2019/07/31:2019年7月の日本全国における地震の傾向
月末ということで、2019年7月の日本全国における地震の傾向を独断と偏見で出してみました。
全体的にM4クラスが多めで太平洋側ではM4後半〜M6クラスも発生。
特に7/28の三重県南東沖のM6.5は東北あたりに異常震域を発生させたことで、「異常震域」というあまり耳慣れないキーワードと併せて話題となりました。
これを含めて大きめのもの(M4.5以上)をいくつか時系列でピックアップすると、
2019/07/13 09:58頃, 奄美大島北西沖, 震度3, M5.9, 深さ250km
2019/07/17 18:00頃, 岩手県沿岸南部, 震度3, M4.7, 深さ80km
2019/07/25 07:14頃, 千葉県東方沖, 震度3, M5.3, 深さ60km
2019/07/28 03:31頃, 三重県南東沖, 震度4, M6.5, 深さ420km
2019/07/29 00:35頃, 千葉県東方沖, 震度3, M4.6, 深さ20km
2019/07/30 05:38頃, 八丈島東方沖, 震度3, M6.0, 深さ60km
あたりが目立ったものとなりました。
今後30年内の発生が懸念されている巨大地震としては、
① 千島海溝沿いの北海道沖巨大地震(M8.8以上・発生予測確率:7〜40%)
② 青森〜房総沖の日本海溝沿いの巨大地震(M7.9〜M8・発生予測確率:80〜90%)
③ 都心南部の直下で起きる首都直下地震(M7以上・発生予測確率:70%)
④ 南海トラフ巨大地震(M8〜9・発生予測確率:70〜80%)
となります。
特に②〜④の発生予測確率は高く、今後50年内まで期間を広げると発生確率はほぼ90%と言われます。
では2019年7月の地震の震源に、それぞれの巨大地震の想定震源域を重ねてみます。
こうして見ると、2019年7月の期間では南海トラフ巨大地震の想定震源域での大きめの地震は少なく、東日本の太平洋側が比較的活発に見えます。
ここで意識したいのは確率はあくまで確率であるということで、30年以内・50年以内に100%発生するという意味ではありません。
サイコロを例に取ると解りやすいと思います。
サイコロは正四面体で面の数は6あり、1回振って特定の目が出る確率は「1/6=16.67%」です。
では、例えば「1の目」は6回振ったら100%確実に出るでしょうか?
違いますよね。1回目で出る場合もあれば、30回目に出る場合もあるでしょう。
巨大地震の発生確率も、イメージとしては同じようなものと理解すれば良いかと思います。
そうした前提の上での現実ですが、たとえば何十年も前から起きるぞ起きるぞと言われ続けてきた「東海地震・東南海地震・南海地震(あわせて南海トラフ巨大地震)」。
実際には未だに起きていません。
では今後も起きないのかと言ったらそうではありませんが、2011年の東日本大震災というM9クラスの地震すら予知できなかったことから様々な議論が起こり、内閣府のワーキンググループは2017年に「東海地震も含めて地震予知は困難」という報告書をまとめるに至り、地震予知研究は現在、大きな節目を迎えています。
地震予知の研究は今後も続きますが、実際に巨大地震が発生した時には被害を受けたり生活への影響を受けるのは私たち自身です。
地震の規模や被害が大きいほど、政府や自治体・行政の初動は鈍く、すぐに救助支援が必要な人々に助けの手は行き渡りません。
避難所は不足し、公的に備蓄されている支援物資も被災者全員には配布されません。
生活拠点や水・食糧が無くなった被災者が餓死や病死するといった状況は起きないとは誰にも言い切れず、その当事者になるのは私たちかもしれないのです。
今後は「防災は国や自治体に任せる」という意識は捨て、個人や家庭レベルでの「備災」も重要な考え方・活動方針となります。
災害に備える「備災」を多くの人々がおこなうことで、いざ巨大災害が起きた時の被害を減らす「減災」につなげることが重要です。