大容量ポータブル電源『BLUETTI AC100 1000Wh/600W』を徹底レビュー!
近年ユーザーが急増している「ポータブル電源」。屋外や停電時にも家電製品が使える大型バッテリーとして以前からアウトドア派に人気がある製品で、特に近年は災害対策として購入するユーザーが増えています。
今回は「BLUETTI」日本公式、パワーオーク株式会社さんから『BLUETTI AC100 1000Wh/600W』という大容量モデルをご提供いただいての徹底レビューです。
なおITOITO-STYLEの製品レビュー・ポリシーは『徹底的なユーザー目線』です。メリット・デメリットあわせてしっかりとレビューしていきます。
目次
ポータブル電源とは?
ポータブル電源の登場以前はガソリンを使った「ポータブル・インバーター発電機」がありましたが、サイズと合わせて稼働音も騒音レベルに大きく、ガソリン燃料で稼働するため排気ガスも発生するなど、イベント会場や工事現場などが主な活用場所で個人や家庭レベルで使うには難しいものがありました。
そして2000年代に入りモバイル電子機器用として急速に普及したのが、リチウムイオン電池を採用した「モバイルバッテリー」です。スマートフォンの充電用などにも適したものが市販・多用されるようになりました。
ポータブル電源はそのリチウムイオン電池を大容量化・多機能化したもので、現在では供給電力として家庭用コンセントと同様の「AC100V」出力を備えたものがほとんどです。小電力・小容量なら小型軽量、1000Wh以上の大容量多機能なものでも10kg〜10数kg程度で持ち運び可能。なんと言っても発電機と異なり静音仕様かつ排気ガスの心配も無いため、屋外だけでなく室内使用にも向いています。
ポータブル電源があれば電力の無い状況でも家電製品が使えるようになったため、以前よりキャンプや車中泊などのアウトドア派を中心に人気を博してきました。
そして近年は台風や豪雨などによる停電時の電源確保や、災害時の自家用車を用いた車内避難などの際にも防災用品として活用できる知見が広がり、ユーザー数は増加傾向。文字通り「一家に一台備えておきたい」防災アイテムとなっています。
それを裏付けるかのように、ポータブル電源市場におけるアンケート調査の結果がPRTIMESで公開されています。
■ポータブル電源の所有率:68%
■ポータブル電源の利用場面は防災グッズとして、また車中泊がメイン
■ポータブル電源購入時に特に重視する点は容量と出力
■所有・希望のポータブル電源の容量は約半数が400Wh以上の大容量志向
特に近年は豪雨や台風などによる被害が年々大規模化していることと、真夏の猛暑下での停電が実際に発生していることなどを考えると、家庭レベルでの非常用電源の確保がますます重要になってきています。
停電対策に最適なポータブル電源
2020年9月6日〜7日にかけて「伊勢湾台風や第二室戸台風に匹敵する勢力」と想定された台風10号の接近・通過に伴い、九州地方では47万6千戸(ピーク時)にのぼる停電が発生しました。これは2016年に発生した熊本地震による停電、47万7千戸とほぼ同等となる大規模な停電となりました。
9月とは言え残暑厳しい時期に停電になるとエアコンや扇風機が使えません。報道された避難所の映像には、昔ながらの「うちわ」を扇ぐ避難者のかたがたの姿が映し出されていました。
台風10号の影響による停電は9月9日になっても続き、朝7時の時点でも九州地方では3,700戸を超える停電状況となりました。
2019年は7月31日に全国的な梅雨明けとなりましたが、翌8月1日に東京都の稲城市・清瀬市をはじめ、埼玉・新潟・静岡・長野・奈良・沖縄など各地で停電が発生しました。稲城市では約3700軒、清瀬市では約1500軒、埼玉の川越市では約2800軒、静岡の浜松などでは約1160軒とかなり大規模な停電です。
そして同年9月8日〜9月9日にかけては、台風15号が首都圏を直撃。静岡から上陸・首都圏を直撃し、大型の送電線の鉄塔を倒壊させ、メガソーラーの発電パネルから火災が発生するなど大きな被害が発生しました。台風一過後も東京電力管内では約80万戸以上が停電。9月9日の東京の最高気温は37℃という猛暑日となっています。
2018年9月6日に発生した「北海道胆振東部地震」では、被災地だけでなく北海道全域が停電となる「ブラックアウト」が起き、大きな問題となりました。
この北海道でのブラックアウトに関する詳細にご興味のあるかたは、資源エネルギー庁が公開している情報『日本初の “ブラックアウト” 、その時一体何が起きたのか』をご覧ください。
そのような状況下で電力が使えないと、最悪の場合は健康や生命そのものに影響が出る可能性があります。特に近年は熱中症で病院へ搬送されるお子さんやお年寄りのかたが増えていることもあり、真夏の停電時は最低でもサーキュレーター(扇風機)が使えるか使えないかで生活の質に大きな違いが出ます。
そんな時に備えておくと安心できるのがポータブル電源です。今や高出力なソーラーパネルと直結して太陽光充電できる製品の選択肢も増え「太陽光で充電して家電製品を使う」という手法も一般的になりつつあります。
大容量ポータブル電源「BLUETTI AC100 1000Wh」
今回ご紹介するポータブル電源は『BLUETTI AC100 1000Wh』です。家庭用コンセントにつなぐ家電製品が使えて、1万mAhの大容量モバイルバッテリー27個ぶんの超大容量、高効率なソーラーパネルからの充電性能。実用性とメリット、そしてデメリットもしっかり見ていきます。
■ BLUETTI日本公式サイト・AC100 1000Wh製品ページ
https://www.bluetti.jp/products/ac100
■ BLUETTI AC100の購入先
① amazonで見る
② 楽天で見る
■ BLUETTI AC100 仕様概略
電力容量:1000Wh(14.8V)
定格出力:600W
出力制限:680W(総出力がこの電力量を超えると給電が停止します)
充放電回数:2500回以上
USB出力 Type-A:QCタイプ = BC1.2, 2連装・5V 3Aずつ
USB出力 Type-C:QCタイプ = PD2.0 (45W)
シガーソケット出力:13V・9A
ソーラー充電:可能(DC8mm入力、パネル側MC4接続可)
電力容量はモバイルバッテリーの3.7V換算で270,270mAh(27万270 mAh)で、モバイルバッテリーの容量 10,000mAh モデルのおよそ27個分の容量です。
東日本と西日本とでは交流電源の周波数が50Hzと60Hzとで異なりますが、本機はボタン操作で簡単に切り替え可能となっています。
基本的な使いかた
1. 「POWER」ボタンを単押しすると電源ON
2. 家電製品が使いたい場合は「AC」ボタンを長押し
3. 家電製品を使う場合は、背面に2つあるコンセントに家電をつないでスイッチON
4. USBから充電・給電する製品が使いたい場合は「DC」ボタンを長押し
5. USB製品を使う場合は、表面にあるUSBコネクタにUSBケーブルを差し込んで使用
6. 使い終えたら「POWER」ボタンを長押しして電源OFF
7. 本体のLEDライトを使う場合は、電源ONの状態で背面の「LIGHT」ボタンを単推し(押す回数で明るさや点滅を切り替え可)
これだけです。シンプルで解りやすい操作となっています。
購入した時点では約8割程度の充電状態となっているので、そのまま使い始めることができます。もし「はじめてのポータブル電源」として、BLUETTI AC100 1000Wh を購入したなら、まずはこの状態で色々な家電製品を動かしてみるといいでしょう。
ポータブル電源の一般的な充電方法としては、付属のACアダプタを使って「INPUT」と記載された充電用コネクタに接続し、家庭用のAC100Vコンセントから充電する形になります。
長期保管時の扱いに関して、取扱説明書から引用すると、
『長時間ご使用しない場合、本製品を満充電にしてから保管してください。また、1 年 2 回以上、 満充電表示となるまで充電を行ってください。』
となっていますので、基本的に満充電状態での保管で問題ないようです。
「BLUETTI AC100 1000Wh」をソーラーパネルから充電する
災害時の活用を考えると、やはりソーラーパネルを用いた太陽光による充電性能が気になるところです。アウトドア以外では停電した際に使うことが多いポータブル電源ですが、充電手段がAC100Vのコンセントからのみとなると残容量を気にしながら使うことになるからです。
【検証用機材】
・BLUETTI AC100 1000Wh
・SmartTap 120W 折りたたみ式ソーラーパネル
付属のMC4コネクタで、SmartTap 120W ソーラーパネルとBLUETTI AC100 1000Wh直結します。
【条件】
・9月上旬で晴れ時々曇りの日(晴れ時間のほうが多い)
・バッテリー残容量:インジケータで1メモリ(残量10%程度と想定)
SmartTap 120W ソーラーパネルの出力は、晴天で計測した時点の瞬間値で
電圧:21.6V x 電流:5.7A
を確認。ワット数換算で123W。パネル自体はほぼスペック通りの出力と見ていいでしょう。もちろん、太陽に少しでも雲がかかったりすると10W〜20W台までソーラー発電出力は低下します。
【検証開始】
(1) 08:00〜12:00
ソーラーパネルからの入力電力 = 開始時70W〜12時時点で最大95W、時折雲が掛かる
充電中のインジケータ表示 = 1メモリ→2メモリで点滅(12:00時点で入力を外すと2メモリ)
(2) 12:00〜16:00
ソーラーパネルからの入力電力 = 70W〜97W
途中から曇天となり、その際の入力電力は11〜15W程度
充電中のインジケータ表示 = 2メモリ→4メモリ
充電切り上げ時で表示状は5メモリ。おそらく80〜90%程度の充電容量
(3) 翌日12:00〜16:00
ソーラーパネルからの入力電力 = 71W〜94W
途中幾度か曇天、その際の入力電力は13〜21W程度
充電中のインジケータ表示 = 4メモリ→5メモリで点滅後、16:00頃に満充電で自動Power Off確認。
【結果】
9月上旬の晴天が続く気象条件で、120Wソーラーパネルからの充電なら概ね12時間程度で満充電となることを確認できました。
別途、他社製品のポータブル電源を同条件でソーラーパネルに接続して充電してみましたが、BLUETTI AC100 1000Whでは入力電力が80W以上ある状況でも、他社製品では60W程度だったりするため、ソーラーパネルの性能だけでなくポータブル電源自体のソーラー充電性能にも左右されることになります。
その点、BLUETTI AC100 1000Wh のソーラー充電性能はかなりの効率の良さとなっています。実出力90W以上のソーラーパネルであれば、天候次第ですが快晴であればほぼスペックどおりの充電性能を発揮してくれます。
ただ1000Whという大容量のため、前述の通り満充電までには相応の時間が必要となります。ソーラー充電可能な大容量ポータブル電源の2台体制であれば、片方を充電しながらもう片方を給電目的に使うという運用方法が採れそうです。
ともあれ、BLUETTI AC100 1000WhとSmartTap 120W 折りたたみ式ソーラーパネルを組み合わせた太陽光充電の検証結果としては、十分な実用性を確認できました。今後あらためて、冬の太陽光を利用した充電性能も追加検証予定です。
使用可能な家電製品の例
サーキュレーター(扇風機)
■検証結果
問題なく動作。
アウトドア派ポータブル電源ユーザの夏の定番、サーキュレーターです。こちらはAC100Vに繋いで使う定格消費電力最大35Wのもの。風量切り替えは3段階で、首振りは無し最大風量の「3」にしてみたところ、バッテリー側のAC出力は「36W」ほぼスペックどおりの消費電力です。
最大で首振り機能をONにしてもバッテリー側のAC出力は「39W」程度でした。
シャワートイレ
■検証結果
問題なく動作。
シャワートイレ使用時の消費電力は次のとおりです。
・温水36度、便座30度:260〜270W
・温水OFF、便座保温OFF:25W程度
戸建て住宅で上水道の水圧給水タイプであれば、断水時でも(上下水道の破損がなければ)水道は使えるので、シャワートイレを稼働させるのは問題ないでしょう。ただ、温水や便座保温などで「熱」を利用する場合、消費電力が一気に上るので、電力消費を抑えるなら温水や便座保温は見送ると良いでしょう。
マンションなどの集合住宅の場合は上水道をいったんポンプで屋上の貯水槽などへ組み上げる形がほとんどのため、断水時は水洗トイレを流すこと自体ができません。当然、シャワートイレのシャワー機能も使用できなくなります。
冷蔵庫
■検証結果
問題なく動作。
今回編集部で検証した冷蔵庫の仕様は、
・発売年:2018年
・容量 :315L
・電動機の定格消費電力 :90W
・電熱装置の定格消費電力:130W
のもの。一般家庭用の中型モデルです。
70W〜120Wくらいで上下する状況と80Wくらいで安定稼働する状況とがありますが、特に問題なく動作しました。平均消費電力が100Wであれば8〜9時間、300Wであれば2.7時間程度が稼働時間の目安です。
エアコン(クーラー)
■検証結果
問題なく動作(ただし小型・低消費電力のもの)
編集部スタッフ宅の古い10年選手の6畳用エアコンのクーラー(冷房消費電力450W)で実際に試したところ、消費電力は200W〜600Wの間で変動しながらも動作させることができました。停電時に使用する場合、2時間程度ならクーラーを動かせそうです。
エアコンなので当然「暖房」機能もあるわけですが、こちらは小型エアコンであっても暖房消費電力が900Wあったりするので使えないと想定したほうがいいでしょう。
基本的に「発熱器具」を電気で使う場合は消費電力はかなり大きくなるので、電気が使えない状況が長引くことが想定される場合は、暖房や加熱用途にポータブル電源を使用するのは得策ではありません。
除湿機(コンプレッサー式)
■検証結果
問題なく動作
使用したのは消費電力185Wのコンプレッサー式除湿機で、除湿機動作時の消費電力は次のとおりです。
・コンプレッサー動作時:185〜187W
・コンプレッサー停止時:24〜26W
こちらもスペックどおりの消費電力となっています。梅雨の時期〜秋にかけて出番の多い除湿機ですが、こちらも問題なく使用可能でした。
電気毛布(1人用)
■検証結果
問題なく動作。
使用したのは「Sugiyama」の1人用電気毛布。
定格消費電力=55Wの製品です。
設定温度を最大の「ダニ退治」まで引き上げた状態での消費電力は「56W」。最大温度の状態でスペックどおりの消費電力となっています。
電気毛布の仕組みは、設定温度まで上がったらいったん電力消費をOFFにして温度が下がってきたらまたONに、という動きになります。
仕様としては1時間当たり、強=31Wh・中=18Wh・弱=3Wh。一晩7時間使うとすると「強」設定で約217Wの消費。
さすがに「強」で使い続けることはなく多くの場合は「中」設定と考えると、一晩で約126W。
BLUETTI AC100 1000Wの出力をすべて、この1人用電気毛布の「中」で使うとすると、約8泊使える計算になります。
電気毛布(2人用)
■検証結果
問題なく動作。
使用したのは「なかぎし」の2人用電気毛布。
定格消費電力=80Wの製品。
こちらも同様に設定温度を最大の「ダニ退治」まで引き上げた状態での消費電力は「82W」。最大温度の状態でスペックどおりの消費電力で、冬のファミリーキャンプなどで使うと便利です。
使用可能泊数を算出してみます。仕様としては1時間当たり、強=50Wh・中=27Wh・弱=5Wh。一晩7時間使うとすると「強」設定で約350Wの消費。「中」設定と考えると、一晩で約189W。
BLUETTI AC100 1000Wの出力をすべてこの2人用電気毛布の「中」で使うとすると、5泊使える計算になります。
ノートPC(Windows, Mac)
■検証結果
問題なく動作。
Windowsノート、MacBookProの2種類で検証しました。使用するアプリケーションの負荷でも消費電力は変わってきますが、ブラウザのみの使用であればいずれも30W程度となっています。
近年は仕事と休暇を統合した「ワーケーション」というキーワードが取り上げられたり、仕事を都市部ではなく自然豊かな場所で実施するなどの動きも出てきています。
今後は電源のない場所にPC機器を持ち込んで仕事をするといったスタイルを採用する場面も増えそうであることを考えると、大容量のポータブル電源の活用シーンの広がりも想定できます。
使用できなかったもの
いくつか試した上で使えなかった家電製品は、当然ながら消費電力が大きなもの。
・ヘアドライヤー
・ホットプレート
・電気ヒーター
手持ちの範囲の家電製品としてのこれらは消費電力が1000W以上であるため、使用不可能でした。
「BLUETTI AC100 1000Wh」の仕様としては600W以下の消費電力のものであれば使えるため、例えば同じドライヤーでも低消費電力仕様のものであれば問題なく使えます。
設定・その他
交流電源の周波数50Hz・60Hzを切り替える
日本国内において、東日本と西日本では交流100V電源の周波数がそれぞれ50Hzと60Hzとで異なります。一般的に販売されている電化製品の多くは、どちらの周波数帯でも使えるように周波数フリー仕様となっていますが、機器によっては東日本仕様の電化製品を西日本で使うと故障する可能性があります。
もしそのような製品をBLUETTI AC100 1000Whで使う場合、製品が想定している電源周波数を次の操作で変更できます。
(1) 電源をONにし、DCボタンとACボタンを同時に長押し
(2) 現在の設定周波数が表示されるので、DCボタンまたはACボタンのいずれか1つを長押しすると切り替えられる
(3) 切り替えたら、再度DCボタンとACボタンを同時に長押しして設定完了
【豆知識】
交流電源の周波数がこのように異なるのは、日本国内で商用電源の普及が始まった明治時代に遡り、主に東京に導入されたドイツ製の発電機が50Hzの電気を作り、大阪に導入された米国製の発電機は60Hzの電気を作る仕様だった点にあります。
昭和時代に入り、第二次世界大戦直後の復興に合わせて国内の商用電源周波数を統一しようという構想もありましたが、結果的に統一は実現しませんでした。
「EXTERNAL INTERFACE」とは?
「EXTERNAL INTERFACE」は、AC100のロット製品に対して外部モニタリングをおこなう際に使用するもので、このポートから検査用PCに接続して各々のAC100の状況を把握するために使われるものです。一般ユーザーが使用する必要はありません。
パススルー充電機能について
「パススルー機能(パススルー充電)」とは、充電中でも給電可能な機能のことです。たとえばソーラーパネルによる充電中でも家電製品をつないで使用するといったことが可能です。
「BLUETTI AC100 1000Wh」には、この「パススルー機能」が付いていますが、メーカーさんに確認したところ「バッテリーに負荷自体は掛かるため、パススルー機能を多用するとバッテリーの寿命を縮める恐れがある」とのことでした。
よって、パススルー機能を利用した充電しながらの給電については常用せず、非常時の緊急用途程度に留めておくほうがいいでしょう。
車のジャンプスターターとして使えるか?
車のバッテリーが上がってしまった時に使いたいのがジャンプスターター。残念ながら「BLUETTI AC100 1000Wh」はジャンプスターターとしては使えません。
もしジャンプスターターとしてポータブル電源を使用したい場合は、AC100ではなく「BLUETTI EB40」を導入すると良いでしょう。こちらはジャンプスターター機能を搭載しています。
まとめ
長くなりましたが、実際に「BLUETTI AC100 1000Wh」を使用した上でのメリットとデメリットを3点ずつ、率直に挙げてみます。まずは先にデメリットから。
■デメリット
① バッテリー残量が5段階でしか確認できない
バッテリー残量を示すインジケーターが5段階表示となっており、具体的にあとどのくらい残っているのかを詳細に把握できない点はやや残念なポイントです。他社製品では1%単位で残量を表示するものもあるので、後継製品ではこの点の改良を期待します。
② 低消費電力の家電をつなぐと、消費電力表示が「0W」になることがある
特に数十W程度の低消費電力家電を使う際に、モノによっては消費電力表示が「0W」になることがあります。たとえば電気毛布の温度設定を中〜小にすると、この状態に。実際には使えているので大きな問題はありませんが、こちらも今後の改良が期待される点です。
③ 大容量ゆえの重量
リチウムイオンバッテリーを採用した大容量電源全般における宿命ではありますが、15.6Kgという重量は「手軽に片手で持ち運べる」というふうには行きません。逆に、手軽に持ち運べる重量のポータブル電源は小容量のものになってしかうので、大容量と安心感との引き換えという部分で、受け入れるべきポイントでもあります。
■メリット
① 1000Whという大容量の安心感
防災訓練としてのキャンプにも持ち出しましたが、暑い日の昼間でもサーキュレーターを2台、最大風力でも余裕を持って使うことができるのは実に快適です。冬であれば、2人用の電気毛布程度であれば5泊程度なら余裕を持って利用できます。災害時の停電などの際にも、安心して使えるレベルとなっています。
BLUETTIからは別途、価格は張りますが2400Whモデルも発売されているので、予算に余裕がある場合はこちらも検討してみるといいでしょう。
② ソーラー充電性能の高さ
今回は120Wの折りたたみ式ソーラーパネルを使いましたが、9月の晴天下の実測値で瞬間最大97W程度という高い電力で充電されているのを確認できました。夏〜初秋の晴天であれば80W以上で安定してソーラー充電できているのは、災害時の活用を考えても大きなメリットです。
(もちろん、雲が出ると一気にソーラーパネルからの出力は下がります)
③ 利用可能な家電製品の幅の広さ
使う家電の消費電力次第とはなりますが、実際にエアコンのクーラーや冷蔵庫などが動くことを確認できたのも嬉しいポイントです。災害時に上下水道が無事であれば、停電していてもシャワートイレを動かすこともできます。「いわゆるお尻のトラブル」を抱えておられる方にはもはや必需品でしょう。
■所感
編集部スタッフも数年前から実際にいくつかのポータブル電源を使ってきました。300〜400Wクラスの容量のモデルではキャンプに持ち出しても、家電製品を使う場合は残量を気にしながらの節約使用をすることが多かったのですが、やはり700Wを越えてくるとその不安が大きく解消されます。
そして容量1000Wとなると「電源の無い場所・状況でも数日程度ならある程度の家電は普段遣いできる」ということに気が付きます。
近年は大きな地震だけでなく、豪雨や台風による停電なども毎年のように起きています。特に真夏の停電は生活の質を大きく落とし、場合によっては健康や生命にまで影響を及ぼす可能性すらあります。
災害対策・防災用品としても十分活用できるようになった「ポータブル電源」、今後はソーラーパネルとともに一家に一台の必須アイテムになることは間違いありません。
まだお持ちでない場合は、ぜひこれを機会に導入を検討してみてください。特に今回ご紹介した『BLUETTI AC100 1000Wh』はオススメできる大容量ポータブル電源です。