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敵を知り己を知る、アウトドアで万全の虫除け対策!

自然の中・アウトドアフィールドで過ごすキャンプにおいて、より快適に過ごす秘訣の1つは「虫除け」。特に女性陣にはツラい場合がある「虫との遭遇」をなるべく減らして、より快適なアウトドアライフを。

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野外生活では冬以外は避けにくい「虫」

ある夏の夜。編集部スタッフは備災(防災)訓練を兼ねて南関東の山間部にある、とあるキャンプ場に設営したテントの中で眠りについていました。草木も眠る丑三つ時。漆黒の闇と静寂に包まれた中、突如としてテントのフライシートを「パタパタパタパタ!」と叩くような音が始まり、それはテントの周囲をぐるぐると回り始めました。

就寝前に「怪談話し」で盛り上がっていた編集部スタッフは若干パニック状態です。意を決してテントの外に出てライトを付けて確認すると、全長20cmを超えているであろうサイズのムカデでした。あのたくさんの脚でテント表面を這い回ることで、内側にいる人間には「パタパタ」という叩くような音に聴こえたというわけです。深夜の自然の中で遭遇する巨大な虫は、ある意味心霊現象よりも恐いものです(苦笑)

というわけで春〜秋にかけて、特に夏のキャンプには「虫」が付きもの。空中には蚊・ハエ・アブ・ブヨ・ハチ、地面にはアリやムカデにマダニやヒルなどなど。特に多いのは夏場〜秋口なら蚊・アブ・ブヨ、冬以外ならアリやハエあたりでしょうか。場所によってはスズメバチなども脅威になる場合もあります。

「キャンプなんだから虫くらい・・・」という考え方もあるとは思いますが、例えば夏場に大震災が発生して被災生活となった場合、虫対策は衛生的な生活環境を維持するためにも重要な要素となります。むしろキャンプという場面を利用して、被災生活における防虫策のシミュレーションをしておくのは有効と言えましょう。

備災FUN!』では、次の震災・災害に備える「備災」をテーマに、被災時にも大活躍のアウトドアグッズを日常で活用して「楽しみながら備える」情報をメインに発信しています。

まずは相手を知ること

孫氏の言葉にこのようなものがあります。

「知彼知己、百戰不殆。不知彼而知己、一勝一負。不知彼不知己、毎戰必殆。」

意味は、

「相手のことも自分のことも知っていれば、何も危ないことはない。相手を知らず自分を知っているだけでは互角の勝負。相手も知らないどころか自分の力量も知らない場合は、かなりヤバイ」

という感じになりますね。まずは相対する虫の習性と対策を知っておきましょう。

カ(蚊)

特に夏〜初秋にかけて、もっともイライラさせられるのがこの「蚊」ですね。寝室となるテント内にもし入り込まれていて、寝はじめた頃に耳元で「プ〜〜ン…」というあの独特の音が聞こえると、即座に臨戦態勢に入らざるを得ません。刺されでもしたら、しばらくは痒みと戦うことになってしまいます。

ヒトや動物などから吸血し、種類によっては各種の病原菌を媒介することもある衛生害虫に分類されます。吸血するのは蚊のメスのみで、オスは血を吸うことはありません。蚊が吸血行為に及ぶのは、気温が15度以上35度以下で、26度〜31度くらいの気温でもっとも盛んに吸血活動します。15度以下になる寒い日や35度を超える猛暑日では、できるだけ涼しい物陰などに隠れてじっとしています。

なお、蚊に効く殺虫グッズの説明書きをよく読むと対象が「ユスリカ」となっているものが多いのですが、実はこのユスリカは吸血しない蚊です。幼虫は赤虫などと呼ばれ、釣り餌になるものです。

アブ・ブヨ(ブユ)

「ハエ目(もく)」に分類されるアブはハエや蜂に似た形状ですが、それらとは異なり吸血害虫です。飛び回っている状況も判りやすく、刺されるとチクっとした痛みがあり一般的には強めの痒みが出ます。アレルギー体質の場合は化膿することも。

ブヨ(ブユ)もハエ目ですがアブより遥かに小さいサイズ(体調3〜5mm程度)の吸血害虫です。アブもブヨもどちらも血を吸うのはメス。吸血時は蚊と違い、皮膚を切り裂いて出血させて吸う行動をとります。刺された瞬間に痛みを感じるのは、この皮膚を切り裂かれるときですね。

ブヨはその際に唾液腺から毒素を注入してくるので、直後は痒みを感じなくても時間差で患部が腫れ上がり激しい痒みや発熱を生じるケースがあります。場合によってはその症状が1〜2週間続くこともあるので、しっかりとした対策が必要です。

マダニ

ダニは「クモ目」の生き物です。日常生活の中でもハウスダストなどの中に潜んでいたりするので意外と身近な害虫ですが、特にこのマダニは大量の吸血行為をおこなうことと、一度噛みつかれたら簡単には取り外せないので注意が必要です。マダニは感覚器として「ハーラー器官」と呼ばれるセンサーを持っており、これによって人間や動物が呼吸した際の二酸化炭素や体温・体臭・振動などを感知して草木から人や動物の上に飛び降りて血を吸います。

マダニが吸血時に皮下に差し込む「口器」はギザギザの返しのあるノコギリ状の形になっていて、差し入れた後は簡単に取り外せません。無理やり取り外そうとすると頭部がちぎれて皮膚に刺さったまま残ってしまうので、もしマダニに噛まれたら対処方法を間違えてはいけません。

ハエ(蝿)

暖かい時期は日常生活においてもよく見かけるハエ。ハエの摂食習性として、動物の糞や腐敗植物質といった動植物の死骸を摂取するため衛生害虫に分類されます。ご家庭でも、キッチンシンクの隅に置いた三角コーナーにコバエが湧いている状況に遭遇した人も多いでしょう。

イエバエならO-157、クロバエなら鳥インフルエンザなどの病原菌を媒介することもあるので、特に夏場はこれもなるべく防ぎたいところです。

アリ(蟻)

アリは「ハチ目・スズメバチ上科・アリ科」に属する昆虫です。もっとも身近な虫でしょう。コロニーを形成し女王アリを中心とした大規模な群れで生活をする社会性昆虫です。食性は基本的に肉食ですが、甘いものに集まっているのを見たこともあるでしょう。

アリの食料になるものを置いておき見つけられてしまうと、気がついたときには大量のアリが付着し、巣穴まで行列を作っていることがあります。日本に生息するアリの中にも毒を持つ種類がいたり、近年は海外産の攻撃的で毒性の強い「ヒアリ」の上陸もなどもありますので、注意しておいて損はありません。

ムカデ(蜈蚣)

キャンプ場があるような自然においては、ムカデもよく見かける節足動物です。数多くの脚を使って運動性に富む捕食性の虫ですね。頭となる部分の次の体節に、顎(アゴ)の形になった「顎肢」という部位があり、すべてのムカデはここに毒を出す器官を備えています。この毒を使って他の昆虫などを捕食する生物です。

オオムカデの類は攻撃的で、押さえつけたり捕まえようとすると触れたものに手当たり次第に噛み付くことがありますが、これまでムカデに噛まれての死亡例は無いとのこと。とは言え、体質によってはハチに刺されたときのようなショック症状が出ることもあるので、要注意です。

ヒル(蛭)

キャンプよりは、登山や山歩きなどをされる人のほうが馴染みがあるかもしれません。ぬめぬめとした身体の前端と後端に吸盤状の器官を持っていて、細長い身体を伸び縮みさせながらその吸盤を使って移動したり補足活動をおこないます。山歩きをしているといつのまにか衣服の下に潜り込んで血を吸っていることがありますね。

ヒル自体に毒性は無いとされ、噛まれて吸血されてもヒルの唾液には麻酔成分があるので痛みを感じず、また血液の凝固を妨げる成分により出血が止まりにくくなりますが、傷は数日程度で治ります。

スズメバチ

これについては、悪いことは言いません。スズメバチが始終飛んでいたり巣があるような場所からは一刻も早く、退避してください。特に秋はスズメバチがもっとも攻撃的になる季節で、防護服に身をつづんだ駆除業者以外に太刀打ちできる人はいません。

キャンプ場によっては、入り口や管理棟などにスズメバチに関する注意書きが掲示されていたり利用申込時に管理人から注意があったりしますので、それに従いましょう。

以上から「相手」の習性を知った上で、できるだけ有効な虫対策をおこないましょう。

編集部スタッフも被害に!ブヨによる実際の虫刺され例

毛穴全開で恐縮ですが、以前の夏、対策を怠った編集部スタッフが足首の裏側をブヨにやられました。この時は悪化して水ぶくれとなり皮膚科のお世話に。完治まで1ヶ月以上掛かっています。

こちらは悪化しなかった部位。ただ、刺され跡の赤みが時間を経てもなかなか引きません。以降は虫対策もフル装備です。

虫除け対策を整理する

虫除け対策を大まかに整理すると、次の5つのタイプに分類できるでしょうか。

① こちらの領域に侵入させない工夫
②「煙」による対策
③「灯り」による対策

④ 肌に直接つけて虫の接近を防ぐ
⑤ 環境に薬剤をスプレーして「結界」を作る

「敵」の習性に合わせて、これらを使い分けるといいでしょう。

① こちらの領域に侵入させない工夫

まず取り組みたいのは虫が侵入しない空間を確保する、という点です。特に春〜秋にキャンプや登山をおこなう場合、寝室となるテントは最低限しっかりとジッパーを閉めるということは皆さんすでにやっておられるわけですが、キャンプの場合はリビングとなる場所をフルメッシュのスクリーンタープなどで対応するといった方法も、「飛ぶ虫」対策としてはかなり有効です。

上記動画はNEMO社のBugoutシリーズのオフィシャル動画ですが、このタイプのタープや各種フルメッシュ・スクリーンタープであれば蚊、アブ・ブヨ、蝿、ハチなどからしっかりと守られる空間づくりができます。

というわけで編集部でもBugoutの12×12を導入しました。フロア面積は13.4㎡で6人用となっています。

もう一回り小さいサイズの9×9もあります。

虫の多い時期に設営してみましたが、アブ・ブヨ・蚊・ハチなどはほぼ完全にシャットアウト。地面を這って入ってくる羽アリが少々入るくらいで、防虫タープとしては極めて有効であることを実感しました。

アブ対策としては、海外ではトラップを仕掛けるという手法もポピュラーです。アブは「hourse fly」と呼ばれ、牧場などでは馬や牛が狙われます。
アブの習性(黒い色は熱を帯びるのでそれに向かって突進してくるアブは、下から上方向へ動く)を利用してこのようなトラップが自作・利用されていますが、この程度であれば日本のキャンプでも簡単に実現できそうです。

②「煙」による対策

古くから「蚊取り線香」が使われていますが、アウトドア用であれば定番の「森林香」「パワー森林香」が最有力候補です。パワー森林香であれば、蚊だけでなくアブにも効くようです(経験則的にブヨには効果薄という印象ですが)。

ただし、煙い・お香成分が衣服や髪の毛や肌に付くのが苦手なかたもいると思いますので、皮膚にスプレーしたり、ジェルを塗布するタイプのものも用意するといいでしょう。

ハッカ油を使った虫よけスプレーの自作も広くおこなわれています。刺された場合に備えて、かゆみ止めの薬も用意しておくべきですね。

また東南アジアなどでも使われている、二酸化炭素を発生させて蚊を集めるトラップである「蚊取りボトル」を自作することもできます。ペットボトルを使い、砂糖を人肌程度の温度の湯に溶かしたところにドライイーストを入れて発酵させ二酸化炭素とアルコールが発生した状態のものをサイトの隅に置いておくだけです(水300mlに砂糖30g、ドライイースト2g)。ただしこの方法は発酵が進む気温でないと有効性が無いため、使う場合は気温の高い日に限ります。

相手がハエの場合、食べ残しを放置したり、生ゴミが露出した状態にならないようにしましょう。また、ハエは発酵や甘酸っぱい香りのするものに釣られてやってくることも多いので、「酢・酒・砂糖」を混ぜた液体を空きペットボトルに入れたものを設営サイトの隅に置いておくのも効果的です。

③「灯り」による対策

虫を避けるというよりは強めの灯りを使ってそこに虫を誘導し、人間の生活領域から虫を遠ざけるという手段があります。夏のキャンプなどでは夕暮れから使うサイトのメイン・ランタンがその役目を果たします。

メイン・ランタンにはガスボンベを使ったものが光量も確保できますが、光量を上げるとガスの噴出音が煩くなるため、周囲に人がいる場所では音に気をつける必要があります。

これはSOTOのその名も「虫の寄りにくいランタン」。通常のガスランタンだと周囲360度を照らすため、そのぶん寄ってくる虫が増えることになりますが、これは照らしたい範囲を約180度程度に絞れるため、不用意に虫を寄らせないという特徴があります。

さらに、カセットコンロ用のガスボンベが使えるため、ランニングコストが安く済むので経済的です。

灯りを使いながら防虫効果を期待できるのが、オイルランタンに使うオイルを防虫効果のあるものに換えること。オススメはこのムラエの「レインボーオイル」。虫が嫌う種類の成分が入っており、特にタープ内のリビング空間で使うのに適しています。

編集部の経験則的に、蚊が寄りにくくなる感覚があります。蚊取り線香やパワー森林香の場合はどうしても煙のニオイが気になるのでリビングから少々離して使うこともありますが、こちらはリビングのテーブルに置いて使えるのがgood。

④ 肌に直接つけて虫の接近を防ぐ

特にブヨやヒル対策には一般的な虫除けスプレーでは効果が薄いので、より強力なものを使う必要があります。有効なものはディートを高濃度で含んだものですが、ディートは乳幼児などへの悪影響も言われているので使う場合は注意が必要。編集部スタッフ愛用品は、このキンチョーの「プレシャワー虫除けジェル」。肌に塗り込むとベタつかずサラッとします。ディートを使用し、濃度は6.5%程度とお子さんでも安心して使えるレベルです。

またアブやブヨはハッカに香りが苦手と言われるので、ハッカ油を使ったスプレーを自作したり、メントール成分を含むボディスプレーなども有効です。ダイレクトに商品名を出してしまうと、資生堂の「シーブリーズ」や久光製薬の「エアーサロンパス」などが意外なアブ・ブヨ除けの有効グッズとして使われています。

ハッカ油を使う場合、濃度が高くなると効果も上がると言われていますが、皮膚への刺激や影響が出てくるため、濃度調整が重要になってきます。ハッカ油を使った虫よけスプレーの作り方は現在ネット上に多数存在しているので、下記の検索結果へのリンクからお好みのものを参照してみてください。

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⑤ 環境に薬剤をスプレーして「結界」を作る

アリやムカデなどの地を這う虫に関しては、その侵入経路を塞ぐか近寄らせないようにする以外に方法はありません。アリ程度であれば気にしないで済むならそれが一番です。キャンプ場であれば、管理人に確認の上で可能であれば防虫スプレーでの「結界」を張りましょう。編集部スタッフ愛用品は、この「アリフマキラー」と「虫コロリアース」です。(もちろん、環境負荷を考えて使用しないのが一番良いですが)

アリの場合はとにかくエサとなる食料食材を放置しないことですが、そうでなくとも単独で徘徊中のアリも多いものです。小さな隙間さえあれば入って来ますから、アウトドアにおいて抜本的な対策はありません。毒エサを持ち帰らせるタイプの防蟻グッズもありますが、あのタイプは効果が出るまで時間が掛かりますので、1〜2泊のキャンプでは効果は望めないと見ていいでしょう。

ムカデに関しては、万が一テント内などに侵入されたときのために「トング」を用意しておくと、イザというときでも挟んで遠いところへもっていけるので、手段としては有効です。焚き火用のものをそのまま使うか、ゴミを扱うために百円ショップで売っているレベルのもので構いません。

虫除けが効かず刺されてしまった場合の対処

数々の防虫施策を講じていても、やはり刺されてしまうことも多いものです。「プランA」を突破された場合に備えて「プランB」を用意しておくのも、アウトドア・ライフを楽しむための重要なポイントです。

虫刺されに効く塗り薬を用意されている方も多いと思いますが、虫刺され対策の重要な3本柱は

① 真っ先に虫が皮膚下に注入した毒を吸い出す(これを実施するか否かで大きく違います)
② アブやブヨの場合は可能であればステロイド系の軟膏を幹部に塗る(体質的にステロイド使用がNGの場合は、非ステロイド系の軟膏を使用)
③ 患部を掻かない(特にブヨによる傷を掻くと、色素沈着により傷跡の赤みがいつまでも残ってしまいます)

となります。まずは、①の毒を吸い出すための「ポイズンリムーバー」は必ず用意しておきましょう。アブやブヨだけでなく、毒蛇などに噛まれた場合にも有効です。

ポイズンリムーバーの使い方は簡単ですが、説明書は事前にしっかりと読みましょう。正しく機能すると、このような形で皮膚ごと毒を吸引します。(写真の実験体は編集部スタッフの腕です)

編集部スタッフが使っている虫刺されに塗る「ムヒアルファEX」。ステロイド系のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(PVA)を配合。ステロイドは強さによって5段階に分類されていますが、PVAは上から4段階目、つまり最も弱いステロイドから2段階目です。長期連用しなければお子さんや、妊婦さんや授乳中のお母さんでも使うことができます。

まとめ

野外での虫除けと言うとキャンプや登山などが思い浮かびます。しかし、そうしたアウトドア・アクティビティだけでなく、もし夏場に大震災が発生した場合はどうでしょうか。高い気温の中でゴミ収集なども止まってしまうため、時々刻々と生活における衛生環境の悪化が進み、被害状況によっては上下水道も機能しなくなるためハエや蚊などの害虫が大量発生することが考えられます。

アウトドアでの防虫対策を真剣に考えることは、夏場の大震災発生時でもなんとか衛生環境を維持するためのノウハウに繋がります。過去の大規模震災である阪神淡路大震災と東日本大震災は、いずれも寒い時期だったため、ゴミや食材の腐敗による著しい衛生環境の悪化に直面された方々はさほど目立ってはいませんが、次の災害が暖かい時期には発生しないとは限りません。

防虫という点でも、キャンプなどのアウトドアでの対策は防災時にも極めて有効だということがよく解ります。「備えあれば憂いなし」。改めて、備災・防災におけるアウトドアノウハウの有効性を再認識できます。

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