保冷剤クーラーとは?
文字通り、冷凍庫で冷やし固める「保冷剤」を使った簡易クーラーです。
原理は簡単、よく冷えた保冷剤に風を当ててやると、保冷剤を通過した冷たい空気が「風下」に出てくるというもの。
発泡スチロール製の簡易クーラーボックスなどを活用して、比較的安価な素材を使って手作りできます。
キャンプで使う場合は就寝時のテント内で稼働させれば涼しい空間を作り出せますし、防災用途で使う場合は暑い日の停電時にお子さんやペットなどを暑さから守る使い方もできそうです。
それでは、さっそく作ってみましょう。
材料と仕組み
【材料】
① 発泡スチロール製のクーラーボックス:ホームセンターで格安で入手可能です。
(今回は 幅380mm × 奥行き220mmサイズを使用)
② 送風口用のガラリ:無くても良いですが、あると送風方向を変えられます。
(DIY系ホームセンターでも入手可能)
③ USBファン:80mm角。
(これを動かすために別途モバイルバッテリーが必要です)
④ 保冷剤:大型高性能であるほど望ましいところ。
⑤ アルミテープ:無くても良いですが、あるとクーラーボックスの保冷性能アップが期待できます。
仕組みは簡単、USBファンで周囲の空気をクーラーボックス内へ吸入し、保冷剤で冷やした空気を出力するだけです。
作り方
さっそく作っていきます。
作り方もとても簡単で、発泡クーラーボックスのフタに「USBファン」と「ガラリ」をはめ込む穴をカッターナイフで開けて、それぞれをはめ込んだらだいたい完成したようなものです。
穴あけイメージは写真の通り。
まずは「ガラリ」をはめ込む穴開け。
発泡クーラーボックスのフタにガラリを位置を決めて置いたら、切り取る部分の周囲にペンでなぞって線を描き、カッターナイフで丁寧にカットしていきます。円形に穴を開けるので、カッターナイフは細いほうがやりやすいです。
コツは、描いた線よりもやや内側をカットすること。ガラリをはめ込んだ際に多少キツめになるように調整しながらカットすると、開けた穴にギュっとジャストフィットして抜けにくい状態となります。
次はUSBファンをはめ込む穴あけ。同様にファンをフタに当てて周囲に線を描いてから、カッターの刃を入れていきます。円形ではないぶん、カット作業はやりやすくなります。
また、カット時には細かい発泡スチロールの切りかすが出るので、周囲には衣服などを置かないようにしましょう。静電気でくっついて取りにくくなることがあります。(編集部スタッフ、やりました)
穴があいたら、ガラリをゆっくり丁寧にはめ込みます。キツめのサイズにしておけば、ギュギュッとフィットしてそのまま固定できます。
USBファンも同様に。モバイルバッテリーにつなぐためのリード線があるので、うまくハマるようにカッターナイフで微調整しながらキツめにフィットさせます。
はめ込み完了。基本的には、ここまでできてしまえば完成したも同然です。
あとは冷凍された保冷剤をクーラーボックスに入れてこのフタを閉め、USBファンをモバイルバッテリーに繋げば冷えた空気が出てきます。
冷房効率を上げるため、もうひと工夫
前章のまま活用してもいいのですが、冷房効率アップを期待して、もうひと工夫。発泡クーラーボックスの内側にアルミテープを覆うように貼って、より断熱性を高めます。
幅広のアルミテープを、クーラーボックスの内側の「辺」に合わせ少し長めにカットして貼っていきます。アルミテープは粘着力が強く折れ目が付きやすいので、丁寧に作業します。
クーラーボックスの内側にひととおり貼りました。貼り合わせ部分は目分量で5mm程度を重ね貼りしています。
1枚貼ったらクーラーボックスの内壁にしっかりくっつくように、押し伸ばすようにしていきます。
クーラーボックス内の底面と側面を一通りアルミテープで貼り覆って完成です。
実戦投入
さっそく8月の夏キャンプで活用してきました。
保冷剤も気合を入れて、株式会社川合技研さんの「ネオアイスPro(1250ml / -16℃が16時間)」という強力保冷剤を2つ装備。
外気温が約30℃の環境で、冷風吹き出し口から出てくる空気の温度を計測すると、22.5℃というなかなかの冷えっぷりです。
これを活用するには、屋外空間ではなくテント内に設置するのがベスト。就寝前からテント内で稼働させて準備し、寝苦しさも無く快適な睡眠を得ることができました。
夏の停電時に活用できるか?
保冷剤クーラー、キャンプだけではもったいない。ということで、夏の停電時に屋内で使う想定で実験してみました。
さすがに1部屋まるごと冷やすような能力は無いので「限定した狭い空間だけ」を冷やし、例えば小さなお子さんやペットなどを暑さから守る想定です。
使った保冷剤は同様に「ネオアイス Pro」。1人用のテントを冷房を切った部屋の中に設置し、部屋の温度に対してテント内の温度をどこまで下げられるのかを見てみることにしました。
実験は8月上旬の14時からスタート。14:40には部屋の温度は35.5℃に達しましたが、保冷剤クーラーを入れた1人用テント内は32.6℃と、約3℃下げることができました。持続時間は約3時間。
設置環境をより温度の低い状態にできれば&保冷剤をより多く用意できれば、より温度を下げたり持続時間を伸ばすことが可能でしょう。停電が復旧するまでの時間であれば、なんとか実用レベルで活用できそうなことが判ります。
まとめ
夏といえばキャンプ、キャンプと言えば夏。しかし秋も深まる頃までは日中は暑いものです。少しでも涼しく過ごす方法があれば使ってみたいもの。
最近はポータブル電源の普及により暑い日のキャンプではサーキュレーターを活用できるようになりましたが、こうしたちょっとアナログな?方法も良いものです(保冷剤冷凍のために事前に冷凍庫は使いますが)。
特に保冷剤は文字通り冷たさを保ってくれる素材、大容量のものをご家庭の冷凍庫に常備しておくと、停電時には冷蔵庫に移し替えて庫内温度の上昇スピードを遅らせることもできます。
また、ヤケドや捻挫などで患部を急冷したい際にはタオルで包んで使うこともできるなど、常備しておきたい「備災アイテム」の1つ。
そしてキャンプは基本的に、電気・ガス・水道が潤沢に使えない環境で過ごすため、個人や家庭レベルでの備災訓練(防災訓練)としても最適です。天候や環境に併せて快適に過ごすための様々な工夫を自分で試してみるのも有意義だと思います。
「保冷剤クーラー」も簡単に作れるものですので、機会があればぜひ試してみてください。