シンプルで可動部分が無いため故障知らずのアルコールストーブ。空き缶を使って自作も可能。燃焼の基本構造が生み出されたのは今から100年も前。trangia社製アルコールストーブは発売から50年以上の歴史を持つ逸品。
いわゆる「アルコールランプ」と同じ燃料用アルコールを使います。コーヒーのサイフォンドリップでもお馴染みですね。このアルコールはコーヒーショップや薬局・ドラッグストア、ホームセンター、アウトドアショップなど様々な場所で入手できます。
持ち運びには炭酸飲料用のペットボトルも利用可能ですが(炭酸用ではないペットボトルは気化したアルコールが漏れるため使用できません)、安全性の高い専用のフューエル・ボトルの利用がオススメです。
他社からも発売されているアルコールストーブ、基本構造はほぼ一緒ですがチタン製など極めて軽量なものがあり、登山や本格アウトドアなどではより軽量がものが好まれますが、備災用途としては、真鍮(しんちゅう)製で多少の重量による安定感を持つこのtrangia製がオススメです。特にtrangiaの「ストームクッカー」であれば、このアルコールストーブが標準装備で実力を最大限に引き出せるセット構成になっているので、そちらを購入してしまう手もあります。
・小型でシンプルかつ軽量。踏んだりしなければまず故障しない
・燃料となる燃料用アルコールが入手しやすい(ドラッグストアで500mlボトルで300円程度)
・気温に左右されずに点火・燃焼が可能、煤(すす)が出にくいので屋内使用も可能、環境にも優しい
・アルコールストーブは一般的に「強火力・大火力」が必要な場面ではあまりオススメできないが、備災用途であれば予備熱源として十分に威力を発揮する
・明るい場所では燃焼中であっても炎が見づらいまたは見えないことがある
・燃料が入った状態で何かをアルコールストーブに引っ掛けて倒すと、火事になる危険あり
初心者向けにゴトクとセットとなったものも販売されており、アウトドア用途としてはかなり身近な道具となったアルコールストーブ。プロユースに場に置いても、例えば登山用品専門店などでも主役級に目立つ扱いをされるなど、近年はツールとしての認知度が上がっています。
寒冷地や高標高の場所では、カセットガスボンベやアウトドア用ガスボンベを使うガス・ストーブ類のいくつかはうまく使えないケースがあるようですが、これはそのような環境でも問題なく一発点火で燃焼開始、調理に取り掛かれるため、登山家やソロ・キャンパー、渓流釣行師などの間でも定番的な携行品という一面も。
YouTubeなどで検索すれば、様々な使用動画や空き缶を使った自作動画などを目にすることもできます。適正に扱えば、実に頼もしい熱源です。
かつて小中学校では理科の実験でアルコールストーブと同じ燃料を使う「アルコールランプ」を使ったものですが、近年は危険だということで使用を廃止する傾向です。確かに、燃焼中に倒すなどして火事になる等のリスクはありますが、同じ火を扱う以上はカセットコンロも夏の花火も同じです。むしろ子供の頃にこうした器具を保護者が見守るなかで、安全に扱うことを学ぶ機会はあってもいいのではないでしょうか。備災用品としてアルコールストーブを用意し、親子で「火」の安全な使い方を学ぶキッカケにするのもいいでしょう。
なお備災用途として屋内で使用する場合は、キッチンのシンクの近くで何かあってもすぐに消火できる状況で。キャンプなどアウトドアで使う場合は、テント内での使用は極力避けましょう。引火性の高いアルコールが燃料であるため、十分に注意して使いましょう。