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【検証】被災時のトイレ問題の解決方法(後編)

「後編」の今回は、簡易トイレの「処理剤」の使い方と効果について徹底検証していきます。尿(おしっこ)は問題ないとしても、大便(うんち)の処理にも使えるのか。また気になる「ニオイ」は大丈夫?などなど、皆さんの疑問を一気に解決!

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各簡易トイレの「処理剤」の性能を調査

前回の記事では簡易トイレの便器や様々な「処理セット」の構成などを主に見てきましたが、今回は「処理剤」を使って実際に擬似的な尿と大便の処理をおこなってみます。内容としては以下のようになります。

【尿(おしっこ)の処理】→このページ
アイリスオーヤマ・簡易トイレBTS-250に付属の処理剤
小久保工業所の「緊急簡易トイレ」に付属の処理剤
高吸水性樹脂 「CP-1」を処理剤として使う場合

【大便(うんち)の処理】→次のページ
・簡易トイレの処理剤は使えるのか?
・くさい「ニオイ」対策の決定版

【まとめ】→次のページ
・結局のところ、備災用トイレとしては何をどれだけ用意しておけばいいのか?

なお、さすがに実際のおしっこやうんちを使うわけにはいきませんので、それぞれ「疑似尿」と「疑似便」を用意しました。疑似尿としては、青く着色した水道水を使い、また疑似便としては「お味噌」と「カレー粉」を利用します。
国内トイレ開発業界においても、擬似便に関してはかつて味噌やピーナッツバターなどを使用していたそうですよ。現在では各社ともに研究され特許も取得した「疑似汚物」を採用しています。

では、さっそく検証していきます。まずは「尿」の想定処理です。
基本的に健康的な成人の場合、1回あたりの排尿量は200ml〜400ml程度とされるので、今回は検証1回あたり250mlの着色水を用意しました。粉末状の「処理剤」3種類にそれぞれ吸水させて、処理能力をチェックします。

備災FUN!』では、次の震災・災害に備える「備災」をテーマに、被災時にも大活躍のアウトドアグッズを日常で活用して「楽しみながら備える」情報をメインに発信しています。

◆アイリスオーヤマ・簡易トイレBTS-250に付属の処理剤

まずはこちら、ダンボール製の組み立て式簡易便器のBTS-250に付属の処理剤から。内容的には簡易トイレにセットして排泄物を受けるための黒いビニール袋と、「トイレ用凝固剤」と書いてある小袋に入った白い粉末です。

青く着色した水250mlに全量を一気に投入します。入れた直後は器の底に粉が沈んで数秒間は何も変化が無いように見えましたが、5秒くらいしたら吸水状況が目に見えてわかります。

15秒程度で処理剤が水を吸って水面から上へと盛り上がってきました。まだまだ吸います。

30〜40秒程度で吸水完了しました。

手触りは「しっとりやわらか」です。吸い込んだ水分は逃しません。

吸い残しが無いかどうか、吸水を完了した処理剤を割って器の底を確認してみました。ご覧のとおり吸い残しはありません。

吸水完了した処理剤を、廃棄するために一般的な透明ビニール袋に入れてみました。「付属品」レベルの処理剤でしたが、十分な吸水性を備えていることが判ります。
ただ、トータル5セットなので成人1人あたりの1日分です。簡易トイレの処理セットとしては必要量を別途追加で買い揃える必要がありますし、「うんち」の処理を考えるとビニールを通して漏れるニオイ対策も必要です。

◆小久保工業所の「緊急簡易トイレ」に付属の処理剤

次はこちら。小久保工業所の「緊急簡易トイレ」です。「消臭」の文字どおり、排泄物を受ける黒いビニール袋と処理剤の他に、防臭効果のある白いビニール袋が追加されています。

こちらも同様に250mlの水を用意し、処理剤を全量投入します。処理剤の色は、白色というより薄褐色系です。投入するそばから極めて急速に水を吸い込んでいきます。急速吸水という点では、今回検証した処理剤の中では断トツのスピード。

処理剤1包で250mlの水をすべて爆速で吸い込んだにも関わらず、まだまだ余裕の表情ですので、さらに100mlの水を追加して合計350mlを吸わせてみることにしました。

合計350mlを吸水したにも関わらず、まだ余裕がありそうです。

内部、器の底あたりはどうでしょうか?ということで割って確認します。ところどころ、吸水していない粉末が残っていることが判ります。

ともあれ350mlを吸わせた状態で廃棄ということで内部をよく確認してみたところ、まだまだ吸水できる部分がこれだけ残っていました。これなら健康な成人の一回の排尿量の最大値とされる400mlも余裕で吸水できそうです。

というわけで廃棄。初期量250mlに追加して合計350mlを吸水させた結果がこの量です。処理剤自体は5〜6g程度なので、水分をそのまま固形化して捨てられるイメージですね。1セット10回分入り、防臭袋もセットの個包装なので携行性もいいです。備災用としてもいいですが、むしろキャンプや長距離ドライブなどにも備えておけば安心のアイテム。

◆「高吸水性樹脂 CP-1」を処理剤として使う場合

今回、もっとも期待の星がこちらの「高吸水性樹脂 CP-1」。重量1.5kgの大容量、販売企業さんが複数ありますが製造元は不明(関西大手化成品製造メーカー製とのこと)。しかしキャッチコピーは「たった1gで水300ml以上を吸水」とあります。

1gは小さじでもこの程度。1円玉1枚が約1グラムです。他の処理剤と同じ条件ということで250mlの水を用意しましたので、「1g 対 250mlの戦い」が始まります。

投入直後の吸水速度は今回の3種類の中ではもっとも遅めでしたが、30〜40秒も待ったらこのように吸い始めてきました。

3分程度を経過し、概ね吸水が落ち着いたようです。

「1g対250ml」では若干の吸い残しがありますが、商品説明としては水道水500mlに対し2〜3gで緩いゼリー状と明記されているので、仕様どおりの効果と見ることができます。

せっかくなので水の量は250mlのままに、CP-1を1g追加して倍の「2g」にしてみましたところ、完全に吸いきりました。

「しっとり感」は今回の3種類の中ではもっとも「しっとり」していますが、吸水性樹脂としては外殻崩壊しにくい性質とのことで、水分が漏れ出ることはありませんでした。

こちらも同様に廃棄します。前2種類に比べると、1.5kgパックは圧倒的な存在感があります。なお、簡易トイレ用の処理剤(凝固剤)は、吸水させた使用後はすべて「燃やすゴミ」として捨てることができます。

CP-1は、乾燥時はこのような純白色の粉末状です。なお、人の尿に対して使用する場合は、500mlに対して​5〜10gで廃棄可能なゼリー状になるとのことで、簡易トイレ用途の推奨使用量は1回あたり10gです。4人家族構成としてそれぞれ1人1日あたり5回おしっこをする場合、この1.5kgは約1週間分です。コンパクトな他の2種類に比べれば携行性には欠けますが、まさに「備災用」としては最適でしょう。

「疑似尿」として使用完了した3種類です。サイズ感を把握するため、iPhone5sと比較してみました。

さて、次のページではいよいよ擬似便を使った「うんち」の処理検証です。といっても、汚くはありませんので安心してご覧ください。擬似弁ではありますが、使うのは食品です。

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