トップ 読み物 【特集】メスティンに「こびりつき防止」のフッ素樹脂(テフロン)コーティング!

【特集】メスティンに「こびりつき防止」のフッ素樹脂(テフロン)コーティング!

アルミクッカーの代表作とも言えるtrangiaの「メスティン」と、その大型版「ラージメスティン」の2つに、あこがれのフッ素樹脂コーティングを敢行!使い勝手が最高のアルミクッカーに生まれ変わる!

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「メスティン」のコーティング(前ページ)
「ラージメスティン」のコーティング(前ページ)

素材厚が薄いアルミクッカーにフッ素樹脂コーティングをおこなう際の注意点

フッ素樹脂コーティングは、素材表面にフッ素樹脂を塗装し高温での熱処理をして溶融させることでコーティングをおこないます。この際、フッ素樹脂を塗装される素材側の性質によっては「焼き鈍し(やきなまし)」と呼ばれる現象が起き、コーティング前よりも素材自体が若干柔らかくなります。

メスティンは無垢のアルミニウム製で、アルミニウムの融点は660℃と低めです(ステンレスは1400℃、鉄は1500℃、チタンは1660℃程度)。そのため、メスティンのフッ素樹脂コーティングをおこなった場合、焼き鈍しにより若干全体的に柔らかくなります。
もちろん、丁寧に扱って常識的な方法で調理をおこなう上では特に問題はありません。

メスティンのフッ素樹脂コーティングにご興味のある方が結構多いので、取り扱いに関する注意喚起ということで、実際の変形例をお見せします。

コーティングしたメスティンは、表面や側面を強く押し込むとこのように変形します。これが「焼き鈍し」によるものです。もちろん手荒な扱いをしなければこのような変形はしませんが、ノーマルなメスティンよりは素材的には多少弱くなっています。

へこみ部分を接写したもの。アウトドアユースで粗雑にスタッキングしてザックの下の方にに放り込んだ上にさらに重量のある荷物を詰め込めば、当然こうなります。それでもコーティングしたメスティンの快適さは筆舌に尽くしがたいものがあります。チャレンジされる方はこの点にご注意を。

なお、少々変形した程度なら逆側から押し戻せばもとに戻ります。アウトドア派ではないが備災用途に使いたいという場合なら、これ以上快適な軽量アルミクッカーは存在しないと言ってもいいでしょう。

フッ素樹脂コーティングされたメスティンの扱い方

フッ素樹脂コーティングの調理器具を長く安全に使うには多少のコツが必要です。コーティング版メスティンの扱い方のポイントは次の3点です。

フッ素樹脂コーティングされたメスティンの扱い方
 ① 
高温調理や空焚きNG、バーナーの火力は中弱火で。調理中の油の温度で言うならば180度以下で調理する(揚げ物一般の油温と同じ)。
 ② 
丁寧に扱う(強く握ったら潰れます)。またコーティング面に傷を付けないよう、調理に使う菜箸やヘラ類に金属製は使わず、角が丸く柔らいものを選ぶ。
 ③ 
理時は少量の油をひく。油をひかなくて良いと言われるフッ素樹脂コーティングだが、油にはコーティング面を保護する作用がある。

メスティンに限らず、家庭用のフッ素樹脂コーティングのフライパンや鍋類も同様です。
(参考情報:ティファール:http://www.club.t-fal.co.jp/products/CW/stackable/navi/use-care/

フッ素樹脂コーティング調理器具の安全性について

しばらく前に、「テフロン加工は絶対NG、デュポン社が隠したテフロンの有害性」という話がネットで広くシェアされました。実際のところはどうなのでしょうか。

先に結論から言ってしまえば、現在製造されているフッ素樹脂コーティングの調理器具は「安全」と言えます。そのことを象徴する重要な業界発表が、ダイキン工業株式会社より2016年3月31日付で出されている『フッ素化学製品におけるPFOA及び関連化合物の製造、使用全廃について』
http://www.daikin.co.jp/press/2016/160331/
という資料です。重要なポイントは、フッ素樹脂製品の製造時に微量使われていた危険性のある物質は全廃された、という点です。

たしかに、米デュポン社は過去に「テフロンの製造時に使用される」PFOAという有害な化学物質を工場から近くの河川に流していたため飲料水のPFOA汚染が発生し、その件に対して2001年に地域住民などから約3500件の訴訟(C-8集団訴訟)が起こされました(和解成立済み)。

ですが、この件をもって「テフロンは危険、使用を中止しよう」という論調は、「包丁は殺人や自殺の手段になるから危険、使用を中止しよう」というのと同じレベルで論拠を持ちません。

一般的にフッ素樹脂は360℃以上の過度な高温になると、分解して有害なガス等を発生すると言われます。例えば、平成22年に神奈川県の消費生活課がフッ素樹脂コーティングのフライパンのテストをおこなっていますが結果として、空焚きを続けてコーティング面の温度が400℃を超えたところで熱分解が発生、423℃で有毒なガスが発生しています。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f370222/p440348.html

しかし、通常の調理でもフライパンに調理用油を入れて加熱した場合、上記の温度から遥かに低い230℃程度で油から煙が発生します。この時点で油は酸化が進み傷んだ状態で、調理に適しているとは言えません。煮る・焼く・炒める・揚げるといった一般的な調理温度は多くの場合は180度程度です。

では、フッ素樹脂を過剰加熱した際に発生する有害物質ではなく「フッ素樹脂そのもの」の安全性についてはどうでしょうか。コーティングされたフライパンを長期間使っていると徐々にコーティング面が剥がれてきます。調理した食品にも少量混ざっているはずです。ここに、国の食品安全委員会が公開しているフッ素樹脂に関する資料(ファクトシート)があります。
http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/f02_fluorocarbon_polymers.pdf

国際的な研究結果の結論として記載されていることは、
「はがれ落ちたコーティングの薄片を飲み込んだとしても体に吸収されず体内をそのまま通過し、ヒトの体にいかなる毒性反応も引き起こさないため有害な影響はない」
ということです。

フッ素樹脂コーティングのフライパンからコーティング由来の有害物質が人体に影響のあるレベルで発生する状況と言うのは、もはや調理ではなくフッ素樹脂コーティングの限界を試す化学実験と同じですので、そのような極端な状況下での危険性を調理の常用環境に当てはめること自体が、不適切といえます。

まとめ

メスティンのコーティングに限らず、フッ素樹脂コーティングしたフライパン等の調理器具を、取扱説明書どおりに常識的に使用する場合は、安全で長く使うことが出来ます。
ポイントを再整理すると

①高温&空焚きNG(揚げ油に当てはめた180℃以下で)
②食材をかき混ぜるヘラやスプーンなどは、角丸の柔らか素材で(シリコンヘラならベスト)
③少量の調理油をひく(コーティング保護作用)

の3点です。
便利なフッ素樹脂コーティングの調理器具は、用法を守って楽しく便利に使いましょう。
コンパクトなクッカーをフッ素コーティング仕様にカスタマイズしてアウトドアで活用するのは、なかなか贅沢な楽しみ方です。

もちろん備災用途としても秀逸な調理器具となります。家庭用フライパンと違い、小さな火力でもすぐに温まるだけでなく、調理時のこびりつきも無く後始末もコーティング面をさっと拭くだけ。被災時の水も燃料も限られた状況でも、コンパクトに大活躍してくれること間違い無しです。

(以上)


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