2018年5月、日本の大断層帯付近で活発化する地震
2018年は台湾花蓮地震や沖縄近海で数日間の間に20回以上と連続した地震に始まり、新燃岳などを中心とした九州での複数火山の噴火や本州の本白根山噴火などの火山活動が目立っています。
地震に関しては豊後水道や山陰地方でも地震が発生し、島根県での地震では震度5強を観測した大田市内で建物被害が1000件以上報告される被害が発生していました。
そして5月に入り、本州でも気になる地震が起きています。
- 長野県北部で連続した地震(糸魚川 – 静岡構造線に極めて近く)
- 伊勢湾で発生した地震(南海トラフ巨大地震の想定震源域内、断層上)
- 山梨県東部で発生した地震(駿河トラフ・相模トラフ近く)
- 千葉県東方沖で発生した地震(中央構造線の東端、茨城県沖の地震空白部分に近く)
特に長野県北部に関しては「MEGA地震予測」で「北信越・岐阜」という範囲で2月に、千葉県東方沖に関しても「南関東」という範囲で4月に予測が出ていた部分です。
長野県北部で連続した地震は、日本を中心で分断する断層である「糸魚川・静岡構造線」に近接した部分で発生しています。
房総沖や茨城県沖には、東日本大震災後も地震が発生していない「地震の空白域」が存在すると言われ、ここではいつM8クラスの巨大地震が起きても不思議ではない部分とされています。
伊勢湾で発生した地震は、南海トラフ巨大地震の想定震源域内の北側に位置し、ちょうどこの部分には伊勢湾断層帯が存在します。
山梨県東部で発生した地震も駿河トラフと相模トラフの接続点に近い場所が震源となっており、ご存知のとおり、駿河トラフの西側は「南海トラフ」とつながっています。
基本的に、震度1程度の地震や体感しない地震は日本中で毎日のように発生していますが、短期間の間に本州側の巨大断層帯に近い場所で集中するかのように震度3〜5程度の地震が発生すると、警戒感を強めてしまいます。
最近は、規模大きめの地震の発生頻度が上がってきている感もありますので、個人レベルやご家庭においても「備災」の観点から十分な備えをしておきましょう。
「防災」では対応できない大規模自然災害
従来より使われてきた「防災」という言葉と考え方ですが、意味は文字通り災害を未然に防ぐために行われる取り組みです。被災から復旧までを含める場合もあります。
ただ大震災クラスの大規模自然災害となると、防ぐというよりは「発生とその後に備える・起きる被害を減らす」といった方向への考え方のシフトが必要でしょう。
個人レベルで実践できるのは災害に備える「備災」であり、装備(備蓄)に関しては、食料よりも「水とトイレ」の確保が優先度高めです。
大震災直後はほぼ間違いなく断水することになるので水洗トイレが使用不能になりますが、地震で建物内の配管が破損・破壊されている可能性が考えられるため、上水道が復旧したとしても安易に水洗トイレを流すことは危険です。
基本は簡易トイレを利用し、排泄物はすべて「燃やすゴミ」として1〜2週間程度は自宅敷地内で保管することを認識しておきましょう。
この「簡易トイレを利用する」という点においては、意外と精神的なハードルが存在します。
具体的には「ウンチ」をゴミ袋にした後、それを水で流さずに自分の手でゴミ袋の空気を抜き、防臭袋に入れ、保管用容器へ入れるという行動になります。
これは平時に1度くらいは体験しておきましょう。
編集部でも、水道・トイレの無い場所へ簡易トイレを持ち込んだ「備災キャンプ」で、大も小もガチ体験してきましたので、そのレビュー記事も併せてご覧ください。
関連記事:『実践・野外でポータブルトイレを「大」を含めて実際に使う!』
備蓄しておくべき「水」の量の目安
また飲料水に関しては、およその目安として家族4人構成であれば1日に10L必要となります。
災害時の備え「備災」のための水の備蓄としては、1週間で70〜100Lになります。けっこうな量ですね。
2Lのペットボトル入のミネラルウォーターを想定しても、100Lともなれば50本も必要です。
これは編集部スタッフが実際に備蓄している水の一部です。かさばるのは承知ですが、家族4人で2週間耐えられる想定で、合計で200Lは常に確保しています。
古くなったものから調理やキャンプなどで消費して、定期的に新しいものを追加するストック・ローテーションする形にしています。保管スペースが確保できるなら、備えあれば憂いなし。
左側に見えるタンクや青い容器は、20Lサイズの水タンクと5Lサイズのウォーターバッグです。
断水時に給水車が来た時に対応しやすいグッズですが、特に水タンクがあれば別途、ポータブル・シャワーポンプを装着して汗を流したりすることも可能になるので、こちらもオススメです。編集部でも実際に、キャンプの際に簡易シャワーとして活用しています。
備蓄水が無くなった場合の対応
備蓄している水の量が十分でない状態で大震災が発生し、断水。店頭からも買える水が消えてしまった場合にどう対応すべきでしょうか。
例えば、アウトドアや災害時の使用を想定した携帯用の浄水器を用意しておけば最低限、雨水や魚の住む河川などの水を濾過して使う、といった手段も取れます。
amazonでベストセラーになっている「SAWYER MINI」は、登山愛好家の中でも携行していくという方も多い製品です。
また、ソーヤーミニと人気を二分するのが「スーパーデリオス携帯浄水器」。
こちらはソーヤーミニに比べて最大濾過量が少ないものの、ソーヤーミニには無い消臭作用のある活性炭が搭載されています。
山の沢水ではない、平野部の河川の水などを活用せざるをえない場合などに、その威力が期待できますね。
こうしたアウトドア用途にも対応できる携帯用浄水器水では、水に溶け込んでいるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分や重金属やウイルスまでは完全除去できないまでも、山の沢水や魚が生息可能な河川の水であれば、飲用可能なレベルまで浄水することが可能です。
なお、実際に河川水を使用する際には、よほどの事がない限りは濾過した水はいったん沸騰させましょう。
まとめ
まとめとなりますが最後に、少々ショッキングなデータを載せておきます。
画像出典:政府・地震調査研究推進本部による公開資料
現在、南海トラフ巨大地震の発生確率に関しては今後30年以内に70%と言われていますが、今後50年以内まで範囲を広げると、驚くべきことに「93%」まで跳ね上がります。
それだけでなく今後50年以内で考えた場合、北海道沖での地震に関しても85%〜91%と、極めて高い確率となっています。
これはオカルトでも妄想でも与太話でも何でも無く、日本政府の地震調査研究推進本部が発表している「全国地震動予測地図2017年版」の付録にある「海溝型地震の発生確率」です。
日本人の平均寿命を考えた場合、おそらく年齢的に30歳代以下の人たちが生きている間に、間違いなくこれらの巨大地震に遭遇する可能性が極めて高いということです。
お子さんのいらっしゃるご家庭であれば、なおさら不安になるかもしれませんが、だからこそ日頃からの備えと知識に基づいた「生き抜く知恵・生き延びるチカラ」としての「備災」を、個人レベルで実践していきましょう。
具体的には、やはり「キャンプ」がオススメです。
自治体や企業で形式的に行われるいわゆる「防災訓練」は、もちろんこれはこれで重要かつ必要なものですが、啓蒙的側面もあるため「やらなきゃならないからやる」といった意識に傾きがちです。
その点キャンプであれば、個人でも家族でも「楽しみながら」実践することができます。
備災を意識したキャンプであれば、清潔なトイレや電源サイトなどが整った「高規格キャンプ場」よりも、最低限の設備が提供されているキャンプ場を利用して、必要なものをすべて自分たちで用意する、といった形で臨むといいでしょう。
南海トラフ巨大地震や首都直下地震に関しては、過去に例のない規模の被害が予想されているため、避難所すら不足します。政府や自治体などの対応は今まで以上に後手に回ることでしょう。物理的に十分な備えを事前にしておくことは不可能な規模だからです。
とにかく重要なことはただ1つ、「次の大震災がいつ発生するかではなく、発生した時に(個人レベルで)備えがあるか」です。命さえ助かれば、あとは知恵と備えさえあれば何とかなります。
できうる範囲で、しっかりと備えておきましょう。