トップ レビュー 枯れ木や薪が燃料の「ウッドストーブ(焚き火台)」を備えよう!

枯れ木や薪が燃料の「ウッドストーブ(焚き火台)」を備えよう!

アウトドアでは必需品!電気やガスや灯油などの燃料が無くても使える、最低限の調理用熱源や暖房手段である「ウッドストーブ(焚き火台)」。枯れ木や薪、古新聞やダンボールなどがあり火を起こせさえすれば、暖かさを確保し湯を沸かし調理ができ人が集える場所になります。災害多発時代の今こそ「シンプルなローテク手段」にも注目が集まります。

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キャンプだけではもったいない!備災用にウッドストーブ

いわゆる「焚き火台」とも言われる「ウッドストーブ」。

金属製で頑丈かつコンパクトなボディに薪(まき)や小枝・落ち葉などを燃料として燃やし、後には灰しか残りません。

備災FUN!』では、次の震災・災害に備える「備災」をテーマに、被災時にも大活躍のアウトドアグッズを日常で活用して「楽しみながら備える」情報をメインに発信しています。

焚き火といえば、過去の大震災でも被災地で多くの方々を支える名脇役でもありました。

【参考リンク】

「凍てつく被災地 雪降り積む夜、囲む焚き火」
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103160195.html
「アーカイブスから語り継ぐ~若者たちの阪神・淡路大震災ノート」より「焚き火で勉強。食事を温める間も本を離さない受験生」
http://www.jasdis.gr.jp/_userdata/05sympo/101023.pdf
「焚き火をせんとや生まれけむ」より「東日本大震災の夜,近所の人たちが薪ストーブを囲み,一夜を明かした」
http://www.epilepsy.med.tohoku.ac.jp/staff/nakasato/files/takibi.pdf

ネイチャーストーブとも呼ばれ、特に寒い時期のキャンプやアウトドアでも大活躍。雰囲気も十分の実用的アイテムです。

燃料となる木質燃料と着火手段さえあれば調理もできて、大きめのウッドストーブなら暖を取ることも可能。

今回も、編集部スタッフが実際に購入したウッドストーブ各種を中心に、災害時にも活用できるオススメのウッドストーブをご紹介します。

焚き火するのに道具がいるの?

キャンプやバーベキューなどの経験の無いかたの場合、「焚き火をするだけなら、空き地などで焚き木を地面に置いて燃やせばいいんじゃない…?」と思うかもしれません。残念ながら、それはNGです。

詳しくは後述しますが、現在の日本国内では管理者の許可が無い場所での焚き火は基本的に法律や条例で禁止されています。キャンプ場やバーベキュー場などでも、地面の上で薪などを直接燃やす「直火(じかび)」は禁止、焚き火台(ウッドストーブ)の利用が前提となっている場所のほうが大多数です。

よって焚き火が許可されている場所では、薪などを燃やす場合「焚き火台・ウッドストーブは必須」と理解して問題ないでしょう。

編集部スタッフが実際に使ってオススメするウッドストーブはコレ!

ソロストーブ

選択肢はいくつもありますが、編集部イチオシはこちらの「ソロストーブ(Solo Stove)」。

【ソロストーブの特徴】
①燃焼室の二重構造による高い燃焼効率
②後に残る「灰」が極めて少ない
③1ピース構造で灰が地面に落ちず火の粉も飛散しにくい
④ゴトク付きで調理にも使いやすい
⑤用途に応じてサイズが選べる
⑥純正品のクッカーがあり、ストーブを収納できる

【用途】
サイズに応じてソロキャンプからファミリーキャンプまでを網羅

【解説】
少ない燃料でも高い燃焼効率を誇る「ソロストーブ」は国内外を問わず多くのユーザーがいるウッドストーブです。

製品ラインナップは次の通り。

Solo Stove Lite(使用時の高さ:約14.5cm、直径:約10.8cm)
Solo Stove Titan(使用時の高さ:約20cm、直径:約13cm)
Solo Stove Campfire(使用時の高さ:約23.5cm、直径:約17.8cm)
Solo Stove Bonfire(使用時の高さ:約35.6cm、直径:約48.3cm)

独断と偏見で用途ごとに分けると、Liteはソロ、Titanはソロ〜デュオ、Campfireはファミリー用。

最大サイズのBonfireは暖をとる手段としては十分ですが、気軽に持ち運べるサイズと重量ではありません。グループ用や据え置き用といったところでしょう。日本国内では使用場面が限られそうですが、自宅に保管スペースがありサイズが気にならない場合には、災害時に暖を取るための強力なアイテムになるでしょう。

Bonfire以下のサイズで「暖を取る」という用途ではTitanかCampfireになり、サイズ的に気にならなければCampfireがオススメです。

ストーブ自体は1ピース構造の円筒形で折りたたむことはできないためサイズによっては「かさばる」ことは事実ですが、そのおかげで燃焼後に残る「灰」の後始末が圧倒的に楽です。残る灰そのものが極めて少なくて済みます。

1ピース構造であるため灰はすべてストーブの底に溜まり、地面に落ちることはありません。当然、火のついたまま小さくなった「熾(おき)」も地面に漏れ落ちることが無く最下層には空気溜まりとなる空間があるため、他のウッドストーブに比べて地面や植生を熱で傷めにくい構造になっています。

逆に、灰は溜まり続けるので薪を追加して長時間延々と燃やし続けるには不向き。長時間使いたい場合は別途「灰入れバケツ」や「火消し壺」などを用意して、いったん消火した際に灰が溜まりすぎたと思ったタイミングで灰を灰入れバケツに移しましょう。

火のついた薪がある場合は燃やしきってから灰の処理をおこなうか、火消し壷に入れて消火します。

ソロストーブ純正のクッカー(鍋)も販売されており、クッカー内にストーブをぴったり収納することができます。

クッカーは最小サイズなら1人用、中サイズなら2人程度、最大サイズなら1家族ぶんの食事の調理に使えます。

キャプテンスタッグ「ヘキサ ステンレス ファイアグリル」

今回ご紹介する中では最大サイズとなるキャプテンスタッグの「ヘキサ ステンレス ファイアグリル」。

比較的一般的なタイプのウッドストーブで、いわゆる「焚き火台」と言われるもの。

【キャプテンスタッグ・ヘキサグリルの特徴】
①焚き火台としては比較的スタンダードな形状の1つ
②逆六角錐的な形状で大きく広い燃焼室、燃焼に必要な空気も送り込まれやすい構造
③焚き火を囲みやすい形状のため、暖を取りながら豪快に料理をしたり団らんをするには最適
④ダッチオーブンを乗せられる安定性
⑤グリル網が付属のため、網焼きバーベキューも簡単
⑥燃焼室の真下には灰受けはあるが、吸気孔から多少の灰は漏れ落ちる
⑦折り畳み収納可能、収納した際のサイズと重量は大きめ(専用バッグ付き)

【用途】
ファミリーキャンプやグループキャンプなど、複数人数での使用

【解説】
ウッドストーブ入門にも「そこそこ豪快に焚き火やりたい!」という用途にも応えてくれる、複数人数でも囲みやすい六角形の形状とサイズ。小枝や枯れ木よりは、それなりのサイズの薪を投入して長時間の焚き火を楽しむことができます。

大きさと重量的に安定性があるため、ダッチオーブンも乗せやすくなっています。キャンプで使う場合はダッチオーブンで豪快に煮込み料理を作ったり、丸鶏料理などにも向いています。

また付属品にグリル網がついてくるため、薪の炎が収まって熾火(おきび)になった後は、その上で様々な調理が可能です。一般的に、焚き火での調理は炎が上がっている状態よりも熾火になった後の方が適しています。

(写真にある2つのフライパンは「焚き火フライパン」。こちらにレビュー記事を公開しています)

組み立てた際、底面にロストルと呼ばれるプレートをセットしますが、逆六角錐の底部に「置く・乗せる」的な状態となります。大きな薪を燃やすことは可能ですが、乱暴に投げ入れたりすると組み立てた状態が崩れる可能性があるため、薪の投入のコツは「優しく綺麗に」。

ロストルの位置には横方向から空気を取り入れる孔が空いていますが、溜まった灰が多少こぼれ落ちますので、ウッドストーブの下の植生保護や灰の後片付けを楽にするためにも、100均でも入手できるステンレスバットなどの金属製の平皿状のものを敷くと良いでしょう。

VARGO「ヘキサゴンウッドストーブ」

コンパクトに折り畳める小枝類専用の「VARGO ヘキサゴンウッドストーブ」。固形燃料やアルコールストーブ用の風防付きゴトクとしても利用可能。

【VARGO(バーゴ)ヘキサゴンウッドストーブの特徴】
①ひと綴りに折りたため、収納性・携行性・デザイン性が高い
②小枝や穂先、松ぼっくりなどの小さなものを燃料とする
③固形燃料やアルコールストーブ用の風防付きゴトクになる
④ステンレス製とチタニウム製とが選べ、専用ソフトケース付き
⑤灰はそのままストーブの下(地面等)に落ちる構造
⑥二次燃焼機能は無し、暖を取るとすれば手のひら程度

【用途】
ソロキャンプでの焚き火調理や固形燃料・アルコールストーブ用の風防付きゴトクとして

【解説】
VARGOヘキサゴンウッドストーブも、愛用者の多い優れたストーブです。基本構造が軽量・コンパクト志向であるため、ほぼ1人用のウッドストーブとなります。

折りたたんで付属のソフトケースに収納すると1枚のプレート状になりますので、バッグやザックの隅に入れておいてもまったく邪魔になりません。

小枝類を燃やすというより、固形燃料やアルコールストーブの風防付きゴトクとして活用されている方も多いと思います。もちろん本来のウッドストーブとしても使えますが、寒い日に暖を取るには火力不足で、手のひらや指先を暖める程度に使えます。

使用時には燃やした灰や小さくなった熾(おき)は底部の孔から下へ落ちるため、灰受けとなる金属製のプレートや不燃性シートを敷くなどして地面や植生を保護しましょう。

量産型ウッドストーブ

このタイプのストーブは類似品がたくさん販売されています。構造はほぼ同一で、二次燃焼も可能です。

今回は “Ohuhu” という中国系ブランドを使いましたが、収納時のサイズが高さ約7cm、外径約13.5cm程度のものならだいたい当てはまります。コンパクトなウッドストーブの「ジェネリック製品」と呼べるかもしれません。

【量産型ウッドストーブの特徴】
①煙の少ない二次燃焼が可能(燃え始めは煙は出ます)
②小枝や穂先、松ぼっくりなどの小さなものを燃料とする
③分解・組み立て式で、サイズが合えばクッカー内に収納できる
④固形燃料を燃やすための受け皿付き
⑤灰はそのままストーブの下(地面等)に落ちる構造

【用途】
ソロキャンプでの焚き火調理や固形燃料・アルコールストーブ用の風防付きゴトクとして

【解説】
恐らく二次燃焼できるものとしては、もっとも安価に入手可能なタイプのウッドストーブです。安価なぶん作り的には大味な面もありますが、それだけに「気にせず使い倒す」ことが可能。

コンパクトでクッカー類への収納もしやすく、特にMSRの「アルパイン・ストアウェイポット」775mlなら「シンデレラ・フィット」と呼べる形で収納できます。

(MSRアルパイン・ストアウェイポットについては、こちらにレビュー記事を公開しています)

このストーブには固形燃料や燃料用アルコールを入れる皿が付いているため、木質燃料以外にこれらも利用することができます。特に、固形燃料は25〜30g程度のもの1つでご飯1合を美味しく炊くことができるため、風防付きの固形燃料コンロとしても活躍します。

燃料用アルコールを使う場合は少量となりますがアルコールは低い気温でもしっかり燃焼しますので、風防付きの着火用途としても使えます。

燃焼室は小さいため、使用する枯れ木や小枝などの木質燃料はサイズを考慮して使いましょう。

その他、注目すべきウッドストーブ

【BioLite(バイオライト)】

BioLiteは「焚き火で発電ができる」ウッドストーブ。暖を取り調理もしつつ、発生した熱でスマホや充電式LEDライトなどのコンパクトな電気製品への充給電ができます。

画像出典:BioLite公式サイト

【Kelly Kettle(ケリーケトル)】

焚き火台構造を持つヤカンである「ケリーケトル」。縦長ボディの下と中央部で枯れ木や小枝などを燃やすことで、内部の水を沸かすことが可能です。

ウッドストーブ使用時の注意点

直火を使う以上、安全性を確保し有意義かつ楽しく扱うために、多くの注意すべき点があります。

①当然ながら室内や屋内では絶対に燃やさない
②地震災害などの非常時に必要な場合以外は、住宅地では絶対に使わない
③緊急消火用の水や携帯用消火器を準備してから燃やす
④燃える物の上で使わない。地面が芝生などの場合は特に注意
⑤火を使う際の服装に注意。化繊やフリース素材は燃えやすくダウンジャケットなどは火の粉で穴が開く
⑥炎が見えなくなっても、木材が赤く光っている場合(熾火)は高温で燃え続けている
⑦キャンプで使う場合はキャンプ場のルールに従う(灰や炭の廃棄方法など)
⑧乾燥していない「生木」は大量の煙が出るため燃やさない
⑨鍋やヤカンを焚き火に直接乗せると、底面や周囲が必ず「煤(すす)ける」
⑩薪の途中消火や残った灰や炭の後始末用に「火消し壺」を用意して灰を入れたり炭を消火できるようにする

焚き火の周りにいる自分自身や周囲の人達の安全と、焚き火から離れている人たちにも火の粉やケムリによって迷惑がかからないように気をつけましょう。

まとめ

使い慣れれば、サバイバルな状況下でも実用的なウッドストーブ(焚き火台)。基本的に「直火を操る」ことになりますので、使用に際しては細心の注意が必要です。

燃料は何でも良いわけではなく、いい加減に扱うと大量の煙を発生させたり火の粉が飛散して火災の原因にもなりかねません。密閉空間で使うと、一酸化炭素中毒死の危険性もあります。

燃料はしっかりと乾燥させた木材に限定しましょう。生ゴミ類は綺麗に燃え尽きませんし、ビニールやプラスチック類などは有毒なガスを発生させまるため、吸い込むと危険です。

またウッドストーブを使うということは「焚き火」をするということです。

今の日本国内では、公園や河川敷をはじめとした公有地では管理者の許可が無い限り「焚き火」は基本的に法律や条例で禁止または規制されています。自宅に私有地としての広い庭があったとしても、基本的に庭での焚き火は禁止・規制されると認識しておくべきでしょう。

ただ前述の法律などにおいては、「非常災害のために必要な応急措置として行う行為はこの限りでない」とも言及されているので、大震災などの非常災害時に必要な応急措置としての焚き火は可能です。

キャンプ場などでも、地面に石を並べたカマドを作ったとしても「直火」による焚き火を禁止しているところが多く、キャンプ場であってもウッドストーブを使うことがほぼルールとなっています。

余談ですが、近年のアウトドアやバーベキュー・ブームによって、自宅の庭や住宅街の路上でバーベキューをおこなう人たちがいます。

バーベキューコンロを使っていると思いますが、近隣住民のかたが騒音や煙・ニオイなどを迷惑と感じ、ご近所トラブルに発展したり民事上の責任を問われることもありますので注意しましょう。

ウッドストーブは、仕組みと使い方を理解して普段から(キャンプなどで)使い慣れておけば、災害時に停電や都市ガスが止まっても便利に活用できるアイテムの1つです。

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