一人用クッカーとしては高い定評のある銘器「メスティン」の大型バージョン。3〜4人前・最大3.5合の量の米を美味しく炊き上げる能力を備え、収納性も実用的、調味料や食材・様々な小物を入れての携行が可能。
スウェーデンのtrangia(トランギア)社製のアルミ製クッカー「ラージ メスティン」。一人用アウトドア用クッカーとしては不動の地位を誇る「メスティン」の大型版。コンパクトで可愛らしさすら感じる「メスティン」を美女に例えるなら、こちらは野獣とも言える頼もしさ。最大で3.5合のご飯を炊き上げ、野菜炒め程度ならあっという間に出来上がる。ファミリー向けの備災用クッカーとしても十分な能力を発揮してくれる。
・ノーマルサイズのメスティンに比べ、かなり大型。
・大型ゆえ、ノーマルメスティンにはない扱いやすさがある。
・3〜4人用のご飯を炊くのに最適。(ノーマルサイズは1〜2人用)
・食材や小物などを詰め込めるため、携行性は意外と高め。
・炒めモノなら「フタして火にかけ振りながら2〜3分」で出来上がる手軽さ。
サイズ感をスマホと比較。iPhone6s plusとiPhone5sに比べても、けっこうなサイズです。昭和のアルマイト製弁当箱を彷彿とさせるルックスに、意外と懐かしさを感じるかたもいらっしゃるのでは。
ノーマル メスティン同様、使い始めはアルミのフチの「バリ取り」が必要です。百均やホームセンターでサンドペーパーを調達して、ひと仕事。長く使うもの、丁寧に仕上げましょう。
メスティンどうしでのサイズ比較。手前がノーマルサイズ、奥がラージメスティン。ラージメスティンの中には、ノーマルメスティンがすっぽり収納できます。実際の使用時には、クッカーは複数あったほうが調理の幅が広がるので両方揃えるのもオススメ。人数に応じて片方で炊飯やパスタを茹でるなど主食を準備しつつ、他方で副菜の調理などをおこないます。
「銀シャリ炊飯」
何はともあれ、まずはご飯を炊きます。備災用としては無洗米がオススメ。30分吸水、米2合なら固形燃料2個で自動炊飯。ほんのり香ばしさが感じられたら火から降ろして15分蒸らしで美味しいご飯の炊きあがり。
「銀シャリ炊飯②」
ご飯を寄せて底の状態を。水加減を間違えずしっかり吸水させれば、焦げ付きはほぼありません。慣れたらおコゲすら無い完璧な状態で炊きあげることもできます。
「フタ上での簡易調理」
炊飯中に缶詰めやレトルト食材をフタの上に載せておけば、炊きたてご飯と一緒に温かい副菜を簡単に楽しめます。
「いなばのタイカレー・ライス」
アウトドア・ユーザーの間でも評判の高い「いなばのタイカレー」でカレーライス。備災生活・アウトドア共に楽しめる、美味しい食事です。
「焼き鳥缶を使った野菜炒め」
長期保存が効き手軽に使えて美味しい肉類となれば、酒の肴の定番、焼き鳥の缶詰め。いざ震災となった場合、初日であればまだ冷蔵庫に野菜類なども残っているでしょう。その野菜と焼き鳥缶をタレごと使い、フタをして火にかけ優しく振って2〜3分で美味しい肉野菜炒めの出来上がり。チューブ生姜などあれば入れるとさらに美味。
炊飯用途には固形燃料を利用するテッパン的な「esbit(エスビット)ポケットストーブ」と。固形燃料は百均で入手できます。併せてユニフレームの「バーナーパッド」を敷くと底面にあたる炎に広がりを持たせられるため、ただでさえ焦げ付きにくい構造が更に焦げ付きにくくなります。
カセットボンベ(CB缶)を利用するレギュレータ・ストーブ「SOTO ST-310」と。このカセットボンベも百均で気軽に入手できる燃料です。固形燃料を使うポケット・ストーブとカセットボンベを使うガス・ストーブの2種類を備えておけば、まず調理には困りません。最初に買う熱源に迷ったらこの2つ。
燃料用アルコールを利用するアルコール・バーナー&バーナーパッドと。アルコール・バーナー用の燃料用アルコールは、街なかのドラッグストアで普通に入手可能です。500mlで300円程度と価格も手頃。固形燃料やカセットボンベに慣れてきたら、こちらにも手を出してみましょう。
こちらは、薪などを燃料として利用するウッドストーブ「Ohuhu AS812」と。カセットボンベも固形燃料も無い、という場合に威力を発揮します。枯れ木や木材、割り箸や牛乳パックなども燃料になります。AS812はそれらに加え、標準で燃料用アルコールや固形燃料を燃やすための受け皿が付いてくるためマルチ・フューエルで活用できることと、「小さな焚き火」として利用できるので秋冬などでも屋外でちょっとした暖を取る手段にも使えます。
同じくウッドストーブである「VARGOヘキサゴンウッドストーブ」。Ohuhuのものよりさらに小型、チタンモデルなら火を使うほどに美しい焼色が付いていきます。枯れ枝・落ち葉、カットした薪、割り箸、牛乳パックなど様々なものが燃料になり、固形燃料やアルコール・バーナーとの相性もよし。
熱源ではありませんが、他のクッカー類との比較写真。形状・サイズはそれぞれですが、ラージメスティンには一定の存在感がありますね。
米2合を炊くときの水加減は、ちょうどこの2つのリベットの中央。無洗米を2合入れたら水をこのラインまで追加すれば、バッチリの水加減となります。吸水時間はできるかぎり最低30分は掛けましょう。
左はラージメスティン、右はノーマルメスティン。ラージなら袋入りラーメンが丸ごと調理できます。
収納観点で見ると、ラージメスティン内にノーマルメスティンがすっぽり入ります。底面に見える網状のものは、蒸し料理に便利な「長バットアミ 18型」。焼売や肉まんなどを蒸すのに便利。
小物系を収納。esbitポケットストーブ、その下に防風用のウィンドスクリーン、固形燃料2個、着火用のSOTOガストーチ、その下にスプーンとフォーク類など。
米2合、フリーズドライのスープ、その下に着火用のSOTOガストーチ、焼き鳥缶、その下にesbitポケットストーブ、固形燃料2個の収納例。これでフタも閉められます。
軽食・コーヒー仕様。2人分の食器類と小型のシャモジ、ドリップコーヒーを入れるためのユニフレーム製「コーヒーバネットcute」を。
ファミリー向け調理を想定した備災用クッカーとしては、なかなかの使い勝手の「ラージ メスティン」。ノーマルサイズには無い、この大きさならではの使いやすさがプラスされます。メスティンを買うなら主菜・副菜の同時調理をおこないたいもの、ラージとノーマルの2つセットがオススメです。炊飯時には若干の吹きこぼれがあるため、ウェットティッシュなどを用意しておき、食事が終わったら拭き取ると良いでしょう。
なお、使い込んでいくとアルミ素地が水分と反応して生成された水酸化アルミニウム(人体には無害な物質)が水分中のミネラルと反応して黒ずみが出てきます。一般的な「雪平鍋」などと同じ黒色化反応です。放っておいても問題はありませんが、水を注ぎレモンの輪切りなどクエン酸を含む食材を入れて煮れば解消することができます。