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【レビュー】「火おこし」に使えるオススメグッズ3選!

大震災直後のガスや電気が途絶えた被災生活時に無くてはならないものの1つが「火」。備えあれば憂いなし、被災時からキャンプなどのアウトドアユースまで便利に使える定番的オススメグッズ!

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そして人類は「火」を手に入れた

キャンプなどのアウトドア活動を楽しんでいるかたにはお馴染みではありますが、イザという時にあると無いとでは大違いなのが「火を起こす道具」です。

日頃から電気・ガスなどの生活インフラが当たり前のように使える生活に馴れきった状況で突如として大震災が発生した場合、その後の生活は一変し大変不便な生活を余儀なくされる点は、これまでの各震災を経験された多くのかたの同意が得られると思います。

中でも「火が使える」という点は重要です。火が使えるだけで、湯を沸かし食材を煮炊き調理でき、灯りになって暗闇でも行動でき、暖を取ったり虫除けになったり人々が集える場になったりと、生活の原始的かつ基本的な質を担保してくれるものです。

昔なじみのマッチや使い捨てライターもあれば便利ですが、アウトドア用のヘビーデューティー・ギアを準備しておけば楽しみながら備えることができます。今回はそんな「火」を手軽に起こすことができるアウトドア系の便利グッズを3つご紹介します。備えあれば憂いなし。

備災FUN!』では、次の震災・災害に備える「備災」をテーマに、被災時にも大活躍のアウトドアグッズを日常で活用して「楽しみながら備える」情報をメインに発信しています。

SOTO スライドガストーチ「ST-480」

まずは新富士バーナー社の「SOTO」ブランドから定番品のスライドガストーチ「ST-480」です。使い捨てライターやZippoライターなどの場合は風がある環境での使用は難しいですが、こちらはバーナー式で強風下でも安定して着火できます。

購入時に燃料となる液化ガスが充填されていますが、無くなったらカセットコンロ用のガスボンベ(CB缶)から充填できる経済性。ライター用ガスも使用でき、アウトドア用のガスボンベ(OD缶)も別途アダプターを用意すれば利用できます。

特徴は、このスライド式の火口。最大75mmまで伸ばすことができるので、石油ストーブの電池が切れた場合の着火やオイルランタンの芯への着火など、通常のライターでは届きにくい場所への着火も簡単。着火用スイッチはセイフティロック仕様なので、子供がイタズラしにくい構造。

着火例です。耐風バーナー式で美しい青い炎がジェット式に発生します。

この炎の温度は約1300度。編集部スタッフも愛用しており2011年2月の発売直後に購入、本記事執筆時点ですでに6年ほど使っていますが、今のところ特に故障もありません。さすがは「MADE IN JAPAN」。

このST-480で大きな火を起こすためには工夫が必要ですが、
・バーベキュー用の火種を作る
・シングルバーナーや固形燃料、アルコールストーブへの着火
・電池切れの石油ストーブや点火装置の壊れたガスコンロへの着火
・花火や蚊取線香への着火
などなど、手軽に火を起こしたい場面ではとても使い勝手の良い道具に仕上がっています。

【特に注意する点】
・使用直後はバーナー部分が高音になっているので直接触れないようにする
・連続使用は1分まで(火口部分が必要以上に高温になり、それ以上の連続使用は危険)。

SOTO フィールドチャッカー「ST-418」

同じく新富士バーナー社の「SOTO」ブランドからの定番品、フィールドチャッカー「ST-418」。SOTOのフィールドチャッカーシリーズは本記事執筆時点で第3世代まで発売されていますが、こちらは第2世代の製品です。第3世代のST-450に関する情報は、こちらのSOTO公式製品ページをチェック!

前出のスライドガストーチST-418は、ライターサイズでまさにライターの代わりに使えるものでしたが、こちらはカセットガスボンベに直接取り付けて比較的大きめの火おこしに使うことができます。

実際にカセットガスボンベに取り付けてみたところ。着脱も使用方法も簡単ですが「火器」ですので取り扱いには十分注意しましょう。

初めて購入して取り付ける際にうまくいかないという場合は、このカセットガスボンベの切り欠き部分に合わせる突起部分に着目してみてください。ここがボンベ側の切り欠きに合っていないと装着できません。

装着できたら着火は簡単。フィールドチャッカーのガス噴出量を増減させるハンドルをゆっくり開きつつ、着火ボタンを押し込むだけです。(着火時はボンベを垂直に立てた状態で!)

着火するとこんな感じで太い1300℃の炎が吹き出します。最初はガス量を小さめにして、小さな炎から使ってみましょう。点火後は生ガス(気化していない白い霧状のガス)の発生を防ぐため、2分間はそのまま使用せずにプレヒート(予備加熱)をおこないます。

キャンプなどではバーベキュー用の炭の火おこしや焚き火台の薪への着火、また料理時にはいわゆる「炙り料理」が手軽にできてしまう優れものです。

【特に注意する点】
・着火時は生ガス発生を防ぐためにボンベを垂直に。
・着火後も同様の目的でプレヒートを2分間。
・燃焼中にガス量調節ハンドルを回すときは、絶対に火口の金属部分を触らない。

現代の火打ち石「ファイアー・スターター」

最後にご紹介するのはこちらの「ファイアー・スターター」。メタルマッチとも呼ばれ、いわば「現代の火打ち石」とも呼べる便利グッズです。ガスなどの燃料が無い場合でも、これとティッシュペーパーさえあれば火を起こせてしまいます。

一般的に販売されているファイアー・スターターは多種多様のものがありますが、今回はamazonでベストセラー1位になっているノーブランド品を調達してみました。

ファイアー・スターターの原理は、マグネシウムやフェロセリウムといった可燃性の金属でできたロッドを削り、その削り屑に火花を散らせて着火させるというものです。こちらは、そのロッドを外装から出したところ。表面を覆う黒い皮膜をある程度削ってから使用します。

サイズ感を見るためにiPhone7 plusと並べてみたところです。小型でコンパクトなファイアー・スターターが比較的多い中で、こちらは長さがあるので握りやすく扱いやすいものになっています。

こちらは手のひらでサイズ感を確認。長さ的にはほぼ手のひらサイズと言って良いでしょう。実際の使用感的にも、とても扱いやすいです。

オマケ的な機能として、コンパス(方位磁針)が付いています。気泡入りなので水平度も測れそうですね。登山などに使う場合以外の実用性は未知数ですが、サバイバルグッズ的な雰囲気を醸し出してくれます。

右側のロッドを表皮を削って使える状態にしたもの。左側のミニ定規のようなものが「ストライカー」で、まずはこれでロッドをゆっくり削ってマグネシウムの粉末を作ります。次に、瞬発的に削るように動かすとロッドのマグネシウムが削り落とされながら着火して、火花となって落ちていきます。その先に、先に削り落としたマグネシウムの粉末があれば火を起こすことができます。

実際にストライカーでロッドを削って火花を散らせている瞬間を動画から切り出した画像がこちら。最初にマグネシウムを粉末に削り落とさずとも、風のない状態ならコットンやティッシュペーパーが1枚あれば(2枚重ねになっているティッシュペーパーを1枚にする)、その上で火花を散らせば簡単に着火できます。

実際にティッシュに一発着火させているinstagram動画がこちらです。
(ぜひITOITO-STYLEのinstagramアカウントをフォローしてみてください!)

着火できてしまえば、あとはこれを火種にしてより燃えやすい乾燥した枯れ葉や紙類に、次に小枝や使用済みの割り箸などに火を移し、最後は薪や炭などへ。また、アルコールストーブへの着火も簡単です。

ガスを使う着火方法は極めて便利ですが、厳冬期の低温時にはうまく燃焼してくれないことがあります。(阪神淡路大震災の当日は最低気温1.4℃、東日本大震災の当日の仙台では最低気温がマイナス2.5℃でした)
また一般的なマッチは雨など水に濡れたら使えません。その点このファイアー・スターターは気温からの影響を受けず、濡れても拭き取れば問題なし。

そして何より「火の価値・火を起こすとはどういうことか」を改めて認識させてくれるものでもあります。お子さんのいるご家庭なら、休日のキャンプやバーベキューの際に親御さん監視の下であえて「安全な火の学習」をしてみるのもいいでしょう。その際には、ひとりで火遊びなどをしないように危険性などをしっかりと教えてみてください。

ガストーチなどのライター系の便利グッズと併せて、このファイアー・スターターも非常持ち出し袋用やアウトドア用品として備えておきたいアイテムの1つです。

まとめ

火を起こすための道具は様々にありますが、生活インフラが無い場合は気象条件や周囲の環境によって確実に着火できるための手段を少なくとも2種類以上は備えておいて損はありません。そういう観点にもとづくと、風があっても使える・予め燃料を用意しておかなくても着火できるというあたりで、ライター系とファイアー・スターターの2つを用意しておくとオールマイティーに対応できそうですね。

人類がいかに火を発見・理解し手に入れ使うようになったのかという「火の起源」については世界中に残る様々な神話として存在しますが、もっとも有名なものはギリシャ神話として伝わる「プロメテウスの火」でしょうか。

実際に人類が「火」を手に入れて使いこなすようになったのは前期旧石器時代とも言われますが、太古の昔の人類またはヒト族が火を使っていたかどうかを調べるのは考古学的な考証の点でもなかなか難しいそうです。小規模な焚き火の跡などは風雨に晒されれば遺跡として残らないことと、反面、落雷や火山活動・山火事や自然環境における化学反応などによる自然発火などの痕跡は残ったりするからです。

一説には300〜100万年前というスパンで当時の人類が火を使ったという見方がありますが、決定的な証拠はありません。ただ、アフリカ・中近東においては、紀元前20万年前には日常的に火を使っていた跡があり、ヨーロッパにおいても紀元前50〜20万年前、アジアにおいても紀元前78〜23万年前あたりに火を使っていたということです。

様々な着火方法と道具が当たり前に存在する私たちの日常生活ですが、火を起こすこと自体が大変な手間を伴う作業だった時代に思いを馳せるという点において、ファイアー・スターターといったシンプルな道具を試してみるのは良い選択肢ではないでしょうか。

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