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春〜秋のキャンプはタープが便利!

見た目もカッコよく「キャンプ感」が出るタープ。特に暖かい・暑い時期には快適でプライベートなリビング空間として威力を発揮します。テントとタープを使い分け・使いこなすと、キャンプだけでなく備災用にも使えます!

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タープを使おう!

キャンプと言ったらテント!と言うイメージが強いかもしれません。もちろんテントもよく使われるものですが、暖かい季節のデイキャンプなら「タープ」のみでの利用もかなり手軽でオススメ。中でもポールとロープを使って設営する6角形のヘキサタープや4角形のレクタタープ(スクエアタープ)は、実用性はもとより見た目的にもキャンプ感を感じられるものですし、設営方法次第で様々な状況に対応できます。

備災FUN!』では、次の震災・災害に備える「備災」をテーマに、被災時にも大活躍のアウトドアグッズを日常で活用して「楽しみながら備える」情報をメインに発信しています。

テントとタープの違い

違い(用途)をわかりやすく説明すると、基本的にテントは「寝室」、タープは「リビング」と言えます。最近では寝室&リビングが一体型の「2ルームテント」やトンガリ屋根型でネイティブ・アメリカンの人たちが使っていたような「ティピーテント(ワンポールテント)」にも人気が集まっています。

テントの場合は基本的に野外空間と居住空間を分けることができ、タープの場合は野外に屋根と壁のあるリビングスペースを作るイメージ。それぞれを組み合わせると快適なキャンプ生活のための空間が出来上がります。

とは言え、テントとタープを両方用意すると設営と撤収に時間が掛かるもの。暖かい時期の日帰りデイキャンプであれば、テントは寝室として使うケースも少ないでしょうから、思い切って無くしてタープのみにすると設営&撤収の時間が短縮され、現地で楽しむ時間を増やすこともできますね。持っていくギア類も必要十分な範囲で厳選すれば、より身軽にデイキャンプへ出かける事ができます。

さて、タープのみで運用する際の用途やメリットとしては主に次の5点を基本として挙げることができます。

① 日陰を作る
② 雨をしのぐ
③ リビング空間になる
④ 荷物置き場になる
⑤ 簡易テントとして使える

タープのみで運用する際の用途やメリット

① 日陰を作る

日差しの強い日はもちろん、曇天でも紫外線が強い場合があります。そうした天候的要因から居住スペースを守ることが出来ます。
特に、ポールの長さやロープの張り方を調整してタープ生地の角度を様々に調整できるので、効率的で効果的な日陰を演出可能です。
太陽光の日差しの方向を確認して、タープによる日陰の効果が最大限になるように設営しましょう。

② 雨をしのぐ

山間部などでは天候が変わりやすいものですが、近年は都市部でも頻繁にゲリラ豪雨が発生するもの。つい数十分前までは晴天だったのに、いきなり雨に降られることもあります。そんな時でもタープが1つあるか無いかで快適さが変わってきます。
荒天時間が長時間続くような状況が予め想定できる場合は、無理をせず撤収するのも良い選択肢です。

③ リビング空間になる

ある程度のプライバシーを担保した形のリビングになります。周囲からの視線を遮られる日陰は、居住性も高く開放感と安心感が両立できます。
ヘキサタープやレクタタープは、使用するポールの長さ(高さ)を変えたり固定するためのロープワークを工夫することで、設営形状も様々な用途に対応させることができます。

④ 荷物置き場になる

大きめのタープであれば出入口とは反対側を荷物置き場に。テントとの併用時にはタープ内空間の一角を荷物置き専用エリアとして使い、宿泊就寝時にはグッズ類は一通りタープ内に収納します。

⑤ 簡易テントとして使える

タープ・ポールの長さを若干短めにしてタープ自体の張り方も低めに工夫すると、簡易的なテントのように使うことができます。特に、シンプルに徹した装備のみで森林などでの生活を体験する「ブッシュクラフト」の愛好家の中には、テントは持たずにタープのみを雨露を凌ぐ道具としてフル活用する人たちも多いようです。

【ヘキサタープを低めに張った例】
簡易テント風、プライバシー感を高めに実現できる空間。しっかりとした日陰をつくり雨天にも対応しやすいスタイル。

【レクタタープをセオリー通りに張った例】
タープの張り方としては王道スタイル。写真のタープは3m x 3mサイズのものですが、2〜3人ならゆったり・4〜6人でも快適に過ごせます。

他にも、

・同じ収容人数なら、シンプルな構造ゆえにテントに比べてコスパが良いものが多い
・テントに比べて持ち運びやすい収納サイズのため、重量次第では徒歩や自転車での持ち運びも可。ソロキャンプにも最適
・高さや形状を調整できるため、屋根を高くして人が動きやすい広めの開放型空間から、雨天時にも対応しやすい低めのテント風のスタイルにもなる

といった活用方法があります。
これからキャンプ用品を買い揃えてみようという場合も、まずはタープから始めてみるといいかもしれません。
(もちろん、予算が潤沢にあればタープ&テントの組み合わせや2ルームテント・ワンポールテントなどからのスタートも可能ですね)

タープ利用時の注意点

もちろん、タープを利用するにあたっては注意しておくべきポイントがいくつかあります。

① 吹きさらしの場所では強風時に使用せず、風を妨げず流す向きで
② ペグダウンは簡単に抜けないようにしっかりと
③ 周囲に他の樹木の無い一本木の下には設営しない
④ タープの上方(上空)からの落下物が想定される場所には設営しない
⑤ 川の中州や増水の可能性のある河原では設営しない

では、それぞれを具体的に考察します。


① 吹きさらしの場所では強風時に使用せず、風を妨げず流す向きで

ヘキサやレクタは基本構造が一枚布のため、強風下での使用には向いていません。設営時は「風を防ぐ」形ではなく「風を流す」形で設営しましょう。
万が一強風に煽られたタープが飛ばされた場合、周囲の利用者に影響が及ぶ可能性があるので強風時は撤収しましょう。
微風であれば、状況に応じてタープの高さやロープの張り具合をしっかり調整しましょう。林間サイトであれば設営場所の移動も有効です。

② ペグダウンは簡単に抜けないようにしっかりと

タープはロープとペグによって地面に固定されています。風に煽られると、タープとロープに引っ張られてペグにも抜けようとする力が伝わります。ペグが抜けて飛ばされた場合は大変危険ですので、ペグをしっかりと地面に打ち込み固定しましょう。
しかしタープに最初から付属してくるペグは細く短いものが多いので、別途しっかりしたものを追加で調達すると安心です。

③ 周囲に他の樹木の無い一本木の下には設営しない

広い平原や草原に生い茂った木が1本立っているような場合ですが、天候が急変して雷雨などになった場合に落雷の恐れがあります。樹木に落雷した場合、そこから50cm程度の場所に人がいた場合は心肺停止になるケースもありますので、そのような条件の場所には設営しないように留意しましょう。

④ タープの上方(上空)からの落下物が想定される場所には設営しない

崖下などでの設営は落石などの恐れがあるので危険です。朽木の下などは倒木の危険性もあります。タープは上方からの衝撃には弱いので、落下物が無い環境を選択しましょう。
倒木に関しては編集部スタッフも実際に経験しており、サイト内にあった樹木が強風に煽られて突然倒れてきたことがあります。生木でもそうした危険があるので、設営場所には十分注意しましょう。

⑤ 川の中州部分や増水の可能性のある河原では設営しない

川辺でのキャンプは涼やかで楽しいものですが、水の事故にも十分に気をつける必要があります。河原に設営する際は、いざという時でもスムーズに撤収できる設営の仕方を。雨天時にダムの下流側や川の中州は設営場所として選ばないようにしましょう。
場所によっては管理者が巡回して注意や撤収を呼びかける場合もあります。そうした際は指示に従うことが身を守ることにつながります。
過去には雨天時に川の中州でのキャンプにおける事故の例として「玄倉川水難事故」などの悲惨な事故の例もあります。

[玄倉川水難事故 (wikipediaより)]

“1999年8月13日より玄倉川の中州でキャンプをしていた横浜市内の廃棄物処理会社に勤める男性社員たち、子供6人を含む彼らの家族、さらに社員の婚約者・女友達を含む18人が、翌日の熱帯低気圧の大雨による増水によって流され、社員5名と妻2名、1歳から9歳の子供4名、社員が連れてきた女性2名を含む計13名が死亡した。”

タープを設営しよう!(ヘキサタープ編)

予習無しで初めてタープを立てようとした場合、両サイドのポールを2名で持ち支えながら3人目がロープの設置をおこなうなど家族総出での設置をイメージするかもしれませんが、タープの立て方は難しくありません。コツさえつかめば女性一人でも簡単に設営することができます

基本的な張り方で一人でタープを設営する際の、大まかな手順は次のとおりです。

①できるだけ平坦な場所でタープを地面に広げる(風を流す向きに)
②屋根となる中心線の両端に中心線を延長する方向でメインポールを置く
③タープにメインポールの先端を通し、張綱となる「ガイロープ」を片側2本づつ取り付ける
④ガイロープを地面にペグダウンする
⑤メインポールを持ち2本のロープを支えにタープを片側づつ立ち上げる
⑥タープが立った状態で、ロープの自在金具を使って張り具合を調整する
⑦タープの側方にもガイロープを取り付けて空間を作り出す
⑧タープの側方のガイロープもペグダウンする
⑨各ガイロープの張り具合を調整して完成

では、それぞれ順を追って写真で見ていきます。タープの張り方は、基本形に加えて様々な応用の仕方や個人差がありますが、ここでは編集部スタッフが常用している比較的簡単と思われる方法となります。

①できるだけ平坦な場所でタープを地面に広げる(風を流す向きに)
タープを広げます。基本的な張り方での手順は、ヘキサタープでもレクタタープでもほぼ同じです。
支柱となるポール2本と「張綱」となるガイロープも準備しておきましょう。ポールもロープもタープに最初から付属しているものと、別売りのものとがあるので購入時に確認しましょう。

なお、今回タープの張り方の中で紹介しているヘキサタープはNorth Eagleの「イーグルヘキサゴンタープII」でサイズは4.4m x 4.4m、高さは2m程度の比較的大きなタイプです。

【②屋根となる中心線の両端に中心線を延長する方向でメインポールを置く】
タープの屋根ととなるラインを延長するような形にポールを置きます。また、写真のポールの一番手前のポールが地面と接する足の部分からポールと垂直方向(写真では左右の水平方向)にポールの長さぶんの距離を取ったポイントが、ポールにつなぐガイロープをペグダウンする位置になります。

【③タープにメインポールの先端を通し、ガイロープを片側2本づつ取り付ける】
タープにポールやロープを通す箇所には「グロメット」と呼ばれるハトメ状の金属輪が取り付けられています。まずはこのグロメットにポーロの先端を通して、ロープを「巻き結び」などの方法でポールにセットします。タープの屋根線の両端のグロメットに、それぞれポールを通しガイロープをセットしましょう。

【④ガイロープを地面にペグダウンする】
ロープとペグの角度はおおむね直角になるようにします(タープに限らず、テントに結んだロープのペグダウンも同様です)。リーズナブルな価格帯のタープの付属品として付いてくるペグは細めで短いスチールペグが多く、地面が砂利だったり強風時の使用には不安がある場合があります。そんなときは、鍛造ペグなどを別途準備しておくといいでしょう。

【⑤メインポールを持ち2本のロープを支えにタープを片側づつ立ち上げる】
ポールとロープごと、タープの片方を立ち上げます。ロープがポールに巻き結びなどでしっかり固定されていれば立ち上げ前の反対側のポールからロープが抜けることはまずありませんし、片側だけでもポールはちゃんと自立します。

【⑥タープが立った状態で、ロープの自在金具を使って張り具合を調整する】
残ったもう片方のポールも立ち上げると、このような状態でタープが自立します。ポールは地面に対して完全な垂直ではなく、若干(15cm〜20cm程度)タープ側に入るようにするとポールに掛かる負荷が軽減され安定します。

【⑦タープの側方にもガイロープを取り付けて空間を作り出す】
タープを広げてリビング空間を作るために、タープの側方にガイロープを取り付けてペグダウンします。ヘキサタープでは基本的にこの4ヶ所にロープを結びます。レクタタープなどではロープを結べる箇所が多いモデルもあるので、そのようなタープの場合はさらに応用範囲が広がります。

【⑧タープの側方のガイロープもペグダウンする】
タープの側方のグロメットにロープを通し結ぶ際は、「張り結び」や「自在結び」などの結び方を利用します。しっかり結べて自然には解けず、しかし意識して解く場合は簡単にできるロープの結び方は多数あるので、ガイロープの結び方を動画で見てみるとさらに参考になります。

【⑨各ガイロープの張り具合を調整して完成】
最後は、ガイロープに取り付けられた「自在金具」を使ってロープの張り具合を調整して完成です。これが緩すぎると風に煽られた際にタープが倒れたりしますが、キツ過ぎると地盤の状態によってはペグが抜けたりしますので、適宜調整します。
慣れれば大型サイズのヘキサタープでも、10〜15分程度の時間で一人で設営できるようになります。

まとめ

キャンプ・アウトドア道具の中でも、タープは実はとても奥の深いものです。日よけ雨除けだけでなく、野外活動での居住空間として数多くの設営方法があり、特にレクタタープでロープを結ぶグロメットが多いものは使い方も無限大です。ポール2本で自立させる用途だけでなく1本での設営方法やトレッキングポールを使う張り方、サイド用にポールを追加してリビング空間を広げる方法、樹木をポール代わりに利用したり自家用車のサイドオーニング的に張る方法、また自宅のベランダのサンシェードとして活用することも可能なので、リーズナブルな製品も使い倒して買い換えるのもありです。

また、3m x 3m程度で収納サイズがコンパクトなレクタタープであれば「備災」の観点からも様々な応用方法が考えられます。タープとガイロープとガムテープを一緒にしておけば、避難所の壁などを利用してある程度のプライバシー空間を作ることも可能です。避難所には個人的にテントを持ち込むことは難しいものですが、タープならうまく活用できるケースも様々に想定できます。

(写真は編集部スタッフ所有、Free Soldierのレクタタープ。購入時価格は4500円程度)

また、意外な類似道具としてはホームセンターで売っている「ビニールシート」が安価なレクタタープ代わりとして使えます。多少かさばりますが、大きな1枚布とロープを結ぶグロメットが多数用意されている構造は同じなので練習用や雨天時にディスポーザブルな用途も想定できますね。

というわけで、タープは使いこなすほど応用範囲が広がる道具です。また暑い夏のデイキャンプにおけるテント内は、当然ながら暑いので荷物置き場などには最適ですが日中の居住空間としては厳しい状況があったりします。その点、木陰に設営したタープなら風通しもよく涼しく快適に過ごせるスペースとなりますので、周囲の安全には目を配りながらぜひ活用してみましょう。

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