一般家庭でも普及が進む「ポータブル電源」
近年の災害対策・防災シーンや車中泊・キャンプ用途などで広く普及が進んでいる「ポータブル電源」。身近な防災グッズとして台風や豪雨時に停電が発生した際にも活躍するなど、その利便性の高さで購入する人が急増中です。
たとえば2018年9月6日に発生した「北海道胆振東部地震」では、最大震度7を記録し北海道全域が停電となる「ブラックアウト」が発生。
画像出典:朝日新聞デジタル 『北海道全域がブラックアウト スマホ充電求めて長蛇の列』より
当日はスマホなどの充電が可能なスペースを開放した札幌市役所に多くの住民が集まるなど、現代人の生活がいかに電力に依存していたかを白日の下に晒すこととなりました。
特にコロナ禍においてこの状況を考えた場合、この「密」な状況になることは避けなければなりません。停電時に個人レベルでいかに電源を確保するかというのは、今後極めて重要な課題になります。
そんなときに備えてあれば、慌てなくて済むのがポータブル電源です。
リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池採用のポータブル電源「BLUETTI EB70 (716Wh)」登場
今回ご紹介するポータブル電源は新製品『BLUETTI EB70』。
前回の「BLUETTI AC100 1000Wh」に続き「BLUETTI」日本公式、パワーオーク株式会社さんから『BLUETTI EB70』をご提供いただいてのレビューとなります。
【BLUETTI 公式サイト EB70製品ページ】
https://www.bluetti.jp/products/bluetti-eb70
【BLUETTI amazon EB70販売ページ】
https://amzn.to/38IdvyL
【BLUETTI 楽天ショップ EB70販売ページ】
https://item.rakuten.co.jp/bluetti/eb70/
とは言え、いつもどおりITOITO-STYLEの製品レビュー・ポリシーは『徹底的なユーザー目線』です。メリットだけでなく、ちょっと気になるポイントも忖度無しで併せてしっかりとレビューしていきます。
リチウムイオン電池からリン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池へ
ポータブル電源に内蔵されている電池は、いまのところ「リチウムイオン電池」が一般的ですが、2019年あたりから少しずつ増えているのが「リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池」を採用したモデル。
リン酸鉄リチウム電池は従来のリチウムイオン電池に比べて、低温・高温での安定性と安全性が向上したものです。
特にリチウムイオン電池は寒さに弱く、スマホを真冬の暖房を切った室内に置いておいたら、いつの間にかバッテリー残量がかなり少なくなっていた、と言う経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
「BLUETTI EB70」 では、そのようなリチウムイオン電池の弱点を克服した「リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池」を採用しながら普及価格帯となり、家庭用コンセントからの急速充電や高出力ソーラーパネルによる効率的な充電に対応するなど、より実用的かつ意欲的な仕上がりとなっています。
BLUETTI「EB70」の特徴
より安全な「リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池」を採用
リン酸鉄リチウム電池は、電池内部で発熱が起きても結晶構造が変化・崩壊しにくいため、一般的に使用されているリチウムイオン電池よりも安全な電池です。
■ リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池とは?
画像出典:wikipedia『Lithium iron phosphate battery』
- リン酸鉄リチウムは熱分解温度が高いため安定性や安全性が優れている
- サイクル充電回数は2000回以上と長寿命
- 鉛蓄電池に比べると1/10の短時間で充放電が可能
- 冬の低気温環境下でも使用可能。リン酸鉄リチウムイオン電池の特性として、-20℃の低温環境でも使用可能とされる
- リン酸鉄リチウム電池の自己放電率は月に1%程度で、長期保管向き
リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池には、以上のような特徴があります。
大容量716Wh、定格出力700W
現在、もっとも使い勝手の良い容量の目安となる「700Whクラス」をリン酸鉄リチウムを採用の上で普及価格帯で実現しており、定格出力(指定条件下で機器を設計上、安定して使用できる電力量)も一般的な用途としては十分な700Wを確保。
災害時や車中泊にキャンプ、自宅のベランダやガレージ・ガーデニング作業時など、AC電源のコンセントの無い場所でも実用的な電源として利用できます。
■容量と定格出力について
電力容量716Whと定格出力700Wの見方について簡単にご説明すると、
・電力容量:消費電力716Wの家電製品を1時間使用できる容量
・定格出力:ざっくり言うと家電製品の「いわゆる消費電力」に相当
となります。たとえば、
・容量716Whのポータブル電源に消費電力50WのノートPCを接続した場合、およそ14時間使用できます。
・消費電力500Wの電気ヒーターを使う場合は、およそ1時間25分程度でポータブル電源がカラになります。
・消費電力800Wの家電製品を接続すると、定格出力を上回るため電力供給停止となり、使用できません。
という関係になります。
急速充電を含む4つの充電モード
- 急速AC充電
家庭用ACコンセントから200Wで充電、約3.75〜4.2時間程度で満充電状態にできる急速充電に対応。付属ACアダプタ仕様時の実測値で195〜196W程度の入力。 - 高効率な太陽光充電
MPPTコントローラー搭載、入力12-28V8A。120Wソーラーパネルでは満充電まで快晴時で約7時間。 - 車載シガーソケット
製品同梱のカーチャージケーブルを用いて運転中にも充電可能。24Vなら約7時間、12Vなら約14時間。 - 発電機による充電
インバーター発電機からであれば約4.2時間で満充電に。
スマホなどのワイヤレス充電対応
本体上部にワイヤレス充電エリアを搭載。ワイヤレス充電に対応したスマホなどであれば、本体上部に乗せるだけで手軽にワイヤレス充電を利用できる機能が搭載されました。
スマホの充電時にケーブルを使わなくて良いため、特にキャンプや車中泊などでは便利に活用できます。
PD3.0対応・急速充電可能なUSB-Cポートを2つ搭載
近年移行が進むUSB規格。PCならMacBookなどの給電コネクタはすでにUSB-C、Androidスマホも充電コネクタがUSB-Cのものが増えてきました。
EB70のUSB-C給電ポートは2つ、それぞれ100Wまで対応しているのでスマホはもちろん、野外でPCを使う場合でもバッテリー切れを心配する必用がなくなります。
不要な電力消費を抑える「エコモード」を搭載
画像出典:BLUETTI公式クラウドファンディングより
「エコモード」を有効にしておいた場合、AC出力が20W以下の状態が4時間継続でシステムが自動的にAC出力をOFFにします。
これにより従来型のポータブル電源の場合、AC出力を明示的にOFFにしない状態では自然放電によって少しづつ電力消費が続く状態だった点が解決しました。
※エコモードは出荷時段階では「OFF」になっているため、ユーザー側操作で「ON」にする必用があります。(2020/12/12時点情報)
最大12台の機器に同時充電可能
初期のポータブル電源では「AC出力×2・USB-A×2・シガーソケット」といった組み合わせが多い傾向にありましたが、BLUETTI「EB70」では
・AC×4
・ワイヤレス充電パッド
・USB-C×2
・USB-A×2
・DC5521ポート×2
・シガーソケット
と、6種類・合計12台の機器への給電が可能。ご家庭における防災用途やキャンプ・車中泊だけでなく、電源の無い屋外業務や様々なアウトドア・アクティビティにも幅広く対応してくれます。
3種類のカラーリング
画像出典:BLUETTI公式クラウドファンディングより
ポータブル電源としては比較的珍しい、明るいカラーリングモデルが加わりました。
従来のポータブル電源は、ブラックやシルバーを基調とした落ち着いたカラーリングの製品が大半でしたが、「BLUETTI EB70」は従来型の「スチールグレー」に加えて、「カーマイン(わずかに紫味の赤色)」と「ミントグリーン」の配色を製品外装に施したモデルが提供されます。
その他の特徴
・充放電サイクル回数は驚異の2500回以上
・安全性を高める各種保護回路(高温・過電圧/低電圧・過電流・放電低温度などへの保護回路)
・LEDライト搭載(強モードで約161時間点灯可能)
実践編「BLUETTI EB70」を実際に使う
基本的な使用方法
基本的な使用方法はとても簡単。DC出力が使いたい場合は、本体前面の左側にある「DC出力ON」ボタンを押せば、USBやシガーソケットからの給電が開始されます。これにより、スマホなどの充電が可能です。
家電製品の電源コンセントとして使いたい場合は、本体前面の左側にある「AC出力ON」ボタンを押せば、AC100V給電が開始されます。
※AC100Vに関しては、使用する家電製品の消費電力の上限は「700W」までです。これを超える機器は使用できない点にご注意を。
ECOモードの有効化と交流周波数の切り替え
「BLUETTI EB70」のエコモードを有効にした場合、AC出力が20W以下の状態が4時間継続でシステムが自動的にAC出力をOFFにします。ただし、出荷時設定ではこれが「OFF」になっているため、ユーザー操作によって「ON」に設定する必用があります。
設定方法は次の通り。
(1) 給電されていない状態で、「DC出力ON」と「AC出力ON」ボタンを同時に長押しする
(2) ディスプレイ内の「50Hz(60Hz)」表示が点滅するのを確認
(3) 「DC出力ON」を押すごとに、「ECO」表示が点いたり消えたりする。これが表示されている時はエコモードがON
(4) 交流周波数を切り替える場合、「AC出力ON」を押すごとに50Hzと60Hzが切り替わる。東日本なら50Hz、西日本なら60Hzに設定
ソーラーパネルによる充電検証(冬期)
まず、近年のポータブル電源と併せて注目アイテムとなっているのが「ソーラーパネル」です。特に災害時の活用を考えた場合、ポータブルなソーラーパネルは必須です。特にオススメは100W以上の出力を備えた折りたたみ式のソーラーパネル。
今回は冬期(12月)の弱い太陽でどこまで充電できるのかを試してみました。
【検証用ソーラーパネル】
・SmartTap 120W 折りたたみ式ソーラーパネル
・フレキシブル ソーラーパネル 100wを2枚
を接続しての検証です。MC4コネクタを利用して、ソーラパネルとBLUETTI EB70を直結します。
なお、BLUETTI純正の折りたたみ式ソーラーパネル120w も発売中です。
【SmartTap 120Wによるソーラー充電】
編集部では定番の折りたたみ式ソーラパネルです。スペック上では120W出力があり、特に初夏や秋口のコンディションの良い天候ではスペックどおりのフル出力に近い発電量があります。
12月上旬のほぼ晴天の日を選んで試しましたが、意外や83Wという高い給電性能でBLUETTI EB70を充電してくれました。順調にいけば丸1日あればフル充電できそうです。現実的には1日半〜2日あればフル充電可能です。
【100W出力のフレキシブルソーラーパネル2枚による充電】
次に、スペック上は1枚あたり100W出力のフレキシブルソーラーパネル2枚を並列に接続して、BLUETTI EB70を充電する検証です。角度により発電量が変わるのでなかなか難しいところではあります。
途中で太陽に若干雲が掛かるなどして、想定より低いものの2枚のパネル並列で114〜116W程度で充電することができました。こちらも十分な発電量と充電状態です。
BLUETTI EB70は200Wの急速充電に対応しているため、特に冬場であれば折りたたみ式のソーラーパネルを2枚活用して、より急速充電に近い状態でソーラー充電することも期待できそうです。
実際にさまざまな家電製品を動かす
次に、具体的にどのような電気製品が使えるのか(または使えないのか)を見ていきましょう。
(スマホやLEDライトなどの従来から充電可能なものは除きます)
試した機器は、次のとおりです。
- 電気セラミックヒーター
- 電気毛布(AC1人用)
- 電気毛布(AC2人用)
- 電気毛布(DC車載用)
- 冷蔵庫
- シャワートイレ
- サーキュレーター
電気セラミックヒーター
■検証結果
寒い時期にポータブル電源で動かしてみたいと思うアイテムの1つが、この「セラミックヒーター」。これは編集部スタッフ手持ちのYUASA製のセラミックヒーターで消費電力は最大1200W。これは「強モード」での消費電力ですので、BLUETTI EB70 の定格電力700Wを考えると当然使えません。
「弱モード」で動かしてみたところ655Wで動作しました。ただ弱モードでもヒーター起動時の電力が瞬間的に700Wを超えるので、場合によってはEB70がオーバーヒートとなり給電が停止します。毎回安定して動作するというわけではありませんでしたが、起動電流を乗り越えた後はオーバーヒートせずに使用可能となりました。
ただ655Wもの消費電力でBLUETTI EB70を動かせるのは、おおむね1時間程度です。特に災害時やキャンプで暖を取る手段としては実用的ではありません。
■ポータブル電源のメンテナンス用途としてのセラミックヒーター
ポータブル電源の長期保管時には、定期的に残量が20%以下くらいになるまで十分に放電してから、再充電すると製品寿命をより維持できます。最速で放電するには定格出力いっぱいくらいの消費電力を使う機器を動かすこと。
ただ、効率的に放電可能な機器は限られています。その際の「急速放電」手段としてセラミックヒーターを使うのは良さそうです。
電気毛布(AC1人用)
■検証結果
問題なく動作。
使用したのは「Sugiyama」の1人用電気毛布。
定格消費電力=55Wの製品です。
設定温度を最大の「ダニ退治」まで引き上げた状態での消費電力は意外と大きく「70W」。冬に布団外で使うと多少余分な消費電力を使うということかもしれませんが、ダニ退治用の高温設定でも10時間は使える計算になります。
現実的には「中〜弱モード」で使うケースがほとんどだと思いますので、実用面での問題はないでしょう。電気毛布の仕組みは、設定温度まで上がったらいったん電力消費をOFFにして温度が下がってきたらまたONに、という動きになります。
電気毛布(AC2人用)
■検証結果
問題なく動作。
使用したのは「なかぎし」の2人用電気毛布。
定格消費電力=80Wの製品です。
こちらも同様に設定温度を最大の「ダニ退治」まで引き上げた状態での消費電力は「83W」。最大温度の状態でスペックどおりの消費電力で、冬のファミリーキャンプなどで使うと便利です。1晩は問題なく使えそうですね。
電気毛布(DC車載用12V)
■検証結果
問題なく動作。
使用したのは車載用の「メルテック」のホットブランケット(150cmx110cm)。
定格消費電力=40Wの製品です。
シガーソケットに接続するタイプで、「強モード」でBLUETTI EB70から給電したところ消費電力は52Wとなりました。消費電力も控えめかつ暖かさも十分なので、AC電源用の電気毛布の代わりの選択肢としても良さそうです。
冷蔵庫
■検証結果
一応動作はしているものの、冬期であるからか冷却時の消費電力を確認できない状態となりました。今回編集部で検証した冷蔵庫の仕様は、
・発売年:2018年
・容量 :315L
・電動機の定格消費電力 :90W
・電熱装置の定格消費電力:130W
のもの。一般家庭用の中型モデルです。
前回の「BLUETTI AC100 1000Wh」での検証時は夏で問題なかったため、おそらくこちらも大丈夫だと考えられますが、今後、追加検証をおこなう予定です。
シャワートイレ
■検証結果
温水・便座を切り冷水での動作には一応成功したものの、繰り返すと動作しない場合もあり不安定な稼働状況となりました(使用可能時の消費電力は60W程度)。
BLUETTI EB70の仕様的な要因かとも考えたのですが、試しに夏の検証では問題なかった前回の「BLUETTI AC100 1000Wh」を使って再検証したところ同様に不安定な動作状況となりました。
検証モデルはTOTO ウォシュレット「アプリコットKN5・TCF454」というおそらく10年以上前に発売された製品ということもあり、最近のエコ商品を使えばまた異なる結果になるかもしれません。
冬期は起動電力が大きくなる可能性も考えられるため、こちらも追加検証をおこなう予定です。
サーキュレーター
■検証結果
問題なく動作。暑い時期にポータブル電源を活用する大定番アイテムの1つがサーキュレーターです。定格消費電力最大35Wのもの。
風量切り替えは3段階で、首振りは無し最大風量の「3」にしてみたところ、バッテリー側のAC出力は「37W」とほぼスペックどおりの消費電力です。
その他・備忘録
■動作が不安定または明確な結果が出なかったもの
・シャワートイレ
・冷蔵庫
これらは改めて追加検証する予定です。
■使えなかったもの
・電気ヒーター(強モード)
・ヘアドライヤー
・ホットプレート
これらは消費電力が大きいため、想定通り使用不可能だったものです。
基本的に電気を熱に換える仕組みは大きな電力消費が発生するため、コストパフォーマンスの点では良くありません。
■パススルー充電機能について
「パススルー充電」とは、充電中でも給電可能な機能のことです。たとえばソーラーパネルによる充電中でも家電製品をつないで使用するといったことが可能です。
「BLUETTI EB70」はパススルー充電に対応していますが、メーカーさんに確認したところ「バッテリーに負荷自体は掛かるため、パススルー機能を多用するとバッテリーの寿命を縮める恐れがある」とのことでした。
よって、パススルー機能を利用した充電しながらの給電については常用せず、非常時の緊急用途程度に留めておくほうがいいでしょう。
■車のジャンプスターターとして使えるか?
車のバッテリーが上がってしまった時に使いたいのがジャンプスターター。残念ながら「BLUETTI EB70」はジャンプスターターとしては使えません。
もしジャンプスターターとしてポータブル電源を使用したい場合は、EB70ではなく「BLUETTI EB40」を導入すると良いでしょう。こちらはジャンプスターター機能を搭載しています。
気になる点
700Whクラスのポータブル電源として、トータルの完成度は極めて高い「BLUETTI EB70」ですが、やはり気になる点もいくつかあります。それらも忖度なくご紹介します。
・AC充電中は冷却ファンの音がかなり大きい
音に敏感な人から見た場合は「若干うるさい」と感じるレベルのファンの音量です。しかしそこは工夫で対応。ご家庭内での充電であれば、居住スペースの隣の部屋などで充電をおこなえば問題無い程度。野外でソーラー充電をおこなうのであれば、もちろん気にならないレベルです。
・競合の700Whクラスのポータブル電源にくらべて若干重い
リン酸鉄リチウム電池の特徴として、セル単位の定格電圧がリチウムイオン電池の3.7Vに対してこちらは3.2Vと若干低めであるため、リチウムイオン電池よりも多めのセルを搭載する傾向にあります。
これがバッテリー重量が若干増加する要因になっています。ただ、700Whクラスのポータブル電源の重量としては目立って重いというわけではなく、片手でラクに持ち運べる程度の重量であることに変わりはありません。
・バッテリー残量を示すインジケーターが20%刻み
これは「BLUETTI AC100 1000Wh」でも同じような表示仕様でしたので「慣れ」の問題ではあります。ただ、やはり欲を言えば1%刻みでバッテリー残量を確認したいのが人情と言うもの。パワーオークさん、ぜひ後継製品ではバッテリー残量の1%刻み表示機能の搭載を!
・50Hz/60Hzの切り替え方法が解りづらい
東日本と西日本とでは交流電源の周波数が50Hzと60Hzとで異なります。一般的な家電製品は交流周波数の明示的な切り替えが必要ないものが大半ですが、使用する機器によってはこの切り替えをおこなう必用がある場合があります。
DC出力とAC出力のON/OFFボタンの同時長押しで切り替えモードに入れますが、現時点では取扱説明書には記載は無いようです。
・LED照明が眩しすぎる&「暖色系」モードが欲しい
LED照明にいわゆる「ディフューザー」が付いていないため、点灯するとLEDを直視できないほど眩しいです。AC100ではディフューザーが付いており柔らかな明るさだったので、EB70のLED照明をランタン代わりに使う場合は工夫が必用です。
また完全に好みの問題ではありますが、昼光色・寒色系の照明となっています。特にキャンプで活用する場合、ランタンの代わりとして使うには白いのですね。これが電球色・暖色系の照明として使えると、キャンプ用の電源兼ランタンとしての価値がより向上するはずです。
このあたりも、ぜひ後継製品ではサポートしていただきたいポイントです。
総評
BLUETTI製品のレビューは、前回のリチウムイオンモデルのAC100に続いて2度めとなりました。
AC100とEB70を実際に使用してみて感じるのは、次の2点。
(1) 全体的に「作り」が手堅い
(2) 使用感と品質に安心感と安定感がある
これに集約されました。電力供給は安定、しかし無茶な使い方をした場合はしっかりとシステム停止がおこなわれ、しかし復旧も簡単。入出力消費電力表示もほぼ正確。使っていて不安がありません。
前述したように気になる点はいくつかあるものの、コストダウン観点から最大公約数の消費者ニーズに合わせてあるのだろう、という受け取り方もできます。
特に今回のBLUETTI EB70の競合となり得る製品の1つは「Jackery 700」でしょう。
編集部スタッフが「Jackery 700」を所有していたので両者を並べてみました。
容量はほぼ同一ですが、AC出力の数・USB-Cのサポート・シガーソケットキャップの有無など、後発組のBLUETTI EB70が持つアドバンテージは明白です。
何より、「Jackery ポータブル電源 700」がリチウムイオン電池搭載であることに対し、「BLUETTI EB70」は次世代の「リン酸鉄リチウム電池」を搭載。
ますます熾烈になっていくポータブル電源市場における各社の技術開発競争により、さらに機能性や安全・安定性なども向上していくのは間違いないため、今後の製品動向から目が離せない状況となってきました。
ともあれ、まだポータブル電源をお持ちでない場合は、ぜひ家庭における防災用品の1つとして検討してみてください。豪雨や台風時における停電対策としてもオススメできるのはもちろん、特に今回ご紹介した「BLUETTI EB70」は、リチウムイオン電池ではなく次世代の「リン酸鉄リチウム電池」を採用しているため、たとえば「寒冷地では保温を考えて使おう」といった気遣いが要りません。
BLUETTIも製品実績のあるブランドですので、ポータブル電源の最初の1台としても最適です。