地域によって「天かす」「揚げ玉」と呼び名は異なりますが、天ぷらを揚げた際に出来る「揚げかす」と桜エビ・刻みネギをご飯に載せ、その上からポン酢を回しかければ出来上がりの簡単ごはんが「ポンかす丼」。ポン酢の「ポン」と天かすの「かす」が名前の由来です。アウトドア派ならご存知であろう信濃川日出雄さんの漫画「山と食欲と私」(新潮社)でも紹介されていましたね。
すでにご存知の皆さんも多く味わい深いB級系の旨味レシピですが、炭水化物であるご飯の上に炭水化物を揚げた「天かす(揚げ玉)」を載せるのでそのままではバランス的に微妙です。今回はアレンジの1つとして味付け赤貝の缶詰と乾燥野菜でバランス調整をし、ポン酢の代わりに「おろし玉ねぎドレッシング」で仕上げます。
・「メスティン(炊き込み2人前用)」
・「esbit ポケットストーブ」
・固形燃料1個
・無洗米(1合:160g)
・水(220ml:炊飯用)
・天かす(お好みの量)
・桜エビ(乾燥小エビ:適量)
・味付け赤貝の缶詰1個
・乾燥野菜(青菜類と刻みネギ類を適量)
・おろし玉ねぎドレッシング(酸味のあるドレッシングならどれでも)
・おろしショウガ(チューブショウガ等で可)
赤貝(缶詰の場合は「さるぼう貝」)だけでなく、他の惣菜系の缶詰を使えば様々な味のレパートリーが楽しめますよ。ドレッシングの種類を変えて見るのもオススメです。天かすを事前にドレッシングと和えておいても美味しいです。
備蓄食材のローテーション消費用にも最適なごはんレシピ。備災メシではなく普段メシとして作るなら、野菜類は生鮮品を使うといいでしょう。
ポンかす丼のルーツを色々と辿ってみましたが、「天かす丼」「揚げ玉丼」「たぬき丼」などでしょうか。その作り方については諸説ありますが、天かす丼・揚げ玉丼は、仕上げに溶き玉子でとじるタイプ。京都の割烹料理店「河しげ」さんでは、天ぷらをたくさん揚げたときの賄い料理として出しているそうです。
「たぬき丼」は、丼飯に天かすを載せ天つゆを掛けたもの。その発祥については東京の早稲田大学の近くにあるお弁当屋さんであるとか上野界隈の蕎麦屋さんなどいくつかあるようです。もっとも東京の「たぬき丼」も、そもそも天かす玉子とじ形式という話しもあります。
余談ですが、麺類で「たぬき」と言えば「たぬきそば」。関東では天かすを載せた温かいお蕎麦ですが、関西(大阪)で「たぬきそば」と言えば甘辛く煮付けた油揚げを載せたお蕎麦。関東での「きつねそば」が大阪での「たぬきそば」という事ですね。そして大阪では「たぬきうどん」そのものが無いと聞きますが、京都には「たぬきうどん」があって、それは刻んだ油揚げを載せたあんかけ形式だとか。
同じだと思ったメニューでも地域によって味付けや調理方法が異なったりするので、食文化の違いとしても興味深くそのレシピの生い立ちなどを調べてみるのも面白いものです。