2019/11/22:茨城県南部で最大震度3, M4.5の地震
2019/11/22の05:23頃、茨城県南部で最大震度3, M4.5の地震がありました。
その約2.5時間前には東京湾を震源とする地震、日付が11/22に変わった直後にも茨城沖でM3.4・宮城沖でもM4.0が発生。
茨城は地震が頻発しているエリアです。
主に関東地方東方沖合・相模湾〜房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近・陸域の深い場所で発生する地震が主だったもの。
茨城県南部では最大震度5弱以上の地震も多めで、近年のものをピックアップすると次のようになります。
2016/05/16 21:23頃, M5.5, 最大震度5弱
2014/09/16 12:28頃, M5.6, 最大震度5弱
2013/11/10 07:37頃, M5.5, 最大震度5弱
2011/07/15 21:01頃, M5.5, 最大震度5弱
2011/04/02 16:56頃, M5.0, 最大震度5弱
2011/03/24 08:56頃, M4.9, 最大震度5弱
概ね数年単位で発生・最大震度4以上で見るとさらに多めであり、関東における地震頻発地帯の1つです。
過去『茨城県南部地震』と呼ばれる大規模地震は、1895/01/18(明治28年)に起きた茨城県の南部、霞ヶ浦周辺を震源とするM7.2・最大震度5の地震。
この地震では死者6人、建物の全壊52棟、半壊76棟という被害が出ています。
文明開化期の明治時代、現在のような最先端の地震研究や災害対策ノウハウも無かった時代の真冬に発生した大地震からの復旧復興には相応の労力と時間が掛かったことが想像できます。
また、茨城県南部同様に地震が多いのが茨城県北部。
近年で注目できる大きめの地震は
2016/12/28 21:38頃, 茨城県北部, M6.3, 最大震度6弱
というものです。このときの地震では負傷者2名などの被害が出ています。
画像出典:政府 地震調査研究推進本部
地震の多い茨城県内においては、意外なことに「確実に活断層である」とされるものはこれまでに知られていません。
日本有数の大断層である「棚倉断層」は存在していますが、これは活断層ではないのです。
(棚倉断層:茨城県常陸太田市と福島県棚倉町の間を北北西から南南東方向へ通る約60キロメートルの横ずれ断層)
棚倉断層は棚倉西縁断層と棚倉東縁断層から構成されていて、その中間に破砕帯があります。これらを含めて「棚倉構造線」も呼ばれ、従来は東北日本と西南日本の境界線と考えられてきました。
(別途、東北日本と西南日本の境界線は利根川構造線であるという見解もあります)
また茨城県の北部の陸から沖合にかけては、棚倉構造線と同様の走向を持つ長さの短い断層が多数分布しています。
東日本大震災以降、これらの断層に次々と正断層型の地震が生じて破損等の被害が発生しているという状況もありますので、今後も長期的な警戒と備えが必要です。
画像出典:茨城県北ジオパーク構想・棚倉断層ジオサイト
(PCの場合、上記画像をクリックするとGoogleMapの航空写真モードで棚倉断層を表示します)
11/22に入ってからは、関東〜東北で次にような地震も発生しています。
2019/11/22 01:01頃, 茨城県沖, 震度1, M3.4, 深さ30km
2019/11/22 01:29頃, 宮城県沖, 震度1, M4.0, 深さ30km
2019/11/22 02:48頃, 東京湾, 震度1, M3.1, 深さ70km
特に茨城・東京で気になるのは首都直下型地震を含む都区部直下型地震。
今後の発生が想定されているものとしては次の通りです。
■都区部直下型地震
M7クラス:今後30年内に約70%の確率で発生する。
■相模トラフ沿いの大規模地震①:大正関東地震タイプの地震
M8クラス:200〜400年間隔で発生し、前回の発生からは約100年が経過。
■相模トラフ沿いの大規模地震②:最大クラスの地震
M8クラス:2000〜3000年間隔で発生し、前回の発生からは約300年が経過。
相模トラフ沿いのM8クラスの巨大地震に関しては当面の心配は無さそうですが、やはり備えなければならないのは首都直下型地震です。
この地震が起きた際の東京湾内での津波は1m以下と想定されていますが、東京の東部に位置する葛飾区・江東区・江戸川区・墨田区など荒川の両岸には海抜ゼロメートル以下の地域が存在しますので、このあたりの地域では避難経路を予め複数パターンで決めておくなどをご家庭レベルで備えが必要です。
また耐震化と火災対策も必要となってきます。住宅密集地で火災時に消防車が入れないような地域も多数あります。
そうした場所では地域一丸となっての消火対応などがより重要になるため、日頃から地域内・お隣近所でのコミュニケーションが取れる状態にしておく必要があります(これは地震に限らず日常的な火災リスクに対しても同様です)。
まずは、お住いの地域のハザードマップは必ず確認しておきましょう。
今後引っ越しや住宅購入などを計画されている場合は、現地のハザードマップの確認を。
災害リスクの高い地域を避けて住む、というのは意外と現実的な対応の1つです。