2019/8/9〜8/13:東京多摩西部・山梨県東部で小規模な地震
2019/8/9〜8/13にかけて注目した地震は、東京都多摩西部におけるM2.7と山梨県東部・富士五湖付近でのM2.6・M2.9。
東京都多摩西部を震源とする有感地震はかなりの低頻度で発生し、前回目立ったものは約2年前・2017/09/11に震度3, M3.9が起きて以来。
山梨県東部・富士五湖を震源とする有感地震も比較的少なめで、おおむね年に数回程度しか起きません。
これらの震源が4日間程度の間でほぼ同時に動いたようです。
特に山梨県東部・富士五湖を震源とする大きめの地震は少なく、近年における最大震度4以上を観測したものは次の5件程度。
2014/12/11 15:07頃, M4.3, 最大震度4
2012/01/29 16:46頃, M4.7, 最大震度4
2012/01/28 07:43頃, M5.5, 最大震度5弱
2012/01/28 07:39頃, M5.0, 最大震度4
2011/03/15 22:40頃, M4.0, 最大震度4
2012年1月下旬に集中した際に起きたM5.5・最大震度5弱が発生した際は、奈良県〜福島県まで揺れが観測され、この時期はM4.7〜M5.5の規模で、最大震度4〜5弱が3連続しました。
いずれの震源も、南海トラフ巨大地震の想定震源域の東端に掛かるか掛からないかといった位置であり、首都直下型地震の想定震源域の西端あたりに位置します。
ちょうど、駿河トラフ・相模トラフ・糸魚川-静岡構造線の合流ポイント=3つのプレートが重なり合う位置で、富士山や箱根山などの火山が存在することと、周辺には立川断層帯をはじめとした多数の断層が存在します(図に記載した断層は一部です)。
このように関東周辺の構造線と断層帯を図で観てみると、改めて東京を中心とした首都圏が「地震の巣」の周辺に存在しているかがよく解ります。
将来的(今後30年内)に発生が比較的高めの確率で予測されている巨大地震は複数ありますが、予測に関しては
①基本的に様々な仮説を置いた上での推計である
②定量評価できない項目が存在する
③発生確率は低めでも実際に起きた際には甚大な被害を及ぼす事象が発生する可能性もある
という点は意識しておくべきでしょう。
また南海トラフ巨大地震に関してはより根本的な問題として、前述した「発生が比較的高めの確率で予測されている」に反する「確度の高い予測が困難」という状況も現実です。
災害を防ぐ観点での「防災」よりも、国・自治体・地域・家庭・個人というすべての粒度で可能なかぎり備えをし、起きた後の被災を減らす「減災」にいかにつなげていくかが重要になっていきます。