ポータブル電源『miLIn ポータブル電源 622Wh』新登場
震災や台風などの自然災害による停電時やアウトドアシーンで大活躍の「ポータブル電源」。近年では家電量販店に特設コーナーができるほど、認知度とユーザー数が急増中です。特に最近では、折りたたみ式で携行可能なソーラーパネルと組み合わせて「電力を自分で作って使う」という取り組みも。
今回は miLIn Life さんから実用的ポータブル電源の新製品『miLIn ポータブル電源 622Wh』をご提供いただいての徹底レビューです。
【miLIn Life 公式サイト “miLIn ポータブル電源” 製品ページ】
https://w78976.wixsite.com/milin
【miLIn Life 公式Makuakeプロジェクト】
https://www.makuake.com/project/milin/
【miLIn Life 公式Facebook】
https://www.facebook.com/Milinjp-106278168092486
【miLIn Life 公式Twitter】
https://twitter.com/MilinlifeJ
【miLIn Life 公式Instagram】
https://www.instagram.com/milinlife2021/
そして今回もいつも通り、ITOITO-STYLEの製品レビュー・ポリシー『徹底的なユーザー目線』によって、忖度なしのメリット・デメリットあわせてしっかりとレビューしていきます。
次の災害が発生する前に備えよう
画像出典:Wikipedia「東日本大震災」
2011/3/11に発生した東日本大震災は「1000年に1度の巨大地震」と言われ、発生時点において日本周辺における観測史上最大の地震となりました。「1000年に1度だから、今後はそれほど心配せずとも大丈夫?」と思われるかもしれませんが、それは「M9.0・最大震度7の巨大地震」としての目安です。
あの震災以降の10年間に日本で観測された大地震として「最大震度6強以上」のものを見てみましょう。
【東日本大震災以降で発生した最大震度6強以上の地震】
発生日時 | 震源 | 最大震度 | マグニチュード | 深さ | 北緯, 東経 |
---|---|---|---|---|---|
2021/02/13 23:08頃 | 福島県沖 | 6強 | 7.3 | 約60km | 37.7, 141.7 |
2019/06/18 22:22頃 | 山形県沖 | 6強 | 6.7 | 約10km | 38.6, 139.5 |
2018/09/06 03:08頃 | 胆振地方中東部 | 7 | 6.7 | 約40km | 42.7, 142.0 |
2016/04/16 03:55頃 | 熊本県阿蘇地方 | 6強 | 5.8 | 約10km | 33.0, 131.2 |
2016/04/16 01:25頃 | 熊本県熊本地方 | 7 | 7.3 | 約10km | 32.8, 130.8 |
2016/04/15 00:03頃 | 熊本県熊本地方 | 6強 | 6.4 | 約10km | 32.7, 130.8 |
2016/04/14 21:26頃 | 熊本県熊本地方 | 7 | 6.5 | 約10km | 32.7, 130.8 |
2011/04/07 23:32頃 | 宮城県沖 | 6強 | 7.4 | 約40km | 38.2, 142.0 |
2011/03/15 22:31頃 | 静岡県東部 | 6強 | 6.0 | 約10km | 35.3, 138.7 |
2011/03/12 03:59頃 | 新潟県中越地方 | 6強 | 6.6 | 約10km | 37.0, 138.6 |
2011/03/11 14:46頃 | 三陸沖 | 7 | 9.0 | 約10km | 38.0, 142.9 |
10年間になんと10回も発生しているのです。最大震度6弱以上で見た場合は、10年間に「28回」も発生。2000年代に入って日本を含む「環太平洋火山帯」が活発化していると言われる昨今、次の巨大地震がいつ・どこで発生するのかは、現代の最先端科学をもってしても予測することは不可能という結論がでています。
そこで重要になってくるのは「次が起きたときに、(命や自宅が無事なら)備えがあるかどうか」という点です。
食料品や飲料水などの備蓄や一般的な防災用品を備える方々はだいぶ増えていますが、意外と見落としがちなのが「断水時に使えるトイレ」と併せて「実用的な容量の電源・電力の確保」です。
東日本大震災や熊本地震などで発生した停電においてもインターネット自体は利用できる状態だったため、スマホが極めて重要な情報インフラとして機能しました。通勤通学用のバッグに手軽に入れて持ち運べる小型の「モバイルバッテリー」を外出先などで活用されている方も多くなりましたが、停電時に自宅内での生活を実用的に賄う用途には足りないものです。
例えば2018年9月6日に発生した「北海道胆振東部地震」では、被災地だけでなく北海道全域が停電となる「ブラックアウト」が起き、大きな問題となりました。
(この北海道でのブラックアウトに関する詳細にご興味のあるかたは、資源エネルギー庁が公開している情報『日本初の“ブラックアウト”、その時一体何が起きたのか』をご覧ください)
大地震だけではない、毎年起きる「台風・大雨による停電」
そして停電となるのは大きな地震だけではありません。特に近年は地球温暖化の影響で発生する台風の規模や勢力が大型化しており、梅雨時期を含めて豪雨による河川の決壊や停電が毎年のように発生しています。
2019年9月9日には、台風15号(令和元年房総半島台風)の上陸によって送配電設備が広範囲にわたり損壊、千葉県や茨城県など1都6県で合計93万戸が停電。
2018年9月30日には、台風24号(平成30年台風第24号)の上陸によって送配電設備が広範囲にわたり損壊、中部電力管内で「平成最大の大停電」として、のべ254万戸が停電しています。
さらに現在、日本国内ではすべての原子力発電所が運転を停止しているため発電の大部分を火力に頼っていますが、2020〜2021年にかけての冬の記録的な寒波で暖房向けの電力需要が急増、火力発電の燃料となっている液化天然ガス(LNG)の在庫が減少して一時は大規模停電の危機に曝されました。
今後は夏の猛暑で冷房向けの電力需要のひっ迫による、真夏の大停電の可能性も指摘されています。もしもの停電時に、少なくともサーキュレーターや扇風機などを動かすことのできる電力は、各ご家庭レベルで備えておくべきでしょう。
停電対策の最適解は「ポータブル電源 + 折りたたみ式ソーラーパネル」
停電時や電源がない場所での100V供給には以前であればガソリン式の小型発電機が使われてきましたが、大型で音も大きくガソリン駆動のため一酸化炭素を含む排気ガスも発生するなど家庭内で使えるものではなく、どちらかと言えば工事現場やイベント会場などで屋外に設置して使用するものでした。
しかし、やむを得ない事情により自宅内でガソリン発電機を使い、残念ながら命を落とす事故も発生しています。
[日経新聞] 自宅で発電機、男性2人がCO中毒死 停電影響か
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35139280X00C18A9CC1000/
[朝日新聞] 発電機使用で一酸化炭素中毒か 停電中の住宅で夫婦死亡
https://www.asahi.com/articles/ASP1H6R34P1FULUC00J.html
ポータブル電源であれば、安心して家庭内でも使用できます。言わば『大型・大容量のモバイルバッテリー』。充電した状態で保管しておき、いざ停電時に活用。
電力が減ったぶんはソーラーパネルから充電することで、ある程度安心して停電を乗り切ることができます。
実用容量622Wh!「miLIn ポータブル電源」
今回ご紹介するのは『miLIn ポータブル電源 622Wh』。
家庭用コンセントにつなぐ家電製品が使えて622Wh(172,800mAh)の実用容量、ACアダプタ+USB PD100W入力による急速充電、ソーラーパネルからも充電可能。実用性とメリット、そしてデメリットもしっかり見ていきます。
■ miLIn 日本公式サイト
https://w78976.wixsite.com/milin
■ miLIn ポータブル電源 購入申し込みページ
https://www.makuake.com/project/milin/
■ miLIn ポータブル電源 仕様概略
・電力容量:622Wh(172,800mAh)
・最大出力:600W
・採用バッテリーセル:高エネルギー円筒型リチウムイオン電池
・充電コネクタ:DC 55×2.5mm入力(5525端子)
・急速充電対応(ACアダプタ + USB PD 100W使用時で最短約4時間)
・ソーラパネル充電対応(MTTPコントローラ内蔵・100Wパネルで最短約10時間)
・シガーソケット充電対応(120Wで最短約7時間)
・最大接続デバイス数:9台
・高輝度LEDライト付き(モールス信号SOS発信機能あり)
・本体重量:約6.8kg
電力容量はモバイルバッテリーの3.7V換算で172,800mA、モバイルバッテリーの容量 10,000mAh モデルのおよそ17個分の容量です。
どう使う? miLInポータブル電源 + 純正ソーラーパネル
2021年の新年度から、家庭での電気料金が値上げとなります。
具体的には、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及に掛かるコストの上乗せ額である「再エネ発電賦課金」が、標準的な家庭(1カ月の電気使用量260kwh)で年間10,476円となり、この国民負担額が初めて1万円を超えることとなります。
すでに自宅の屋根にソーラーパネルを設置して売電に取り組んでいるご家庭も増えていますが、蓄電設備の無い売電だけでは災害時の対策含めて自宅太陽光発電のメリットが薄らいできているとも言えます。であれば「売電から電気の自産自消へ」という発想の切り替えタイミングです。
簡単に取り組めるのが「ポータブル電源 + 折りたたみ式ソーラーパネル」の組み合わせによる電気の自産自消であり、実際に電気を作って使うのがどういうことなのか、という部分を身をもって実感できます。そして「電気の自産自消」に慣れておけば、いざというときでも慌てず不安にならずに電源の確保ができるというもの。
そこで活用できるのが、「miLIn ポータブル電源」と純正品の折りたたみ式100Wソーラーパネルの組み合わせです。
折りたたみ式ソーラーパネルであれば、必要なときだけ自宅のベランダや庭で太陽光発電による充電が可能。仕様としては、100Wソーラーパネルによる充電に必要な時間は約10時間。災害時に活用する場合は、
①朝、太陽が出てきたら充電を開始
②夕方まで充電を続行
③夜間の電力供給に使用する
というパターンが想定できます。
ポータブル電源を2台運用できるなら、予め2台またはどちらか1台は満充電にしておき、片方を使用中にもう片方を充電するスタイルにすると、日中・夜間のどちらもポータブル電源で電力を確保することが可能です。
複数の充電方法と、急速充電対応
「miLIn ポータブル電源」のパッケージには、
・ACアダプター&ACケーブル
・USB Type A to Type Bケーブル
・USB Type C to Type Cケーブル(5A/100W対応)
・DC/DCケーブル
・車載用シガーソケット充電ケーブル
が標準添付されており、状況に応じて複数の充電方法を選ぶことができます。
① 100Vのコンセントから付属のAC電源アダプタを使用して充電する
もっとも一般的な充電方法です。家庭やオフィスのAC100Vのコンセントから充電します。
ポータブル電源本体に接続するDCコネクタは、55×2.5mmサイズのもの。
平均的な入力電力:88W
▶充電完了時間の目安:約7時間
② USB PD 100Wを用いて充電する
近年ポピュラーになりつつある、USB TYPE-Cコネクタによる充電方法です。
ACアダプタがサイズも大きく若干かさ張るので、充電環境をコンパクトにしたいならこちらも選択肢。
平均的な入力電力:88W
▶充電完了時間の目安:約7時間
③ 100VのACアダプタ + USB PD TYPE-Cによるダブルチャージ
「miLIn ポータブル電源」の充電方法としては最大の特徴である急速充電を実現する方法です。
AC100V + USB PD 100Wを組み合わせることで、充電時間を短縮できます。
平均的な入力電力:200W
▶充電完了時間の目安:約4時間で80%まで。
④ 車のシガーソケットから充電する
車中泊派なら走行中はこのシガーソケット充電を活用すると良いでしょう。
平均的な入力電力:54〜56W
▶充電完了時間の目安:約7〜10時間(シガーソケット出力による)
⑤ ソーラーパネルを用いて太陽光充電する
別売りの100W折りたたみ式ソーラーパネルを用いれば、太陽光で充電することも可能です。
ポータブル電源をアウトドアや災害時に活用するなら必須の太陽光充電。「miLIn ポータブル電源」本体とは別売りの100W出力の折りたたみ式ソーラーパネルを使うことで、AC100V電源が調達できない環境でも充電が可能です。
平均的な入力電力:〜54W(ほぼ快晴時)
▶充電完了時間の目安:約10時間〜(天候による)
実際にさまざまな家電製品を動かす
ここで、いくつかの家電製品や車載デバイスで使ってみます。
サーキュレーター(小型扇風機)
想像したくないのが夏場の停電でエアコンのクーラーが使えなくなること。しかし、実際に残暑というより猛暑・酷暑が続く9月初旬の台風で停電が起きてるのは御存知の通り。
「miLIn ポータブル電源」とソーラーパネルを備えてあれば、そのような状況でもサーキュレーター(小型扇風機)を動かして涼をとることが可能です。
首振りモードと、振らない固定モードそれぞれの消費電力は次の通り。
・首振り 弱 25W
・首振り 中 42W
・首振り 強 54W
・固定 弱 19W
・固定 中 24W
・固定 強 49W
実際の使用時は首振りモードの「中」で使用するケースが多いと思いますが、42W程度であれば約12時間強、連続で半日は動かせます。
空気清浄機
スギ花粉やハウスダストなどのアレルギー持ちには欠かせない空気清浄機。敏感に反応する時期の停電はなかなかツラいものがあります。
ここではダイキン社製の空気清浄機、定格消費電力73Wのものを動かしてみました。
いくつかのモードと状況で消費電力を見てみたところ、
・自動運転の通常モード 22W
・自動運転でハウスダストを感知した状態 43W
・最強のターボモード 71W
・手動で静音モード 17W
という結果となりました。特に「自動運転でハウスダストを感知した状態」ではかなり強烈に動作するのですが、消費電力は43W程度。
最強のターボモードにしてようやくスペックどおりの消費電力となり、自動運転にしておけば22W程度で安定します。この状態ならほぼ24時間の連続稼働が可能です。
セラミックファンヒーター
肌寒い季節に狭いエリアを暖めるのに重宝するのが「セラミックファンヒーター」。
強モードでの消費電力1200W・弱モードで600Wの製品です。さすがに強モードでは動作しないの明白ですが、弱モードの起動時の大きめの電力消費を乗り越えられれば動作するはずです。
結果、無事に弱モードで動作させることに成功しました。消費電力はだいたい560W台で安定。連続動作可能な活動限界時間はほぼ1時間です。
電気を熱に変換するのはコストパフォーマンスが極めて低く、これはどのポータブル電源でも同じです。停電時に暖を取りたい場合は、セラミックファンヒーターではなく石油ストーブやカセットガスストーブ、電気毛布などを利用すると良いでしょう。
ただし、セラミックファンヒーターをポータブル電源で有効利用する方法が1つだけあります。それは「短時間での放電用途」です。
ポータブル電源の長期保管時は定期的にカラに近い状態まで放電させてから再充電することが推奨されていますが、普通に使っていては短時間でカラにするのは難しいもの。そんなときはセラミックファンヒーターを動かせば、極めて短時間で放電させることができます。
電気毛布(1人用)
アウトドアのキャンプを楽しむ方々には定番のポータブル電源の友が、電気毛布。消費電力も控えめで編集部スタッフも冬キャンプには必ず持っていくアイテムです。
使用したのは「Sugiyama」の1人用電気毛布。
定格消費電力=55Wの製品です。
実際に使用した際の消費電力は、
中モード 45〜70W、時々0W
強モード 53〜74W(ダニ退治モード)
となりました。冬に布団外で使うと多少余分な消費電力を使うということかもしれませんが、ダニ退治用の高温設定でも7時間は使える計算になります。
現実的には「中〜弱モード」で使うケースがほとんどだと思いますので、実用面での問題はないでしょう。電気毛布の仕組みは、設定温度まで上がったらいったん電力消費をOFFにして温度が下がってきたらまたONに、という動きになります。
電気毛布(2人用)
そして次に使用したのは「なかぎし」の2人用電気毛布。
定格消費電力=80Wの製品です。
実際に使用した際の消費電力は
中 60〜95W、時々0W
強 68〜93W
となりました。平均するとほぼスペックどおりの消費電力で、冬のファミリーキャンプなどで使うと便利です。1晩は問題なく使えそうですね。
車載用電気毛布
ちょっと古い製品ですが、シガーソケットから給電して使用する車載用電気毛布があったので試してみました。
実際に使用した際の消費電力は強モードでも52W程度と、なかなかのパフォーマンスです。合計10時間程度は使うことができます。
車中泊にも便利な電気毛布ですが、エンジンを切った状態でシガーソケットに繋いで使用するのは車のバッテリー上がりの可能性もあるのでオススメできません。かと言って、一晩中エンジンをかけたままにもできません。車中泊はルールやマナーに十分注意して楽しみましょう。
車載用炊飯器
そして最後は、車載用の炊飯器です。一般的な家庭用の炊飯器のように圧力炊きや羽釜焚きといった高度な機能は無くとてもシンプルなものですが、十分美味しいご飯を炊くことができます。
今回試したのは「FINTA 車用炊飯器 1.6L」。実際に炊いて試したところ、最大でお米3合まで問題なく炊くことができました。
定格消費電力=12Vで100W
実際の炊飯中は常に138〜140W程度の消費電力となり、2合なら40分・3合なら約50分で炊きあがります(事前にお米は1時間吸水)。
この炊飯器の仕様的には炊きあがると自動で保温モードに移行するとなっていますが、炊きあがるといったん消費電力がゼロとなり、同時に「miLIn ポータブル電源」側のシガーソケット出力もオフとなりました。
災害時、避難所で手持ちのポータブル電源を個人的に使えるか?
現実的には、実際に災害が発生して避難所でポータブル電源を個人的に使うことは「できない」と思っておいたほうが良いでしょう。
共同生活になるため、利便性の高い製品などは共用の使用物として提供することになる可能性が高いためです。もちろんそのために備えておくことは極めて有効ですが、本来その役割は自治体などが担うべきとも考えます。
災害発生時に手持ちのポータブル電源はあくまで家庭や個人使用に留めておきたい場合、発災後の初動では避難所に身を寄せたとしても、状況が落ち着き命と自宅が無事なら「在宅避難」という形をとることができます。
その状況を迎えてから、手持ちのポータブル電源とソーラーパネルを活用することを考えておきましょう。
備考とメリット&デメリット
【備考】
・使用する電気製品の作動時間の目安は?
「電力容量 × 0.85 ÷ 使用電気製品の消費電力」
で算出できます。
・長期間使用せずに保管する場合の注意点は?
満充電せず、70%程度の充電量にして補完しましょう。3ヶ月〜最長でも半年に1回は残容量10%程度まで放電させた後で、再度70%程度まで充電して保管します。
放電には時間がかかりますが、たとえばセラミックファンヒーターの弱モードが500〜600W程度なら1時間程度で放電できます。
【「miLIn ポータブル電源」のメリット】
・特徴的な急速充電
別途PD 100W出力ができるUSB給電デバイスが必要ですが、ACアダプタとの組み合わせでかなり短時間で満充電状態にできます。
午前中から使いたい場合は深夜からでも、午後から使いたい場合は午前中に充電を仕掛けておけば十分に間に合います。
・実用的な「丁度いい」容量
一般論としては、ポータブル電源は大容量であるほど良いといった風潮がありますが、大容量になるほど重量が増加し満充電までに必要な時間も長くなるもの。急速充電対応の超大容量モデルなどもありますが、やはり問題は「重量」です。気軽にポータブル電源を持ち運べる限度は、やはり500〜700Whクラスのモデルがベスト。その点、この「miLIn ポータブル電源」は『丁度いい』のです。
・残容量/入力電力/出力電力が解りやすい
競合製品の多くが、特に残容量を20%刻みのインジケーター表示であったりしますが、こちらはしっかり1%刻みのデジタル表示。あと何%残っているのかが一目瞭然です。ポータブル電源を計画的に使いたい場合には欠かせない機能です。
・LEDライトの自動「SOS」発光モード
東日本大震災では、初動で避難所となった学校などの施設の校庭や屋上に、木材やライン引きなどを使って「SOS」「HELP」などの大きな文字を作って救助を求める状況がいくつも発生しました。そんなとき夜間であれば、この自動「SOS」発光モードを用いて空に向かって光を発信するという使い方もできそうです。
・高負荷でも意外と粘る
定格出力が最大600Wですが、630Wを超える出力が5分程度続いても止まること無く、本体が過剰に過熱することもなく安定稼働してくれました。セラミックファンヒーター(弱モード)などの起動電力を乗り越えるにはメリット有りです。
【「miLIn ポータブル電源」のデメリット】
・高負荷時のファンの音が大きい
特に消費電力が大きい電気製品を動かす場合は、排熱ファンの音がそこそこ大きめです。深夜に周囲に人が寝ている状態で高負荷なものを動かすには少々躊躇する程度ではあります。もっとも、ポータブル電源でそこまでの負荷が掛かる電気製品を動かす用途もそう多くは無いはずですので、用途を選べば大きな問題は無いでしょう。
・ソーラーパネル充電にかかる時間がゆっくり
純正100Wパネルを利用した場合、天候にもよりますが晴天時でだいたい10時間を見ておくと良いでしょう。オススメはすでにご説明したように、「miLIn ポータブル電源」を2台で運用すること。片方を使用中にもう1台を充電するという使い方であれば、実用レベルで使うことができます。
・急速充電が80%まで
メリットでもある急速充電ですが、一気に充電できるのが80%程度までとなっています。安全性を考慮しての仕様と思われますが、一気に満充電までもっていきたい場合はもうちょっと頑張って欲しい。ただ長期保管用途であれば、カラの状態から70%程度まで一気に充電できる点は評価できます。
まとめ
近年、その実用性と利便性から備えるユーザーが急増中の「ポータブル電源」。しかし多くの場合、ポータブル電源本体のみの入手に限定される傾向があります。
自宅の庭でガーデニング、家庭菜園やガレージ、野外イベント会場などで使う場合は、「100VコンセントからACアダプタでポータブル電源を充電 → 使う場所に持ち出す → 使い終わったら屋内の100Vコンセントから再充電」というサイクルなので特に問題はありません。
しかしAC電源の無いアウトドア・キャンプや、災害で停電が発生した場合はどうでしょうか?
電源が無い場所や停電時に活躍するのがポータブル電源の真髄ですが、同時に電力の残容量のカウントダウンが開始されることを忘れるわけにはいきません。100Vの家電製品が使える点もポータブル電源の大きなメリットですが、家電製品は消費電力が大きなものが多いためポータブル電源が保持している電力の消費も大きくなり、残電力量ゼロまでの時間は短くなります。
停電が数時間程度で復旧するならまだしも、停電が数日間に及ぶ場合は状況によっては文字通り死活問題となる可能性もあります。
2019/9/9に台風15号が上陸した千葉県では、1週間経っても約7万戸が停電したままという状況になりました。
災害時など、100Vコンセントから充電ができない状況下でポータブル電源を使う場合は運用にコツが必要です。それをある程度、現実的なレベルで解消できる手段は、
・ポータブル電源 + ソーラーパネルの組み合わせ
・家電類も100V製品ではなく、より消費電力の少ないバッテリー稼働や車載グッズを活用
となります。
この場合、ポータブル電源の容量が大きければ大きいほど良いわけでもなく、ソーラーパネルも使い勝手を考えて選ぶ必要があります。
ITOITO-STYLE編集部でもこれまで様々なポータブル電源やソーラーパネルを使用してきましたが、その中でたどり着いた1つの結論としては
『500〜700Whクラスの容量のポータブル電源を2台と、100W以上の出力がある折りたたみ式ソーラーパネルによる運用』
となりました。ポータブル電源2台というのは前述の通り、1台を使用中に片方をソーラーパネルで充電しておくスタイルです。ソーラーパネルによる充電は天候に大きく左右されますが、2台体制で使えば電気が無い時間帯をそれだけ少なくすることができ、なおかつ太陽光による充電であるため「電力が枯渇する」という不安はありません。
中規模以上の地震が頻発している昨今、非常食や飲料水・簡易トイレなどと並んで、停電時に使える電源の確保も最重要課題です。
これを機会に、『miLIn ポータブル電源 622Wh + 100Wソーラパネル』をぜひ備えてみてください。
『miLIn』とは?
「miLIn」は、中国の優れたIoT家電メーカーのみが参加できるコミュニティ「シャオミ・エコシステム」に所属する上海潤米科技有限公司のブランド。中国では長年「世界の工場」として培った製造技術と品質管理のノウハウに加えて近年のIT技術の劇的な進歩・多国籍構成のエンジニア体制により激しい競争がおこなわれ、ハイクオリティな製品が多数登場している点はご存知の通りです。
特に近年のポータブル電源やドローンの開発においては中国ブランドが独走、IT技術でも米国と熾烈なトップ争いを繰り広げています。今回の「miLIn」の登場により、ポータブル電源市場はさらなる活性化が予想されます。