トップ 読み物 【コラム】相次ぐ大震災に火山噴火。南海トラフ巨大地震・首都直下型地震の「X-DAY」は!?

【コラム】相次ぐ大震災に火山噴火。南海トラフ巨大地震・首都直下型地震の「X-DAY」は!?

2011年の東日本大震災は「1000年に1度の巨大地震」と言われましたが、思い返せば阪神淡路大震災以降、この20年程度の間には多数の犠牲者を生み出した大震災は幾度も発生しています。近年では御嶽山噴火から4年後に本白根山が噴火、前後して東南アジアやアラスカでも大地震と噴火が発生。そして今後、南海トラフ地震や首都直下型地震が起きる「X-DAY」に備えるには!?

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『超地震大国』である日本列島

「1000年に1度の巨大地震」と表現された東日本大震災。

たしかにマグニチュード9クラスを基準とすればそう言えるのかもしれませんが、ここで1900年以降のおよそ100年間で発生したマグニチュード6以上の大きめの地震を見てみましょう。

およそ100年間で160回近くの地震が発生しています。単純計算しても実に1年に1回以上のペースで発生していることが判ります。そして震源は北海道から沖縄までと、ほぼ日本全域に渡ります。

もちろんこの一覧の中には、阪神淡路大震災や新潟県中越地震、東日本大震災・熊本地震・鳥取県西部地震なども含まれます。

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2016年には熊本地震が発生しましたが、それまで熊本県は「過去120年間、M7以上の地震の発生していない安全地帯」と銘打って東日本方面などからの企業誘致を進めてきたところに、突如として襲いかかった大地震でした。

東日本大震災に関しては事前に前震とみられる地震はあったものの、科学的根拠に基づく研究をおこなっている範疇においては精度の高い発生時期の予測や、まさかマグニチュード9という巨大地震になるという想定はほぼ不可能だったというのが現状に置ける総括と言えます(予言などのオカルトや疑似科学等の範囲を除く)。

超地震大国だけでない『火山大国』日本

事前の予測が難しいものと言えば、火山の噴火があります。近年では2014年の長野・岐阜にまたがる「御嶽山」の爆発的噴火と、2018年の群馬県の本白根山の噴火です。

御嶽山のマグマ噴火は5000年前・本白根山の噴火は3000年前だったということもあり、技術的にも研究予算的にも制約のある今の火山観測の枠組みにおいては精度の高い噴火予測はなかなか難しいものがあります。

ご存知の通り、日本には富士山を始めとした活火山が多く存在します。火山噴火予知連絡会は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と定義していますが、2017年の時点で活火山と認定されている山の数は、なんと「111」箇所となっています。

気象庁が発表している日本の活火山のに関する資料があります。

画像出典:気象庁「我が国の活火山の分布

こうして見る限り、もはや超地震大国であり火山大国でもある日本では、地震や噴火災害に対して抜本的に安全な場所は存在しません。

東日本大震災以降、日本の火山は活動期に入ったと言われています。

※「日経スタイル」より「日本の火山、活動期入りか 震災後に各地で活発

また、日本を含む世界へ目を向けた場合、「環太平洋火山帯(環太平洋造山帯):Ring of Fire」というものがあります。これは太平洋の周囲を取り巻く火山帯のことで、火山列島や火山群の総称です。

画像出典:Wikipedia「環太平洋火山帯

ニュージーランドから東南アジア・日本・アラスカ・北米から中南米沿岸にわたって広がる、長大な火山帯となっています。2018年1月は特に、この火山帯の動きが極めて活発になっている点が揚げられます。

この環太平洋火山帯に属する各国で、2018年1月に発生した地震を時系列にしたものが次のリストです。(12月のNZ含む)

2018/12/08:ニュージーランド:M5.9
2018/01/04:サンフランシスコ沿岸:M4.4
2018/01/10:ホンジュラス沖:M7.6
2018/01/11:ミャンマー:M6.0
2018/01/14:ペルー沿岸:M7.1
2018/01/17:台湾:M5.7
2018/01/19:メキシコ:M6.3
2018/01/21:南米チリ沿岸:M6.3
2018/01/22:フィリピンルソン島噴火
2018/01/23:インドネシア:M6.0
2018/01/23:本白根山噴火
2018/01/23:アラスカ:M8.2

1ヶ月の間にこれだけ発生していると、ちょっと不安になりますよね。

地球科学の学説で「プレートテクトニクス理論」というものがあります。地球の表面は「プレート」と呼ばれる複数の固く広大な岩盤で構成されており、このプレートが海溝に沈み込む事で、プレートの下で対流するマントルに乗って互いに動いていると説明されてます。

画像出典:気象庁「地震発生のしくみ

奇しくも日本列島は、北米プレート・ユーラシアプレート・太平洋プレート・フィリピン海プレートという4つの巨大なプレートがぶつかり合う、極めて特殊な場所に位置しています。国土面積的には比較的小さな日本に、先述の活火山が111も存在する理由はここにあります。(日本の国土面積は、世界の陸地面積の0.25%しかありません)

そしてこの小さな国土において、世界で発生する地震の10%が集中しているのです。

元白根山の噴火で気になったのが、あのあたりの火山の分布状況とプレート境界にも位置しているフォッサマグナの関係、そして箱根山と富士山。

2014年に噴火した御嶽山、そこから4年後に噴火した本白根山、2015年に活動が活発化した箱根山と、今は静かに眠るも活火山である霊峰富士。これらの火山が構成するトライアングルの中心には、大火山群である八ヶ岳が位置しています。

こうなってくると、私たち日本列島に住む人間として気になるのは「次の噴火や大震災はいつどこで起こるのか?」という1点でしょう。

「X-DAY」は間近か!?気になる南海トラフ巨大地震と首都直下型地震

近い将来に発生が危惧されているのは、ご存知の通り「南海トラフ巨大地震」と「首都直下型地震」です。

近年の地震予測研究においても、もはや「いつ起きるのか?」ではなく「必ず起きるため、どう備えるのか」という段階に入っているわけですが、大変残念なことに南海トラフ地震に関して検討を続ける国の中央防災会議の作業部会が2017年の夏に、「現在の科学的知見では地震発生時期の確度の高い予測は困難」とする最終報告をまとめる事態となっています。

実用化されている「緊急地震速報システム」では、通知が地震の本震が始まる数秒前〜数十秒前であるため、この速報を受けてから実行できることは極めて限られているのが現実です。

そのため、各種研究機関から民間団体・個人にいたるまで、多くの人々が様々な手法で来るべき次の大震災を予知予測しようとしています。

いわゆる「X-DAY」と表現される南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の発生期日に関しては、言ってしまえばすでに結論は出ています。先述した「現在の科学的知見では地震発生時期の確度の高い予測は困難」が答えです。

しかし、すでに発生した大震災について言えば、阪神淡路大震災のX-DAYは1995年1月17日、東日本大震災のX-DAYは2011年3月11日として明確に記録されています。

つまり「X-DAY」が実際に到来した経験を、今を生きる多くの日本人がすでに持っているということになります。これを次に活かさずして何を活かすというのでしょうか。

もう1つ明確になっていることは、「いつ起きるのかではなく、必ず起きるためどう備えるのか」という点です。想定される被害規模も大きなものなので、政府や自治体の対応に期待する前に、みずから備えるという発想が重要です。

「防災」は「災害を防ぐ」と書きますが、地震や噴火などの自然災害を防ぐことはできません。今や「災害に備える・被害を減らす」という意味での「備災・減災」が重要になってきました。

予言などの「オカルトネタ」との正しい付き合い方

科学的研究に限界があるなかで、つい人々の耳目を集めるのが科学の範疇ではない「いわゆるオカルト」の領域にある話題です。たとえば地鳴りや発光現象、動物の異常行動や地震雲などの「宏観異常現象」や「体感による地震予知」など。

それらを100%否定するわけではありませんが、あくまで付随情報として「〜という見方や話題もある(ただし科学的根拠は無い)」という受け取り方をすべきでしょう。

とは言え、話のネタとして面白いのはその通り。ネットやSNSで大震災に関する予言や予知などの情報を検索すれば、すぐに「南海トラフ巨大地震が発生する可能性が高いのは◯月◯日〜△月△日!」「首都直下型地震が起きるのは201x年の晩秋」といった話しが書いてあるページにすぐにたどり着きます。オカルトネタが大好物の編集部スタッフも、興味深く読んでいます。

その手のネタを読んだら鵜呑みにしたり不必要に恐れる必要はありませんが、「良いキッカケ」として使うことができます。

日頃忘れがちな備蓄品の在庫チェックや、家族や親戚、パートナーや友だちなどとのイザという時の連絡手段の確認、避難ルートの再検討などをおこなうためのキッカケにすれば良いでしょう。

まとめ

超地震大国であり火山大国である日本。現代に生きる私たちの中で相応の年齢層であれば、物心付いた頃からの記憶の中に、阪神淡路大震災・新潟県中越地震・東日本大震災・熊本地震・鳥取県西部地震あたりの5つの大震災の記憶があると思いますが、いずれも被災地においては多くの方々が大変な経験をされている事実があり、直接的な被災地から少し離れた地域であっても、停電や物流停止によって生活に影響が出ていました。

そして、それぞれの発生日が「X-DAY」とも言えます。次のX-DAYがやってくることもほぼ確実であるため、その日がいつかどうかを心配する段階はすでに終わりました。明日がその日だとしても、命さえ無事ならその後のために今から準備をすることがもっとも優先度が高いのです。

世界に目を向けると「地震がほぼ起きない国」という場所もあります。ドイツやスイス・スウェーデンなどの欧州圏、オーストラリアやロシア、西アフリカなど。可能であれば将来的に、そうした国々に移住するという手段もあるかもしれません。

もっとも、移住するにあたっては厳しい条件が課せられることが多いため、最低でも英会話力と潤沢な資産は必要になってくるので、一般庶民にはなかなか現実的な選択肢とはなり得ないのも現実です。

編集部スタッフもそうですが、これをご覧いただいている多くの皆さんも、いざという時には日本と運命を共にする・・・ということになると思います。であればこそ、日頃からしっかりと情報収集をおこない、備えておくべきでしょう。

東日本大震災の後、「正しく恐れる」という言葉をメディアなどで目にするようになりました。この言葉は、明治中期〜昭和初期の物理学・地震学の権威で随筆家でもあった寺田寅彦(1878年~1935年)の言葉に基づいた「戒めの言葉」として使われています。

客観的で検証可能な情報に基いて、発生しうる危険性を理解した上で、正しく恐れ、できるかぎり適切と思われる備えをすることが肝要です。備え方は人それぞれにはなりますが、最後に頼れるのは自分自身と家族やパートナーなどの親しい存在、そして地域コミュニティなどの人との繋がりです。

現代は人間関係が希薄で孤独な社会であるという見方もありますが、災害時には人と人とが助け合わなければ厳しい状況を乗り越えにくいものです。そのときのために、今から準備をしておいて損はありません。

まずは備えましょう。
次の「X-DAY」は、明日かもしれないし、来週か、または来月かもしれません。

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