災害保険、入ってますか?補償内容確認してますか?
2018年9月の北海道胆振東部地震、2018年7月の西日本豪雨、2016年4月の熊本地震、2011年3月の東日本大地震などでは、多くの住宅が全半壊しました。
被災された方々のインタビューの中でも、土砂に半分覆われた住宅、傾いた住宅、屋根や壁の一部、骨組みだけが残っている住宅、こうした自宅の前で今後の生活再建への不安を訴える家族の姿に心が痛くなった人も少なくないのではないでしょうか。
そんな「いざというとき」に備えるのが地震保険や火災保険。近年は加入者数も増加傾向にありますが、意外と把握していないのが細かな契約内容や補償適用の対象と範囲。
今回は、編集部スタッフが実際に自宅を対象に地震保険を契約した際に見落とす可能性のあった点や、これから保険加入を検討されている方が注意すべきポイントをご紹介します。
保険は災害被害に遭った際の救済策
大きな災害の後の被災地からの報道を目にするたびに、私たちが地震や津波、火山の噴火、豪雨や雷、強風や竜巻、大雪に河川の氾濫など様々な自然災害と隣り合わせに生活しているんだということを思い知らされます。
こうしたシーンを目にしたとき、もし被災されたこの方たちが災害保険(地震保険や火災保険など)に入っていて、補償を受けられるならずいぶん助かるんだろうなと思いました。
もちろん、それぞれの経済状況やライフスタイルによって保険の必要性やお金をかける優先順位は異なるので、必ずしも保険に入る必要はないかもしれません。
たとえば、一人暮らしで賃貸住まい、それほど多くの家財道具を持っているわけでもないといった場合には、地震によって住まいが全半壊したとしても新しい賃貸物件への引っ越すことで生活の立て直しができるかもしれません(ただし火災保険の加入は借りる際の条件になっている場合がほとんど)。
引越代等の生活の再建に要する費用に関しても、条件を満たせば『被災者生活再建支援制度』も利用することができます。
この、自宅が全壊するなどして生活基盤に著しい被害を受けた人を支援する制度である被災者生活再建支援制度ですが、支援金の最高額は300万円であり、自宅を解体して新しい家を建設するのに助けになるほどの金額でありません。
その他、義献金やお見舞金など被災者を金銭的に支援する仕組みはありますが、それほど大きな金額ではありません。
たとえ被災して自宅が全半壊したとしても、新たに家を建設したり、大規模な修繕をして住み続けると考えるならば、地震保険や火災保険などの住まいに関する保険に入っていた方が安心ですね。
被災後の生活再建に多額の費用が想定される人ほど保険に加入する必要性が高いといえるでしょう。
理解していなかった編集部スタッフ
かつてITOITO-STYLE編集部スタッフの中で火災保険・地震保険の話になったときですが、実は自分の加入している保険内容をしっかりと把握している者はいませんでした。
スタッフの一人が加入してると言っていた火災保険は、セコム損害保険株式会社が販売している「セコム安心マイホーム保険」というものでした。(本記事はセコムさんとの提携記事ではなく、あくまでスタッフの経験に基づくものです)
本人には、保険会社の名前と地震と火事によって家に損害があった場合に保険金を受け取れるという程度の認識しかありませんでした。
どんなリスクに対応しており、補償の対象がどこまでなのか、いくら保険金を受け取ることができるのか、具体的なところまでの説明ができなかったのです。
そこで、保険内容については保険会社ごとに異なりますが、ここでは編集部スタッフが個人的に実際に契約した「セコム安心マイホーム保険」を参考に、保険内容を確認する際のポイントについてみてみたいと思います。
火災保険だから火事による被害を補償する保険と単純に理解している方もいると思いますが、たとえば雪の重みで自宅の屋根が壊れたという場合にも通常火災保険でカバーされます。
しかし、地震による火事で自宅が消失した場合には火災保険では補償されません。なぜなら、地震での火災の場合には地震保険に加入していることが必要という内容になっているからです。
みなさん、自分の加入している保険でどんなリスクが担保されているのか、再確認しておくことが必要だと思いませんか。
保険で対応できる災害リスク
セコムのマイホーム保険では、補償するリスクを
① 火災、落雷、破裂・爆発
② 風災・雹災・雪災
③ 盗難(家財の場合)
④ 建物の外部からの物体の落下、飛来、衝突等
⑤ 給排水設備の事故等による水漏れ
⑥ 騒擾、労働争議に伴う暴力・破壊行為
⑦ 水災
の7つに分けて、すべての場合を保証するワイドタイプ、⑦の「水災」以外を補償するベーシックタイプ、①から③までを補償するスリムタイプの3つから選べるようになっています。
編集部スタッフは、スリムタイプで契約していましたので、自然災害に関わる部分でいうと、落雷、風、雪によるリスクに対する保険に地震保険を追加したタイプです(地震保険に加入するためには火災保険に加入することが条件となっています)。
したがって、「地震・雷・風・雪」により被害を受けた場合には補償を受けられますが、台風や豪雨により自宅が浸水したり、土砂で流された場合には補償されません。
近年は地球温暖化の影響等により豪雨災害が頻発していますが、水災までカバーする場合には保険料も高くなりますので、住んでいる地域の地盤や周辺環境、排水処理の状況等を考えながら検討する必要があります。
このスタッフによると、自宅がある土地は高台にあり、地盤もしっかりしているので「水災」をはずしたとのことですが、最近では局地的な豪雨で都市の排水システムの限界による被害が頻発していることから、川からの距離や地盤のみで判断はできないかもしれません。
保険での補償対象は?
火災保険・地震保険の補償の対象は、「建物」と「家財」の2つです。編集部スタッフは、この点を保険証券で確認したところ、「建物」のみで加入していました。契約する際には、
①建物および家財
②建物のみ
③家財のみ
のいずれかを選択するようになっており、加入する際には建物や家財のいずれかのみでいいのか、両方必要なのかの判断が必要となります。
スタッフによると「建物」だけにした理由は、自宅が全壊して再建するのは大変だけど、家財については最低限で我慢するという割り切りで保険料を低く抑えたとのことです。
補償の対象についても、世帯人数が多い場合や広い家に住んでいる場合には家財の損害も多額にのぼることから、経済的に可能であれば建物と家財の両方に加入しておくと安心です。
保険金の額は?
では、実際に建物が被害を受けた場合にいくら保険金を受け取ることができるのでしょうか。
まず地震保険は、主契約である火災保険の保険金額(支払限度額、建物の評価額)の最大50%までとなっています。
地震の場合には想定される損害が大きく、保険会社の支払能力等の観点からこのように設定されたものです。
したがって、火災保険の保険金額が2,000万円であれば、地震保険では1,000万円が上限となります。
そして、実際に支払われる金額1,000万円を上限に、
① 全損の場合は1,000万円(ただし、時価限度額)
② 半損の場合は500万円(ただし、時価限度額)
③ 一部損の場合は100万円(ただし、時価限度額)
と機械的に金額が決まります。家財についても同様です。
他方、火災保険の方は、実際に2,000万円を上限に、損害を受けた箇所の修理費等が保険金として支払われます。つまり実際にかかる費用を補償してもらう形です(原則実損払い)。
自分の加入している火災保険・地震保険でどういった被害が受けた場合にどれくらいの保険金を受け取れるのかを把握しておくことが、被災後の生活再建を考える上で大切ではないでしょうか。
まとめ
さっそく、自分の加入している保険の内容を確認している方もいるではないでしょうか。
自分の加入している火災保険・地震保険では、
①どんなリスクに対して
②何を(建物・家財)
③いくらまで
補償してもらえるのか。この3点を押さえておくことが必要です。
そして、保険内容が現状のリスクへの備えとして過不足があればその内容の見直しを検討しましょう。