームの設営もキツイ!でもデカいテントでお座敷キャンプやりたい!」ということで、白羽の矢が立ったのが並行輸入品の「コールマン インスタントテント8人用(Coleman 8-PERSON INSTANT CABIN)」。今回は、このテントを徹底レビューしてみます。

備災FUN!』では、次の震災・災害に備える「備災」をテーマに、被災時にも大活躍のアウトドアグッズを日常で活用して「楽しみながら備える」情報をメインに発信しています。

コールマン・インスタントテント8人用の特徴

・幕体とポールが一体型の「ワンタッチテント」に似た構造で、1〜3分程度でペグダウン前の状態まで展開可能
・テント内の端も立って歩ける広々空間。中央の高さが2m以上・床面積は約3.0m x 4.2m
・ポールの接地部分にペグダウン用のループを使って、テントそのものをペグダウン可能

・「WeatherTec™ System」という特許取得済の幕体接着型のフロアと裏地シーム加工により防水性が高い
・フルクローズ可能ながら4方向すべてに大きめのメッシュウィンドウを装備、虫の心配も不要
・内部を2ルームに分割可能なカーテン付き
・ルーフフライシートは別売オプション(テント本体のルーフ部分にはベンチレーターは無し)
・専用のソフトケース付き、重量約19kg。収納サイズは120cmで30x30cm。コンパクトカーにも積載可

幕体を構成する生地素材の「Polyguard 2X™ double-thick fabric」については、商標登録を意味する “TM” が付いているのでコールマン独自のもののようですが、調べてみたものの「Polyguard 2X」そのものに関する情報を見つけることができませんでした。

表記を素直に解釈すれば、アウトドア用途に開発されたポリエステル素材ベースの二重厚構造のテント生地、ということになるのでしょう。

インスタントテントの製品ラインナップ

現在コールマン製品に限れば、日本で入手可能なモデルは収容人数に応じて4人用・6人用・8人用あたりとなります。

人数表記に関しては、フロアにシュラフを並べて概ね快適に寝られる最大人数なので、快適なリビング空間を用意しようとすれば6人用モデルで収容人数は半分以下が目安。

4人用ならちょっと狭そうですがソロ〜2人、6人用なら3名以下、8人用なら4名以下と考えていいでしょう。

コールマン以外では、Ozark Trailのものがチョイスできます。こちらはかなり安価に入手可能ですが、編集部では未導入です。

対応シーズン

オフィシャルな情報としての対応シーズンが明記された情報は見当たりませんが、基本的に欧米を中心とした市場がメインで日本国内での取り扱いが無い並行輸入品であるため、対応シーズンに関しては欧米の気候に合わせた製品として見ることができます。

その上で日本国内の気候と編集部スタッフが実際に使用した経験から考えると、季節によっては工夫が必要なものの冬を含めた通年の4シーズンで、お座敷スタイル用として使用可能です。

幕体の生地素材は気候条件によっては結露するポリエステル系ですが、工夫次第では冬でもほぼ結露無しで使えます。

●春と秋
何らの問題は無いでしょう。メッシュウィンドウを活用したテント内の温度調整で快適。
雨予報でなければルーフフライは無くてもいいですが、あれば心配ありませんね。

●夏
4方向のメッシュを全開にして風通しを確保、必要があればアウトドアでも使える小型のサーキュレーターなどを併用。
出入り口のジッパーを閉めれば、アブやブヨなどの虫も入ってこられないので女性にも安心。
テント本体の天井部分にベンチレーターが無いため、上方からの太陽熱を遮るために木陰やタープ下での設営(オーバースペックですが)が好ましい。ルーフフライは必須です。

●冬
メッシュ部分は換気用に程度にオープン、地面からの冷寒気を防ぐために厚手のアルミマット等を敷いた保温レイヤリングを。
暖房は石油ストーブかカセットガスストーブで。ポリ生地のフロアがあるので 薪ストーブの利用はオススメできません 。使用する場合は自己責任で安全策をしっかりと。

冬場は特に結露対策が必要となってくるので、こちらの記事を併せてご覧ください。編集部スタッフは冬キャンプでこのテントを利用し、こちらの結露対策を実際に施して、結露無しの快適なお座敷スタイルの冬キャンプを堪能しています。

【関連記事】冬キャンプで悩ましい「テント内の結露」対策の決定版!?

設営方法とお座敷づくり

では、さっそくテント自体と実際の利用シーンなど各種の写真を交えてご紹介します。

設営編

本体と、別売りのレインフライ。本体の収納サイズは120cm x 30cm x 30cmです。

収容人数とサイズ、収容人数の表記。

コールマン独自のウェザーテックシステム。「エンハンスド・ストーム ・プロテクション」の文字が頼もしい。

さっそく設営です。グランドシートはジャストサイズが無いので、一回り小さめの2.7m x 3.6mのブルーシートを使います。

ソフトケースから出して展開開始。高さのあるロッジ型なので、風をうまく流す向きに設営します。入り口となる大きな両開き式のある面を風下にしつつ、風上→風下に対してはテントの対角線がくるようにします。「風上→♢→風下」という形です。(♢がテント。□ではなく斜めに傾けた♢です)

なおテントの前後が解りづらいので、マジックペンなどでポールに印を付けると扱いやすくなります。

ポールの関節を展開・伸ばします。まずは上の方から。この時、ポールがねじれないように注意します。ガイロープはテント側に予め付いています。
風がある場合は、風下側のポールから立てていくといいでしょう。各ポールの接地部分にはペグダウンできるループがあるので、1人で設営する場合はペグを仮打ちするとやりやすいです。

上側のポールをざっくり展開。ここから横側のポールも全て伸ばしていきます。この時も、ポールがねじれないように。ねじれると、ポールが伸び切った際にバネでセットされるストッパーが正しい位置にセットされなくなります。。

とりあえずペグダウン前の状態に。ここまで早ければ1分、のんびりやっても3分です。ここまで来たら、内装に着手できます。

ガイロープを張ってペグダウン。レインフライはまだ被せていませんが、テント本体の設営はこれで完了。

あとはサクッとレインフライをセット。テント本体のポールにワンタッチで取り付けられ、なおかつペグダウンも可能。ガイロープは、あらかじめテント本体のポールに6本、レインフライに6本がセットされているので、合計12本でガッチリとテントを固定できます。

無風か弱風なら、ペグは1本につき同じ位置のテントからのロープとレインフライからのループの2本をセットすると楽。多少強風の場合は、長めの鍛造ペグなどでロープ1本あたりペグ1本使うといいでしょう。

設営が完了したら、キャンプライフのスタートです。

内装編

設営直後のテント内。フロアとウォール部分は一体縫製で防水加工がされています。4面すべてがジッパー形式のメッシュウィンドウにもなり、フルクローズできるのに開放感があります。

テント内は、ちょうど中央に2ルーム化できるカーテンがルーフ部分にあらかじめ用意されています。仕切りたければ上から下ろして、両端を固定するだけです。

2ルーム化してみた状態です。カーテンで簡易的に仕切るタイプとなっています。この状態だと、3m x 2mサイズの区画が2つできます。

オススメできるスタイルとしては、2ルーム化するカーテンは使わず、ぶち抜きで広々使う形。リビング部分にはラグを敷いてテーブルをセット。就寝エリアにはシュラフを用意し、お座敷ゴロ寝スタイルの完成。

手前のテーブルは、コールマンの「ナチュラルウッドロールテーブル」。長辺112cmあるので、大人6人程度の宴会にも快適なテーブルです。

就寝エリア側からリビングを。広々空間です。サイドはすべてメッシュにもなるので、暖かい時期はオープンな開放感を堪能できます。

奥の棚は、コールマンのフィールドキャビネット。高い収納力で散らかりがちなテント内をいろいろとスッキリさせてくれます。こちらはまた別途レビュー記事を提供予定です。

冬キャンプであれば、就寝エリアにも厚手のレイヤリングを。テントフロアの上には、インナーシートと厚手のアルミマットにエアマットを接地しています。

ルーフ部分。ライトなどを取り付けられるループと、2ルーム化できるカーテンがあります。カーテンを巻き込んでいる部分には、ちょっとした小物が置けたり。天井がとにかく高いので、腰を屈めて移動する必要がなく、腰痛持ちにも快適な空間作りが可能です。

サイドはメッシュにできます。かなりの面積がメッシュ化されているので、フルオープンにするとスクリーンタープ状態になります。

ジッパー式のメッシュウィンドウ。垂れた生地部分を向こう側に巻き込めば、コンパクトに収まります。

こちらはジッパー式かつ、上部をストッパーで留めるタイプのメッシュウィンドウ。天井部分のベンチレーションが無いぶん、サイドは充実しています。

メッシュウィンドウから見るレインフライ。「庇(ひさし)」状態になっているので、多少の雨ならベンチレーションできる程度にジッパーを閉じればOK。

テント内の長辺方向に1つづつ、合計2つのポケットがあります。スマホなどの小物入れに。

欧米での評価

欧米ではユーザーも多く概ね高評価ですが、米国amazonやWalmartなどのレビューなどを見ていて気になる点は「床に穴が開く」「雨で浸水する」などのユーザーの声です。

Youtubeなどでもコールマンのインスタントテントのレビュー動画を観ることができますが、そこで気が付きました。欧米ではこのタイプのテントも「土足」で使うんですね。

「Polyguard 2X™ double-thick fabric」というアウトドア利用が考慮された素材を使っているとは言え、土足で入った人間の靴の裏に石などが挟まっていた場合、フロア生地は相応のダメージを受けることになるでしょう。

また8人用テントの場合は、キングサイズのエアベッドをはじめ、様々な生活用品を設置しているケースも見受けられます。フロア生地があるテントを手荒に扱った場合に破損するのは、どのようなテントでも同じことです。

その点、日本人の入り口で靴を脱いで入る「お座敷スタイル」でこのテントを利用することは理に適ってますし、生地が破損する要素も少ないと考えていいでしょう。

使用時の注意点

テント内では土足での利用は避け、チェアやコットをテント内に入れる場合は、脚部の設置面によってテントのフロア(床面)生地が傷つかないような対策が必要です。

耐風性に関しては、ロッジ型である以上ドーム型や一般的な2ルームには敵いません。ある程度の強風時は風向きに対してはテントの対角線を平行にしてテントの角を風上に向け、ポールをしっかり広げつつペグダウンを。編集部での検証において、一応風速4〜5m予報時の使用に問題はありませんでしたが、風速5mを超えるような天候の場合は使用を中止したほうがいいでしょう。

収納時サイズの最大長が120cmあるため、ほぼオートキャンプ専用です。購入する場合は、車の積載スペースの事前確認を。また収納時の重量は約19kgあるため、腰痛などの持病をお持ちの場合は持ち運びの際に注意してください。

並行輸入品としての取り扱い上のメモ

本製品は2018年1月現在、コールマン・ジャパンでの正式な取り扱いはありません。入手したい場合は、並行輸入品として扱っている業者から購入することになります。その際に心配となるのが保証や初期不良時の返品交換について。

この「コールマン インスタントテント」のシリーズ自体は比較的多くの業者が取り扱っていますが、編集部の調達先はamazonです。特にamazon自身が販売・発送するものに関しては、並行輸入品であっても初期不良時の交換や返品は迅速で、サポートにはいつでも繋がります。

今回、実際に初期不良でポール部分の取り付け不具合があり、サポートに連絡したところ即日交換手続きがなされ、翌日には交換品が届くという迅速な対応でした。

このテントや購入先に限らず、並行輸入品を購入する際は初期不良対応がどこまでの範囲になるのかの確認と、納品時はすぐに検品することをオススメします。

まとめと総評

大型でインスタント形式であるため「床壁一体型でフルクローズできる大きめのテントが、極めて短時間で簡単に設営・撤収できる」という点は何よりのメリットです。

ワンタッチテントに似ていますが「ワン・アクション」ではなく、設営・撤収時は6本あるポールをそれぞれ伸縮させる程度の作業は発生します(ゆえに「インスタント」というカテゴリになるのでしょう)。

実際に設営撤収を繰り返してみて実感したのは、作業分担による効率化とキャンプライフを開始するまでの時間の短さです。

最初の数分でテント本体を展開した後は、ペグダウンとガイロープ張り、ルーフフライシートを取り付ける作業と、テント内の生活空間をつくる作業とを分けて同時進行できます。

ファミリーキャンプであれば、お父さんが最初の2〜3分でテントを展開したら、そのままペグダウン等の作業へ入ると同時に、お母さんとお子さんでリビングや就寝スペースの準備を開始。ガイロープを張り終わったお父さんがその後で内部作業へ合流、合計15〜20分程度で設営完了、といったスタイルが十分可能です。

編集部の女性スタッフの談としては、「冬キャンプだとクッカーやシュラフなどのギア類を準備する多くの作業が、テント内で座ったまま出来るのが寒くなくてラク」とのことです。

難点としては、生地素材が結露しやすいポリエステル系のため特に冬キャンプであれば結露対策が必須ですが、ポリエステル生地のテントは珍しいものではありまぜん。結露対策さえしっかり押さえれば、冬キャンプでも快適に過ごせることは編集部でも確認済みです。

また、薪ストーブの幕内設置には構造的に不向きです。暖房手段は薪ストーブ以外(石油ストーブやカセットガスストーブなど)が選択肢となります。電源サイトであれば、ホットカーペットと電気ヒーターを利用すれば結露の心配も無く快適に過ごせるはずです。

ワンタッチ形式のテントの有力選択肢と言えば、国内ではドッペルギャンガーアウトドア社の製品ですが、まだ「床壁一体型」の大型サイズのものは本記事執筆時点では存在していません。

また、基本的に欧米仕様のため細部の使い勝手などは「いわゆる大味」的な部分は否めませんが、実際に使ってみた感触としてもこのタイプの簡単設営テントとしてはかなり便利かつ快適であり、特にお座敷スタイルのファミリーキャンプには良い選択肢です。なお、ファミキャンの場合は家族3人だと6人用は狭いと思いますので、やはり8人用がオススメです。

熊本地震などでは各アウトドアメーカーやショップの協力でテントが提供され、コールマン・ジャパンもテント提供を含めた様々な支援をおこなっています。またアルピニストの野口健さんは大きな被害が出た熊本県益城町に自主的に乗り込み、日本初の「テント村」を1カ月半にわたって運営。自治体による対応の立ち上がり期にボランティア有志として必要な物資・人材提供などの支援をおこなっています。

また過去の大震災では手持ちのキャンプ道具をフル活用して、避難所には入らずに自宅敷地内などで被災直後の初動を乗り切った方々の話しも多く目にします。今後発生が確実視されている南海トラフ巨大地震や首都直下型地震に備えるためにも、テントを始めとしたキャンプ道具を揃えておくのは「備災」の観点からも有効な手段と言えます。

(※ なお、今回はコールマン製品のご紹介が多くなりましたが、すべて編集部で実際に購入したものであり、コールマン社から提供を受けたものは1点も無いことを最後に付け加えておきます)

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