ITOITO-STYLE 編集部
【九州四国】南海トラフ地震の想定震源域で小規模な3回の地震と、口永良部島で噴火(2019/1/28〜1/29)
2019年1月28日〜1月29日にかけて、南海トラフ地震の想定震源域で(大きくないものの)3回の地震と、口永良部島で噴火がありました。
地震の震源に関しては比較的コンスタントに揺れている位置であり、気象庁による南海トラフ地震に関連する定例情報でも特段の異常は無いと言えますが、想定外のことが起きるのが自然災害です。備えだけはしっかりと。
長いこと気になっているのは、四国沖(主に高知県沖)の南海トラフ固着域での震度1以上の地震が相変わらず少ない点でしょうか。
また1月29日の夕方には口永良部島の噴火がりました。口永良部島では今年に入ってから1月2日と1月17日にも爆発的噴火があったばかり。2018年12月にも複数回の噴火を起こしています。
特に2015年5月の噴火においては、口永良部島の全島民が一時的に屋久島への避難を余儀なくされています。
大きな被害を出した噴火で記憶に新しいのは、2014年の「御嶽山」の噴火です。火口付近に居合わせた登山者ら58名が死亡するという、戦後最悪の火山災害と言われています。この時は噴火の直前まで前兆らしい前兆がありませんでした。
よく「備えあれば憂いなし」とは言いますが、備えがあっても時として自分が居る場所やタイミングや「運」なども影響するとも言えます。
大きな災害を目にするたびに自然のチカラに対する人間の無力さを痛感しますが、万が一のときには、まずは個々人が(予め備えた上で)ベストを尽くす以外に方法はないのではないでしょうか。
【岩手】熊本県での震度5弱・M4.4の直後に、岩手で震度4・M5.7の地震(2019/01/26)
2019/01/26は熊本で震度5弱の地震があったばかりですが、同じ1月26日の17:23頃に岩手県沖でも震度4・M5.7の地震がありました。
こちらは2017年後半からの目立った震度4以上の地震をプロットしてみたものです。
東北〜関東の太平洋側では今現在も連日といって良いほど活発に地震が起きていますので、ある意味「通常運転」ではあります。
フォロワーの皆様においては備えをしっかりされていると思いますので特段の不安を感じる必要はありませんが、備えをしっかりされている場合ほど怖いのは「慣れ」です。
地震大国日本に住んでいる以上、ある程度大きくても地震に慣れてしまうのは仕方がないとも思いますが、慣れている規模を超えた地震が発生した場合、それがもし「津波」などが発生する懸念が出た場合は、即座に命を守る行動に移ってください。
備えた上で何もなければそれで良く、また想定外の事が起きたときはすぐに行動した上で何もなければ、それが良いと思います。
【熊本】熊本県熊本地方で震度5弱・M4.4の地震(2019/01/26)
2019年1月26日の14時16分頃、熊本県熊本地方で震度5弱・M4.4の地震がありました。震源の位置は「北緯:33.0・東経:130.6」となりますが、ほぼ同じ位置で震度6弱・M5.0という大きな地震が1月3日にも起きています。
1/3の地震に関する気象庁や政府地震調査研究推進本部による発表では、2016年の熊本地震の震源からは北に20km程度ずれており、熊本地震との直接的な関係は無いとのことですので、1/26の地震も同様に見ていいでしょう。
これまでに熊本県熊本地方で起きた震度3以上の地震を見てみると、2018年8月ごろまでは2016年の熊本地震の震源に近い中央構造線沿いで比較的活発に起きており、このあたりには他の断層帯も存在します。
しかし2019年に入ってから1月の大きな地震は2度ともずれた場所で発生しているのが気になりますね。(震度1程度の地震は、2016の熊本地震の震源に近い位置で複数回発生しています)
九州地方での地殻活動の活発化に関しては、2018年は新燃岳や口永良部島などを始めとして火山の噴火が相次ぎましたが、沖縄地方〜熊本県でも体感できる規模の地震が多かったと記憶しています。
九州にお住まいの皆様も、その他の地域の皆様も、備災用品や備蓄品のご用意はぬかりなく。水や食料の備蓄品に関しては、定期的に(たとえば月に1度、日を決めて)もっとも古いものから消費して新しいものを追加する「ローリングストック法」がオススメです。
【九州四国】豊後水道での震度3・M4.3の地震はスロースリップ発生領域内(2019/01/21)
2019/01/21に豊後水道(ぶんごすいどう)で震度3・M4.3の地震がありましたが、九州〜四国における南海トラフ固着域でのスロースリップ発生領域内に位置します。
豊後水道での体感できる大きめの規模の地震は、頻度は高くありませんが比較的活発な印象があります。
2015年あたりまでは、体感できる地震としては震度1を中心に震度3程度までのものが多かったようですが、2016年あたりからは大きめの地震も増えてきた感があります。2017年06月20日には震度5強が発生しています。体感しない地震は、もちろん日々多数発生しています。
九州〜四国にかけての南海トラフ固着域では、プレート境界面におけるスロースリップ(ゆっくり滑り)が繰り返し確認されており、NHKでも昨年、特集番組が放送されました。
南海トラフ巨大地震に関しては、確度の高い予測は困難との判断が下されていることはご存知の通りで、近年、警戒警報の発令は凍結され、代わりに震源域で異常な現象を観測した場合に「臨時」の情報が発表されることになっています。
難しいのは、この臨時情報が出た際に、私たち個人レベルではどう対応すべきかという点。実際に起きてしまった場合の想定被害は過去類を見ない甚大なものになる試算がなされていますが、逆に臨時情報が出たとしても何も起きないことも考えられます。
最終的な行動の決断は、想定震源域に住むかたがた一人ひとりに委ねられることになります。100%確実な答えは無く、「空振り」を覚悟の上で事前避難をおこなうか、とどまるかを自分自身で決めなければならなくなるでしょう。
万が一の場合には、まずは生き残ること。次に生き延びることを念頭においた「備災」を個人やご家庭レベルでも考えておく必要があります。
被害が大きいほど、国や自治体の対応は後手に回り行き届かなくなります。まずは「自助」、次に「共助」ができるような横のつながりをあらかじめ作れたらいいですね。
【海外・国内】チリでM6.7の地震、1/18には千葉県北東部でM5.3・震度3(2019/01/20)
2019/01/20にチリでM6.7の地震がありましたが、国内はここ数日は概ね静穏でしょうか。
目立って感じたのは1/18千葉県北東部のM5.3。震度は3でしたがマグニチュードは5を超えました。この震源付近での過去10年の震度3以上を見てみると年に数回、M4〜5クラスの地震が起きています。
ただし震度1以上でみればさらに多く、体感しない地震に関しては無数に起きているのが日本列島を含む環太平洋火山帯。中央構造線などの大規模活断層沿いでは日々活発に地震が発生しているので特に不安を感じる必要はありませんが、常に備えはしておきましょう。
編集部スタッフは冬は特に「キャンプ」を強化しています。寒い時期の被災を想定して、電気・ガス・水道が止まった場合の生活を想定しています。
近年では阪神淡路大震災は1月、東日本大震災は3月。歴史を遡れば、被害の大きかった地震で寒い時期に起きたものには次のようなものがありました。
1946年12月21日:昭和南海地震
1945年01月13日:三河地震
1933年03月03日:昭和三陸地震
1927年03月07日:北丹後地震
真夏の大地震も問題ですが、真冬の大地震も備えや対応ノウハウが無い場合、生活に大きな支障を生じる可能性もあります。
キャンプ経験の無い方も多いかと思いますが、機会があればぜひ体験してみてください。キャンプ場によっては道具類を一通りレンタルすることも可能です。
【鹿児島】口永良部島で爆発的噴火が発生(2019/01/17)
2019年1月17日の9:19頃、鹿児島県の口永良部島で爆発的噴火が発生しました。口永良部島は、最近繰り返し噴火を繰り返している火山です。
気になるのは口永良部島の北側にある「鬼界カルデラ」。世界最大級の「マグマ溜まり」で7300年前の超巨大噴火で形作られました。この7300年前の噴火では火砕流や大量の火山灰が発生し、当時の九州南部の縄文文化を滅亡させたとされています。
2016年からの神戸大学による調査では、海底から高さ600メートルにもなる巨大な「溶岩ドーム」がカルデラの内側に確認されました。
従来は7300年前の噴火でその時点でのマグマのほとんどが噴出してしまったと考えられてきましたが、この調査によって現在もマグマの供給が継続されているであろうことがほぼ確実視されています。
神戸大学海洋底探査センターの巽好幸教授によれば、「すでに次の巨大カルデラ噴火の準備過程に入ったと言える」という見解を発表しています。
万が一この鬼界カルデラが再び7300年前と同規模の巨大噴火を起こした場合、九州南部に壊滅的な損害をもたらし、関西だけでなく関東にまで影響が及ぶと考えられています。
以上の事柄は「不安を煽る」等の性質ではなく、近年の科学的な調査によって広く公開されている情報です。
さすがにこれほどの規模ともなると、どう備えるべきか・備える手段はあるのかという点では確かに不安にはなりますが、例えば2014年の御嶽山噴火では、前兆現象がほとんど無い状態で噴火が発生してしまいました。
そのような噴火災害が実際に起きうる可能性がある、ということだけは心に留めておきましょう。
【兵庫】「阪神・淡路大震災」の震源の少し北側で小さな地震(2019/01/15)
2019/01/15には24年前に起きた「阪神・淡路大震災」の震源の少し北側で小さな地震がありました。この場所での震度1以上の有感地震としては2017/4以来のようです(体感しない小さな地震は日々、数多く観測されています)。
今回の震源の北側から南海トラフ巨大地震の想定震源域になりますが、1/7にもお知らせした「過去5年、南海トラフ沿いでM4以上の地震が少ない領域」は南海トラフ固着域に重なるように見えます。
南海トラフを北端とするフィリピン海プレートに沿っては日々、比較的活発に動きがありますが、南端のほうではあまり地震の発生していない領域もあります。
1/16は、南西太平洋〜東南アジアにおいてM5クラスの地震が相次いでいます。
・バヌアツでM6.6(2019-01-16 03:06:36)
・フィリピンでM5.7(2019-01-16 05:03:20)
・ニューカレドニアでM5.1, M5.4(2019-01-16 10:51:02 と 2019-01-16 13:12:36)
・トンガでM5.0(2019-01-16 17:16:57)
2019年1月17日は「阪神・淡路大震災」から24年。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とは言いますが、次に起きるかもしれない大きな災害への備えは、無理の無い範囲で日常生活の中に組み込んでおきましょう。備災・防災用品は揃えて終わりではなく、使い方の把握を。
水・食料・簡易トイレなどの備えは最低1週間分。東京都が作成した防災ブック「東京防災」によれば、『自宅で居住の継続ができる状況であれば、在宅避難』が推奨されています。
【茨城】茨城県南部で震度4・M4.9の地震(2019/01/14)
2019年1月14日の13:23頃、茨城県南部で震度4・M4.9(深さ50km)の地震がありました。
編集部のある埼玉県南部でも小刻みに突き上げられる大きめの揺れを感じました。
中央構造線と柏崎千葉構造線が交差するあたり、茨城県南部を震源とする地震は比較的多く、東日本大震災以降の震度4を見てもご覧のように多数発生しています。
2019年に入りあちこちで地震はあるものの、現時点では概ね静穏な状況かと思いますが、環太平洋火山帯に属する日本列島では常に地震は起きており、特に太平洋側では活発な地殻活動が観測されています。
気になるのは、南海トラフ巨大地震の想定震源域に含まれる四国沖での地震がほとんど無い点でしょう。しかし、四国〜九州にかけての南海トラフの陸側の「固着域」ではスロースリップも継続的・定期的に観測されているため、いずれひずみが開放されるタイミングはやってくるはずです。
それが正確にいつなのかは現代の科学力をもってしても判らないため、起きた時に備えがしっかりとあることが重要です。
また、ネットで時折流れてくる「○月○日までに巨大地震が発生する」といったいわゆる「予言」のたぐいには科学的根拠は一切無いので信じる必要はありませんが、備えの確認を行うキッカケとしては使えます。
そうした話しを目にしたら、備蓄品の賞味期限やご家族友人などとの緊急連絡手段の確認、スマホやモバイルバッテリーの充電などをおこなうようにしてみてください。
【全国】2018年まで過去5年間の日本列島での「M5.0以上」の地震の傾向は?
2019年という新しい年となったこともあり、2018年までの過去5年間の日本列島と近海での「M5.0以上」の地震の震源を1年ごとに確認してみましたのが冒頭の図です。
(2014〜2018年にかけて。確認先は米国USGS)
4つのプレートがぶつかり合う位置にある日本列島ですが、年間単位で見てもプレート境界に沿ってM5以上の地震も活発に発生しています。関東〜北海道の太平洋側でも特に活発に発生している印象がありますが、東日本大震災の震源がある東北沖あたりは特に活発です。
M5以上に絞り込んで見た場合に気づくのが、1つは日本海側での地震の少なさです(日本海中部地震や新潟県中越地震など、過去に大きな地震の事例はあります)。
そしてもう1つは、南海トラフ沿いでのM5以上の地震が少ない点。ただしM1〜3クラスの小規模な地震を含めた体感しない地震は常に発生しています。
また、南海トラフを境に日本列島の下に沈み込んでいるフィリピン海プレートの反対側となるフィリピン・インドネシア〜南西太平洋・南太平洋では常に大きな地震が発生しているため、南海トラフにおいても「ひずみ」は蓄積し続けていると考えておくべきでしょう。
よく「東日本大震災以降、日本での地震が活発化している」と耳にしますが、今後、東日本大震災の前後での比較もおこう予定です。
【海外地震】インドネシアのモルッカ海でM7.0の大地震(2019/01/07)
2019年1月7日の2時27分頃、インドネシアのモルッカ海でM7.0の大きな地震がありました(USGS公開値ではM6.6)。
インドネシアでは昨年末の12/22にスンダ海峡のクラカタウ火山が海底を含む噴火、これによる津波が周辺地域を襲い大きな被害が出ました。また、昨年9/28にはインドネシア中部のスラウェシ島でもM7.5の大地震と津波が発生し、特定できた死者は2100人以上・行方不明は1300人位上で、一説には行方不明者は5000人を超えたと言われる被害が出ています。
このスラウェシ島での地震においては、「津波が来るのは引き潮の後」という認識のもと、第1波が約30cmと小規模だったことから「津波は来ない」と考える人たちが海岸に多くおり避難する人が少なかったため、第2波で津波に飲まれた方々が300人近く出てしまいました。
インドネシアではこれまでも度々、大地震や噴火・津波による大きな被害を繰り返し受けてきましたが、現在、同国政府は日本の支援を受けて復興計画を策定しているとのこと。2011年の日本での東日本大震災の復興ノウハウを活かすものとなるそうです。
また東南アジアという範囲で見ると、年末の12/29にフィリピンのミンダナオ島近海でM7.2という大地震が起きています。フィリピン海プレートに沿って、東南アジア〜南西太平洋(フィジー・トンガ・ニューカレドニア等)にかけては、連日のようにM5クラスの地震が発生しています。
日本でも体に感じない大きさの地震は北海道〜九州沖縄にかけてほぼ毎日起きていますので、いつ大地震が起きても「備え」はあるようにしておきましょう。2019年以降も「防災から備災・減災」という考え方が重要です。










