トップ レビュー 【レビュー】trangia「ストームクッカー L」

【レビュー】trangia「ストームクッカー L」

「外へ持ち出せるキッチン」。程よいサイズの調理器具・熱源・風防のセットは使い慣れるほど手に馴染み、強風下でも調理可能。トランギアの「ストームクッカー」をオプション製品とあわせて徹底レビュー!

23444

直径22cmのフライパンと1.75Lと1.5Lの2つのソースパン、熱源となるアルコール・バーナーのセット構成に、風防&煙突効果を持つスタンドベースは強風下での調理すら可能とする文字通りの「ストームクッカー」。ひと家族用の食事をまかなえる『外に持ち出せるキッチン』。

(※写真右側の赤いボトルは燃料用アルコールボトルで別売り)

対応人数:大人3〜4名・または大人2名 + 子ども2名

スウェーデンのtrangia(トランギア)社の「ストームクッカー」は小型のSサイズと一回り大きいLサイズがあり、これはLサイズ。2つのサイズのソースパンは耐腐食性を備えたハードアノダイズド加工、フライパンはこびり付きにくいノンスティック加工済み。
風防とゴトクを兼ねたスタンドベースと熱源となるアルコール・バーナーをセットにしてあることで、調理に必要なフルセット構成。すぐに使うことができます。

『trangia ストームクッカー L』の特徴

・Lサイズであれば、概ね4人世帯程度の家族の一食分の食事を容易に調理可能。
・アウトドア用としては比較的大きめのソースパンのため、メニューのバリエーションが広がる。
・風防を兼ねたゴトク付きなので、強風下などの場面でも利用できる。
・オプション品を併用した機能拡張が可能。

風防ゴトクや鍋はすべてスタッキング(重ねる)でき、フライパン部分でフタをすることでコンパクトに収納できます。

スタンドベース内に鍋をセットしたところ。鍋の下半分が覆われ、その下にアルコール・バーナーが鎮座している構造。風が吹いても火が消えることはありません。1.5Lの鍋は内径およそ16cm、1.75Lのほうはおよそ17cm程度です。

こびり付き(焦げ付き)防止のノンスティック加工がされたフライパンをセットした状態。直径22cmあるのでかなり使いやすいフライパンです。スタンドベース下部にたくさんの孔が開いていますが、ここから空気を取り入れます。フライパン下は燃焼室となり熱は上から抜けていくため煙突効果が期待できる構造です。

『trangia ストームクッカー L』での調理例

「夏野菜と魚肉ソーセージの炒めモノ」
「備災メシ」は凝らずに、有り物で簡単調理が基本。焦げ付きにくいフライパンを使えば、炒め物もお手軽です。水分の多い食材を炒めるときは、油のハネを防ぐために使う炒め油の量はゼロか最小限に。

「牛肉の甘辛いため」
あらかじめ焼肉のタレに漬け込んだ牛肉を炒めるだけ。火が通ったらご飯に上に載せて甘辛牛丼に。もうこれだけで十分旨いです。

「鳥モモ肉の甘辛炒め」
こちらも同様の調理例ですが、フライパンを使用し洗い物軽減用にフッ素加工のアルミホイルを使用。調理後はホイルを丸めて捨てるだけ。

「ミートソースのパスタ」
早ゆで3分のパスタとレトルトのパスタソースを使えば、こういう料理も超カンタン。震災時の避難生活なら、洗い物を減らすために鍋の内側に厚手のアルミホイルやクッキングペーパーを入れておけば、鍋が汚れずに済みます。

「野菜たっぷりインスタント・タンメン」
備蓄食材としては定番のインスタントラーメン。酸化を少なくするためにノンフライ麺がオススメです。平時は備蓄ぶんをローテーションで使っていきます。簡単に冷蔵庫の野菜を茹でそのまま麺を投入すれば、野菜エキスをたっぷり吸ったタンメンに。

「肉野菜スープ」
1.7Lサイズの鍋を使えばたっぷり3〜4人前程度を作ることができるので、家族用のクッカーとしてオススメです。

熱源との組み合わせ

熱源として、トランギア社製のアルコール・バーナーが標準セットでついてきます。手前がアルコール・バーナー本体、左奥がネジ込み式のフタ、右奥は消火用&火力調整用のフタ(乗せるだけ)です。

スタンドベースにセットしたところ。この中に燃料用アルコールを注ぎ着火します。燃料用アルコールは、ドラッグストアなどで手軽に入手可能(500mlボトルで300円程度)。スタンドベースは、周囲に開いている孔から十分な空気を取り入れて、火力がアップする構造です。

消火・火力調整用のフタを消火モードで乗せたところ。アルコール・バーナーは単品で他社製品もいくつか出ていますが、火力調整用のフタが無いものもあります。

火力調整モードで乗せたところ。カセットボンベなどを使うコンロやストーブと異なり、アルコール・バーナーはこれがあると無いとでは使い勝手が大きく変わってきます。なお、使用中は大変熱くなるので、フタの取り扱いはペンチやマルチツールと呼ばれる道具を使います。

全商品構成。登山などに持って行くには大きすぎという声も聞かれますが、家庭における備災用としては必要十分な構成とサイズ。

φ22cmサイズのフライパンに2つのソースパン構成にも関わらず、すべてを重ねて収納できるためサイズは想像よりはコンパクト。

標準構成に関する、その他

箱に梱包されている状態。サイズ感はiPhone5sからお判りいただけるでしょう。

開封直後の状態です。最大直径はフライパンサイズの22cm、収納高さは10.5cmでiPhone5sを立てた状態で本体横の消音スイッチあたりまでの高さです。

スウェーデン製ですが、日本語による取り扱い説明書も付いているので安心。

いわゆる「鍋つかみ」はこのアルミ製のグリップですが、多少バリがあるので気になるようならサンドペーパーで磨くといいでしょう。別売りのグリップを使うという手もあります。

おすすめのオプション製品

エスビット(Esbit)・グリッパー

左は「ポケット・ストーブ」でお馴染みのEsbitのグリッパー(鍋つかみ)です。右側がストームクッカー標準構成のアルミ・グリッパー。この標準グリッパーはちょっと軽すぎてイマイチ手に馴染まない、という場合はこのEsbitのグリッパーがオススメです。

このグリッパーは手に馴染むほどよい重量があるだけでなく、クッカーのフチをはさみ込む部分にゴム製のグリップ部品が取り付けられています。

このゴム製グリップのおかげで、クッカーをしっかり固定してはさみ込むことができるだけでなく、クッカー表面にグリッパーによる傷が付きにくくしてくれる効果が期待できます。

標準グリッパーはこのゴム製グリップが無いので、金属(アルミ)どうしを直接挟んで扱うことになります。

しかし、Esbitグリッパーならこの通り、ゴムで挟んで固定するので傷つきにくくなおかつクッカーを扱う際の安心感があります。取っ手の小さなクッカーや、使用時は熱くなって軍手が必要なクッカーなどを扱う際も便利ですし、ご家庭なら「ティファール」の鍋を扱う事もできます。

トランギア・フューエルボトル

ストームクッカーの標準構成の熱源はアルコールストーブなので、当然燃料はアルコールです。備災用途だけでなくアウトドアに持ち出す際に必要なのが、この燃料ボトルである「トランギア・フューエルボトル」。揮発性・気化性の高い燃料用アルコールを安全に持ち運びできます。

ボトル容量は0.3L/0.5L/1.0Lの3種類が販売されていますが、amazonでのベストセラーは0.5L、ケンエーの燃料用アルコールボトル1本分がちょうど入り切ります。予備の燃料用アルコールも併せて調達しておくといいでしょう。なお、燃料用アルコールはご近所のドラッグストアでも入手可能です。

使い方は簡単。この先端キャップを左に回せば開き、右に回せば閉まります。キャップが緩んだ状態で白いボタンごとキャップを押し込み注ぎクチを下に向ければ燃料用アルコールが注ぎ出します。アウトドアに持ち出すときは、このボトルに燃料を入れて行きましょう。

アルコールストーブに燃料を注ぐときはちょっとだけコツが要ります。キャップを緩めてボトル自体を先に横にしてから注ぐためにキャップを押し込むと、結構な確率で燃料が漏れます(笑)。回避するためには注ぐ前にボトルを立てた状態でキャップを緩めてそのままキャップを下に押し込んで燃料が注げる状態にし、それから傾けて注ぐと解決できます。

トランギア・ケトル(0.9L)

そして、ストームクッカーとぜひ合わせたいのがこの「トランギア・ケトル」。同じトランギア製品です。メスティン同様の無垢アルミですので、使い込むほど外観にも味わいが出てくれることでしょう。

トランギア・ケトルシリーズは、0.6L/0.9L/1.4Lとサイズが3タイプあります。ストームクッカーSなら0.6L、今回のストームクッカーLなら0.9Lがピッタリ収納サイズ。

注ぎクチは短めですが、機能性は十分です。コーヒーにカップ麺にと大活躍。

撮影時は新品ですので内部も綺麗ですが、湯沸かしに使い込むと黒ずみが入ったいい感じになってきます。素材的な風合いはメスティン同様です。なお、0.9L版は余裕をもって注ぎクチのやや下まで水を入れた状態での水の量が0.8L程度でした。

ガスボンベ・アダプター(CB缶・OD缶の両方に対応)

ストームクッカーの標準熱源はアルコールストーブですが、このようにガスボンベを利用することができるオプション製品もあります。

それがこちら。BULIN製のガスボンベ・アダプターです。アウトドア用のOD缶と、一般的なカセットコンロ用のCB缶の両方を利用するためのものです。

アルコールストーブの代わりにアダプターをセットし、ガスボンベと接続するためのチューブはこのようにストームクッカーの側面に空いた孔から出します。このアダプターの接続チューブはメッシュ状の金属網で覆われており頑丈です。

ガスバーナー部分はこのようにプレヒート用のパイプ構造になっています。BULIN社は中国メーカーですが、ガスランタンなどを始め「使える」製品をいくつも出しています。

ストームクッカーLにセットしての使用する際は、この部分がほんの少々小さめのためカタツキ(遊び)があります。気になるようでしたら、この赤丸で囲んだ部分を少し外側に広げると良いです。

OD缶との接続部分です。安定した構造になっており、このツマミ部分でガスの消費量を調整することになります。表示も解りやすいですね。

内容量470gサイズのOD缶と接続し、チューブを最大限に伸ばすとこんな感じです。ストームクッカーとガスボンベとの間に十分な距離を確保できます。

次に、カセットボンベ(CB缶)との接続を見てみます。OD缶と接続する部分に、もう1つの変換アダプターを取り付けます。この変換アダプターもセットになっています。

お馴染みのカセットボンベ・CB缶と接続してみました。ホームセンターや百円ショップでも手に入るCB缶が使えると経済的です。

ガスボンベが異なる以外は、OD缶使用時と同じです。

再度、コンロ部分を見てみます。アルコールストーブの火力調節には多少の慣れが必要ですが、初心者のかたにはむしろこのガスボンベ仕様のほうが向いているかもしれません。火力調整はツマミ1つです。

ガスボンベ仕様の状態でゴトクと風防を兼ねるスタントベースを取り付けてみました。強風下のアルコールストーブ使用時でも安定した調理ができるのがストームクッカーの良さですが、ガスボンベ・スタイルにすると使いやすさがグッと増します。

まとめ

アウトドア用と見ると(Lサイズは)結構大型のため特に登山などに携行するのは気合が必要ですが、世帯人数3〜4人の家族向けの備災用としてはとても使い勝手のいいクッカー・セットです。(単身者〜世帯人数2人程度であれば、ひと回り小さなサイズの「ストームクッカー S」があります。)

もちろん、休日のデイキャンプやオートキャンプにもっていけば小型のクッカー&バーナーを駆使するよりも簡単に、大型バーベキュー用コンロなどを使うよりもコンパクトに凝った料理を作ることができます。

燃焼効率を高める(煙突効果を持つ)吸気構造の風防を兼ねたゴトクがセットであるため、熱源となるアルコール・バーナーの火力はそれ単体で使うよりも強力です。また、後半でご紹介している機能拡張用に使えるオプション製品を追加すると使いやすさが更に広がります。コンパクトにスタッキングできる小型のクッカー類とバーナー・ストーブ類と併せて、多人数と多彩な調理に対応できるストームクッカーは備災用にもアウトドア用にもかなりオススメの道具と言えます。

持ち運べるキッチン「ストームクッカー L」をamazonで見る


・今回レビューした3〜4人世帯向け「ストームクッカーL ULハードアノダイズド」

・2人世帯なら少しコンパクトな「ストームクッカーS ULハードアノダイズド」

・オプション製品「Esbitグリッパー」

・オプション製品「トランギアケトル・0.9L」

・オプション製品「ガスボンベ・アダプター」

・オプション製品「トランギア フューエルボトル・0.5L」

・オプション製品「ケンエー燃料用アルコール 500ml」

このサイトや記事が気に入ったらシェアしましょう!