2020/11/18:東海道沖で深発地震と異常震域・ほか全国で小規模地震相次ぐ
2020/11/18は東海道南方沖で深発地震と異常震域が発生し、ほか全国で小規模な地震が相次ぎました。
それぞれを時系列で列挙すると次の通りです(最新順)
発生日時 | 震源 | 震度 | 規模 | 深さ | 北緯, 東経 |
---|---|---|---|---|---|
2020/11/18 15:18頃 | 福島県沖 | 2 | M4.1 | 約40km | 37.4, 141.5 |
2020/11/18 15:02頃 | 十勝沖 | 1 | M3.1 | 約70km | 42.4, 143.9 |
2020/11/18 13:14頃 | 奄美大島近海 | 2 | M3.1 | 約20km | 27.6, 128.8 |
2020/11/18 10:01頃 | 東海道南方沖 | 1 | M5.1 | 約450km | 32.0, 138.1 |
2020/11/18 07:09頃 | トカラ列島近海 | 1 | M4.3 | 約130km | 28.7, 128.7 |
2020/11/18 06:15頃 | 広島県北部 | 1 | M2.3 | 約10km | 35.0, 132.9 |
注目はやはり東海道南方沖を震源とする深発地震で、震源の深さ450km・地震の規模を示すマグニチュードは5.1。この地震で揺れを観測したのは、東京・栃木・茨城でした。つまり「異常震域」が発生したことになります。
異常震域とは、震源より遠く離れた場所で異常に震度が高くなる現象です。(今回は最大震度1で済んでいる状況です)
近年、異常震域が発生した例は他にもあります。
・2019/11/22朝、東海道南方沖で最大震度1, M4.9の地震が発生。
震源の深さは約410kmとなる「深発地震」で栃木県宇都宮市で最大震度1を観測する「異常震域」が発生。
・2019/07/28早朝、三重県南東沖の南海トラフ沿いでM6.5・最大震度4(深さ420km)の地震が発生。
同時に東日本の太平洋側・特に宮城付近で強く揺れる「異常震域」が発生。
・2019/7/13にも奄美大島北西沖で起きたM5.9の地震
岡山あたりに異常震域と見られる震度分布を発生。
・2018/12/10の00:22頃、三重県南東沖を震源とした震度2・M5.3の地震
揺れたエリアが三重県からはかなり距離がある関東地方で、最も震度が大きかったのは栃木県。
・2007/7/16には京都沖の日本海で起きた深発地震
京都では小さな震度でしたが、距離的に遠い北海道では大きな揺れを観測。
逆にプレート境界をまたいだ中京関西地方や中部地方での揺れは小さかった。
異常震域の発生は決して稀有な現象ではないので必要以上に不安を感じる必要はありませんが、これを機会として備災・防災用品の確認や備蓄品の補充などをおこなっておきましょう。
事前に備える「備災」が、いざ大きな地震が起きた際の「減災」につながります。
「異常震域」
通常の地震は震源(震央)で最大となり中心から同心円状に広がりながら減衰していきますが、それとは異なる傾向や震度分布がみられた地域のことで、震源より遠く離れた場所で異常に震度が高くなる現象です。
かつては「地中に地震が伝わる特別な抜け道がある」と考えられ「地震みち(じしんみち)」とも呼ばれていましたが、1920年代には異常震域という用語が用いられるようになりました。
異常震域が現れる原因は、
1. その周辺地域の地盤の状態が、軟弱な地盤や地震波の反射・回析などで異なる
2. 上部マントルの地震波速度構造の違いで、減衰度合いが経路上の構造によって異なる(構造線やプレート境界、マントルをまたぐなど)
と言う2つに分けられます。
「深発地震」
震源の位置が深い地震を示しますが明確な定義はありません。概ね深さ60kmまでの地震を浅発地震、60〜200kmまでの地震を稍(やや)深発地震、200kmより深い位置で発生する地震を深発地震としています。
深さ500〜670kmの範囲でも深発地震が発生することは多いのですが、670kmより深い位置ではほとんど発生しません。
例外として日本近海では小笠原海溝や海外ならトンガ海溝などの特殊な地下構造となっている一部エリアにおいて、さらに深い位置での深発地震も少数ながら発生しています。
この日、他に発生した有感地震(主に記事公開後)
【千葉県東方沖】
2020/11/18 22:42頃, 震度1, M3.2, 深さ20km, 北緯:35.2, 東経:140.4