(※上記写真の左側は、別売りのウッドストーブ)
登山家の間では評価の高い歴史あるブランドの1つ、米国MSR社のステンレス・クッカー。丈夫で多用途に向き、日常のキッチンでの普段使いからアウトドアの焚き火にくべてもOKと、手荒な使用にも耐える銘品。
「MSR アルパイン・ストアウェイポット 1.1L」は広口で扱いやすい深さを持つため、2〜3人前のカレーやシチュー・鍋料理や煮込み料理に炒めモノなど幅広く利用できる。特筆すべきはヒンジ式の取っ手(柄)の長さとそれを用いたフタの固定・半密閉構造。完全密閉ではないので液体を入れて横にすれば多少の漏れはありますが、これを逆手に取って簡易圧力鍋としても利用できます。柄の長さは焚き火でも使いやすい。食材や小物などの収納力もあるため携行性も高く、いくつかのウッドストーブやアウトドア用ケトルなども収納できます。
・鍋物や汁物、煮込み料理が調理しやすく洗いやすいサイズ、備災用途だけでなく普段使いにも最適
・取っ手(柄)が長いため、調理中でも素手で持つことができる
・取っ手でフタを固定できるため、料理の保存にも便利
・取っ手によるフタ固定時に簡易密閉できるため、圧力鍋的な使い方も可能
・いくつかのウッドストーブやケトルを丸ごと収納可能
・ステンレス製のため炊飯は慣れないと焦げ付きやすい。炊き込みご飯には不向き
1.1Lのサイズ感はiPhone5sとくらべて、このくらいです。取っ手が長くヒンジ式で、フタをガッチリ押さえてくれる構造。パッキンは無いので完全密閉ではありませんが半密閉と言っていいでしょう。
取っ手を開いた状態。細いので一見すると弱そうなルックスですが、「しなり」は少なくしっかりしています。焚き火にもくべやすい長さ。
iPhone5sがスッポリ入ってあり余る直径と手頃な深さで、キッチンでの普段使いにもピッタリ。
ステンレス製ですが、底面は完全に平らではないのでIHヒーターには向いてないかもしれません。(一応使えたという声は耳にします)なお、製造国はタイです。
「サーモンとほうれん草の豆乳クリームパスタ」
サーモンは瓶詰めのフレーク、乾燥ほうれん草、パック豆乳を使ったもの。いずれも長期保存可能な備蓄食材で作った「備災メシ」。
「紫玉ねぎのポトフ」
こちらはキッチンでの普段使い。旬の野菜などを使った煮込み料理もバッチリ。一般的なキッチン用ステンレス鍋に比べて素材厚が薄仕上げのため、火の通りも早くガス代の節約につながりますね。
「トマトジュースで作る野菜カレー」
洗い物を少なくするなら、内側に厚手のアルミホイルやクッキングシートを敷いての調理も。アルミホイルの場合は破れを防ぐため、かき混ぜる際に金属のレードルや「おたま」の使用は避けシリコン製などがいいでしょう。
「ホンビノス貝の酒蒸し」
フタが半密閉できいい具合に蒸気が抜けるので酒蒸しなども。大アサリ・白ハマグリなどと呼ばれることもあるホンビノス貝、1個のサイズが巨大で食いでがあり何より旨味が強い素材です。鮮魚店で見かけたらぜひ買ってみてください。
定番のレギュレーター・ストーブ「SOTO ST-310」の上にユニフレームの「バーナーパッド」を置き、その上に。バーナーパッドは火の当たりが均一に近くなるのでオススメです。
「VARGOヘキサゴンウッドストーブ」と。ポケットサイズの折りたたみ式ウッドストーブは、薪や小枝のみならずアルコール・バーナーや固形燃料などとも相性が良く、風防も兼ねてくれます。
こちらもウッドストーブ。Ohuhuの「AS812」と。このAS812はかなりコンパクトに収納でき、「アルパイン ストアウェイポット 1.1L」の中にスッポリ収納できる相性の良さ。
番外編的ですが、trangiaの「ストームクッカー」のストーブ部分と。風防と煙突効果を兼ね備えた強火力を実現するストーブと半密閉構造のクッカーの組み合わせは、備災シーンにおいてもバラエティ豊かな料理を生み出してくれることでしょう。
左側はOhuhuのウッドストーブ「AS812」を畳んだ状態。これを収納できてしまいます。
入れてみました。かなり余裕のある収納力。「アルパイン ストアウェイポット 1.1L」の下位サイズ版「アルパイン ストアウェイポット 775cc」でもピッタリ収納できるようです。
Ohuhu AS812を専用メッシュカバーに入れて収納してみたところ。ここにフタをしてヒンジ式の取っ手を使って固定できてしまいます。AS812と同型同サイズのウッドストーブと「アルパイン ストアウェイポット」の相性はなかなか良さそうです。
インスタントラーメンが2つ程度は余裕で入ります。2人分のラーメンを作るにも便利ですね。備災観点ではなくアウトドアや登山用途で見た場合、クッカーの選択基準の1つにこの「インスタントラーメンがスッポリ入るか否か」を取り入れるユーザーも多いようです。
MSRアルパイン・ストアウェイポットに、テフロン(フッ素樹脂)コーティング加工を施してみました。コーティング加工を発注した業者さんは、メスティン及びラージメスティンのコーティングを依頼した、福岡県久留米市の睦美化成さんです。ステンレス素材への焼き付けによる、赤光りする仕上り。風合いが素晴らしいです。
とりあえず鍋本体内部のコーティングのみならず、フタの内側にもコーティングをお願いしました。グリッパーを付けると、かなり使い勝手の良いミニフライパンになります。コーティングのおかげで、こびり付きの心配や不安もありません。
まるで市販のテフロンコーティング製品のような仕上り。MSRのアルパイン・ストアウェイポットはそれなりに重量のあるステンレス素材製のクッカーで、アウトドア用途だけでなく普段使いにも適しているのですが、コーティング加工をおこなうことでさらに普段使いに適したクッカーになります。
クッカー内側接写。ムラの無いきめ細やかなコーティングの仕上りは、メスティンのコーティング加工を依頼した際にも感じた睦美化成さんの確かな技術力によるもの。睦美化成さんでは、個人からのクッカーのコーティング加工も受け付けているので、お手持ちのクッカーを加工してみたい場合は直接相談してみてください。
ステンレスのため炊飯用途としては焦げないよう慣れが必要ですが、それ以外の調理には備災調理目的だけでなく日常的にも使いやすい万能クッカーと言えます。2〜3人用の鍋物や汁物・煮込み料理、インスタントラーメン調理、レトルトパックの加熱。多少の隙間はあるもののフタを取っ手でしっかりと固定できるため、簡易圧力鍋としても使えるため豚角煮や生落花生の塩茹でなどなど他のクッカーでの調理では敷居が高いレシピにも対応可能。
アルミクッカーほどではありませんが水の沸騰するまでの時間も短く、ガスコンロなどであれば燃料の節約にも繋がります。ただし底面が完全なフラット状ではないため、IHには不向きでしょう。固形燃料との組み合わせよりは、ガス系の熱源やウッドストーブ等との組み合わせがオススメです。
登山や本格アウトドアのユーザーではない場合の備災用途としては、炊飯にはメスティンや山クッカーなどの他のアルミクッカーを併用しましょう。
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・今回レビューした1.1Lサイズ
・大きめサイズの1.6L
・中くらいサイズの775cc
・コンパクトな475cc