アウトドアでも使いたい、鉄製のクッカー
アウトドアで使える鉄製のクッカーとしてはフライパンを始めスキレットやダッチオーブンなどいくつかあり、近年は特にスキレットがブーム。Amazonのアウトドア・カテゴリでフライパンを検索すると、ベストセラーになっているのはスキレットだったりします。
また、焚き火や炭火での豪快系料理によく使われる鉄製クッカーの1つにダッチオーブンがあります。焼く・煮る・蒸すなどの幅広い用途に使えて食材の持ち味を活かした仕上がりが期待できるため、キャンプでも人気ですね。しかし、スキレットもダッチオーブンも素材厚が大きいため結構な重さがあります。そこでオススメしたいのが、アウトドアで使える鉄フライパン。
焚き火フライパン、人気の理由は?
YouTubeのキャンプ動画やあちこちのキャンプ系ブログなどでも度々目にする「焚き火フライパン」。人気の理由を予想すると、おそらく次の3点でしょう。
① ハンドル(柄・取っ手)となる木を現地調達して好きなように自作できる
② 出荷時にすでに「焼ならし」がされているため、買ってすぐに使い始められる
③ 特に「浅型」タイプは鉄製にしては軽量で携行性に優れる
一般的な鉄フライパンやスキレットはハンドル部分が出っ張ったものが多く、逆にハンドルを折り畳める形状のアウトドア用フライパンはフッ素コートされているものもあるため、コーティングが傷がつかないようにある程度気を使います。その点、焚き火フライパンならハンドルの着脱が可能。しかも好きなように自作できる点が魅力の1つ。予め気に入ったサイズのハンドルを自作するも良し、現地調達もできます。
また出荷時に「焼ならし(焼き入れ)」がされているので、購入後は油をひくだけですぐに使い始められます。一般的な鉄フライパンだと錆(サビ)の発生を防ぐための保護皮膜が塗装されていることが多く(この塗装自体は人体に無害です)、購入後にはまずこの保護皮膜塗装を焼いて取り除き油を馴染ませる「シーズニング」という作業が必要になります。
焚き火フライパンには「浅型」「深型」の2種類があり人気が高いのは前者の浅型。軽くて浅く収納用の麻袋が付属するのでザックにも入れやすい。ソロキャンパーなどにも愛用している人が多そうです。ソロ〜デュオ用の鉄板焼き用としても重宝します。
なお、浅型と深型の詳しいサイズは写真の通り。フライパン全体の直径は深型のほうが大きいのですが、食材が触れる調理面は浅型のほうが20mm大きいものとなっています。調理用途としては浅型はステーキや鉄板焼き系が向いています。フチが浅いぶん調理方法として「振ったり煽りながら炒める」スタイルよりは、熱源に据えてじっくり加熱するやりかたが適しています。調理面が思った以上に広いので大きめのステーキ肉でも余裕です。
深型はステーキなどのグリル料理だけでなくパスタやスープや煮込み料理まで、意外とオールマイティに使えます。深さがあるので浅型に比べて大型ですが、調理範囲は自宅キッチンで作るものならほぼ全て網羅していると言えます。ベストな選択肢は浅型・深型の両方を揃えてしまうことでしょう。
実のところ、付属品のヒートンネジは焚き火フライパンのハンドル固定孔のに比べて直径がかなり細いので、このネジだけでガタつき無くハンドルを固定するのは難しいのです。しかし、写真左のような構造のネジであればしっかりと固定できます。
また、焚き火フライパンのオフィシャルYouTube動画では、付属のネジを使わずナイフワークだけでハンドルをフライパンに固定する方法が紹介されているのでネジを使わない・無くした際などの参考になります。
出典:”Bush Craft Inc.:たき火フライパンをプロっぽく使う” より
ストームクッカーとの相性も抜群。(ストームクッカーのレビュー記事はこちら)焚き火でなくとも、シングルバーナーなどで十分調理ができます。
使った後のお手入れ方法など
鉄フライパンは、使った後は必ず手入れをしましょう(しないとサビます!)。その際の注意点と、編集部スタッフがキャンプで焚き火フライパンを使った際に実際におこなっている手入れ方法は次のとおりです。
【使用後の手入れ時の注意点】
① 水洗いする際は洗剤や金属製タワシを使って洗わない
② 洗った後はしっかり乾燥させて油を塗る
【お手入れ方法】
① 調理が終わった後は、なるべく早めに手入れ開始
② まずはティッシュ・ウェットティッシュ等で汚れをしかっかり拭き取る
③ 洗浄用の水道等が無い環境なら、拭き取りをしっかりと(本格洗浄は帰宅後に)
④ 洗浄用の水道が使えるなら、洗剤は使わずにスポンジやウェスでこすり洗い
⑤ 洗った後はシングルバーナー等で加熱して表面の水気を完全に飛ばし、冷めたら調理用オイルをティッシュ等で薄く塗る
【万が一焦げ付いたら?】
出荷時に焼ならしが施されている焚き火フライパンでも、ユーザーの使い方次第では焦げ付きます。
万が一焦げ付いてしまったら、
① 焦げをさらに焦がすためバーナーで加熱(ガスボンベへの輻射熱に注意)
② ある程度冷めたら金属ヘラで焦げをこそぎ落とす
③ 帰宅して持ち帰れる状態なら、自宅のコンロで焦げを焼き切ってからこそぎ落とす
といった方法で対応できます。
まとめ
鉄フライパンは焦げ付く・こびりつく・手入れしないと錆びやすいという理由で敬遠する方々もいるのは事実、使用毎のメンテナンスが楽という点ではフッ素(テフロン)コーティングのフライパンやクッカー・鍋類が人気であるのも解ります。
しかしコツを掴んで使い慣れてしまえば、鉄フライパンでも焦げ付きやこびり付き無く快適に調理することが可能で、仮に焦げ付きができても削ぎ落としたり定期的にメンテナンスをおこなって新品に近い状態に磨き直したりできるので、それこそ「一生モノ」として使い続けられる良さもあります。
またアウトドアに限らず、取っ手の着脱ができるコンパクトな鉄フライパンは意外と重宝します。編集部スタッフも様々なクッカー類を購入して試していますが、キャンプ以外の日常の調理シーンにおいてもこの「焚き火フライパン」の使用頻度はかなり高いです。
なにより、ハンドルを自作するので愛着も湧きますが、おそらく分岐点としてはこの「ハンドルを自作する」ところに興味や魅力を感じるかどうかかもしれません。しかしこの「焚き火フライパン」、騙されたと思って一度キャンプで使ってみてください。ハンドルを現地調達するなら、材料となる良さそうな木材探しから。できれば泊まりでのキャンプがいいでしょう。初日の食事は別途クッカーで用意するとして、木材の調達ができたらハンドルを作り始めます。
頃合いは午後〜夕暮れ、淹れたての珈琲を飲みながら、ランタンの灯を傍に見ながら、はたまたワインやバーボンを一杯やりながら(怪我にだけご注意を)、ナイフを使って黙々と自分だけのハンドルを仕上げていきます。意外と贅沢な時間です。