簡単美味しい百均炊飯!
アウトドア派やキャンパーの皆さんにはお馴染みの「自動炊飯」。専用のクッカーやバーナーが無くても、最安値133円で自作する「簡易クッカー&コンロ」で十分美味しいご飯が炊けてしまいます。炊くご飯の量は1合。必要な米と水の量は、1合160g(無洗米)、水200〜220mlです。
今回は、前回の記事「【検証】100円ショップの固形燃料で簡単湯沸かし!」の続きとなる炊飯編です。炊飯に使うための基本的な100円ショップ・グッズについては、前回の記事をご覧ください。
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今回は、炊きあがりの味や食感を比較するために、別途、アウトドア用のクッカーとコンロ(ユニフレームの山クッカー角型とesbitポケットストーブ)を用意しました。加熱方法は、すべて同じ固形燃料を使用します。
なお、アウトドア用のクッカーを利用した一般的な炊飯方法は、別記事の「【備災メシ】基本のクッカー炊飯」をご覧ください。
試食結果
以上でアウトドア用クッカー、100円ショップの片手鍋、同じく100円ショップのパウンドケーキ型で炊いた3種類が炊きあがりましたので早速試食してみました。米と水の量、いずれもまったく同じ。結論としては、いずれも味も食感も差異は感じられません。新米だったため少々水が多かったかとも思いましたが、この撮影のためにフタを取ったまま少々時間が経って表面の水分が飛んだ結果、ちょうどよい食感に。芯も残っておらず、十分に美味しいご飯としていただくことができました。
今回、アウトドアクッカーはユニフレームの「山クッカー角型3」の小鍋を使用しましたが、セット売価でおよそ7000円弱(2016年12月現在)の小鍋で炊いたご飯と、100円ショップの製菓用「パウンドケーキ型」を使い133円程度で自作した簡易クッカーで炊いたご飯とで、仕上りにも味にも大差が無かった点も面白い結果でした。
固形燃料を中心に100円ショップの商品を使って、十分に美味しい炊きたてご飯を作れることが判りました。注意点としては、ステンレス製やチタン製の鍋は炊飯に向かない(焦げ付きやすい)ので試す場合はご留意を。薄手のアルミ鍋やアルミ素材なら問題なく固形燃料で炊飯が可能です。
日本人の食生活からは切っても切れない主食の「ご飯」。海外での主流である長粒米とは異なる粘り気と強い旨味と甘味・良好な食味を持つ日本独自の米とご飯はある意味完成された食文化であり、長年に渡る国内の稲作・米穀産業に携わってきた先人たちの努力の賜物です。
美味しいお米を美味しく炊きたい・しかも便利で気軽に日々の食卓に、という理念から1950年代半ばに生まれたのが「電気炊飯器」。火加減の自動調節から始まり、保温機能、タイマー機能、電磁加熱式のIH炊飯ジャー、真空圧力炊きなど進化を続けてきましたが近年では原点回帰ということなのか、昔の「かまど炊き」を目指した羽釜や土鍋の機能を再現したモデルも出てきました。
かまど炊きといえば昭和初期までは、ご飯を炊く道具は「竈(かまど):wikipedia」でした。この頃はいわゆる「土間(どま)」がある家庭も多く、薪を燃やして調理をしたものです。火加減が難しい竈での調理は煙にまみれて大変だったと聞きます。近年の高機能炊飯器が目指し始めたのは、この昭和の時代の炊飯の原点ということかもしれません。
現代に生きる私たちにとってご飯を炊くのは電気炊飯器が当たり前、それも高機能で高価格帯のものならさらに美味しいと思い込んでいます。しかし、実際にはこうしてご飯はシンプルな道具で簡単に炊くことができて、そして十分に美味しい。100円ショップ商品で構いません、ぜひ固形燃料での自動炊飯を試してみてください。ご飯が思った以上に炊けることを実感できると思います。
近年では食事の多様化によって日本人の米の消費量は減少の一途を辿り、追い打ちをかけるかのように「低糖質ダイエット」で炭水化物を摂らない方々が増えています。ですが米は毎日の身体のエネルギー源としても良質ですし、長期備蓄にも向いた食材です。過去の震災でも、避難所で最初に支給される支援物資の食事は米を炊いて作られた「おにぎり」でした。
そんな今だからこそ、お米の価値とご飯を食べる機会・そして炊飯方法を見直してみてもいいのではないでしょうか。次に震災が発生したとき、避難所でオニギリ1個を受け取るために1時間2時間と行列に並ぶことになるのか、それともしっかり準備をして在宅避難で温かい炊きたてご飯を食べられることになるのか。「備災」とはそういう点も考えるということですね。備えあれば憂い無しです。