非常持出袋に同梱されている非常食
この非常持出袋に含まれる「非常食」は、シンプルにアルファ米2食分のみです。アルファ米自体は、登山やアウトドア用途としても比較的ポピュラーなもの。お湯か水を入れて待つだけでご飯を食べられます。メーカーとしては、アルファー食品株式会社、尾西食品株式会社、株式会社サタケなどの製品が入手しやすいでしょう。基本的に5年程度の賞味期限が設定されていて備蓄品としても定番です。
アルファ米を食するにあたり「水でもOK」というのがポイント。お湯のほうがもちろん美味しいわけですが、いざというときに水でもご飯作れるのはアルファ米のメリットの1つ。2人用で2食しかないので、実質一人1食分。かさばりにくいパッケージなので、余裕があれば別途買い増しをしておくといいでしょう。
原材料は「うるち米」。要は私たちが日常的に食べているお米と同じものです。アルファ米とは、炊いたお米を急速乾燥させたもの。詳しくは、主要3社のアルファ米解説ページを見てみるといいでしょう。
・尾西食品株式会社「アルファ米を知る」
・株式会社サタケ「マジックライス 保存食シリーズ」
・アルファー食品株式会社「アルファ化米とは」
なお、アルファ米だけでは副菜(おかず類)が無いので、缶詰類やフリーズドライ食品も併せて備蓄しておくとより豊かな食事を摂ることができます。
この非常持出袋に含まれるアルファ米は、イスラム教のHALAL認定を受けたもの。食事に関する戒律もあるイスラム教信徒のかたでも安心して食べることができます。「日本災害食」認証も受けた商品でもあります。
非常持出袋に同梱されている救急治療セット
ポーチ含めて9点のファーストエイド・セットです。用途としては擦り傷・切り傷などの軽症の応急処置に対応できる程度となりますが、消毒液や包帯・常備薬などは含まれませんから、こちらは別途追加しておきましょう。花粉症の方なども自分の体質にあった薬のご用意を。
もう1点追加しておきたいのは「眼薬」。倒壊や半壊した建物のそばを避難したり被災地で長い時間屋外に居たりすると目にホコリが入ります。そうした場合に備えて、人工涙液型の眼薬を用意しておくと便利です。
いわゆるドライアイ用の刺激が少ないものは、簡易的な洗眼用にも使えます。オススメは参天製薬の「ソフトサンティア」。主成分は塩化カリウムと塩化ナトリウムのみ、防腐剤は無く小容量で避難時の洗眼にもピッタリ。ドライアイの方にはお馴染みのものです。
非常持出袋に同梱されている「マルチツール」
いわゆる十徳ナイフです。ナイフやハサミ、缶切り栓抜き・ドライバーなど複数のツールを1つのグリップ内に収めたもの。特にナイフ・ハサミ・缶切りあたりはあるととても便利です。サイズも小さいため、リュックの底やポケットに入れておくと何かと使えます。
マルチツールはアウトドア用途でもとても重宝するもので、左は少々本格的なアウトドア用。LEATHERMAN(レザーマン)というブランドの「ウィングマン」です。編集部スタッフも日常的に愛用していますが、非常持出袋用としてはおそらくオーバースペック。同梱品の右側のマルチツールは一度は使い方を確認しておきましょう。
同梱品のマルチツール(右)とレーザーマンのもの(左)を格納状態で並べたところ。とてもコンパクトであることが判ります。避難時にコルク抜きをコルク抜きとして使う場面はまず無いとは思いますが、ちょっとした穴あけなどに使えます。
その他:給水バッグとレインポンチョ
非常用給水バッグが同梱されています。どちらかと言えば震災直後の3日間というよりはその後の自治体や自衛隊の給水車が活動を開始した頃から便利に使えるものですが、避難所や公園などの上水道が無事であれば避難直後から十分活用でき、使用しないときは小さく丸めておけます。初動避難時には多くの水を持ち歩く余裕は無いことが多いので、やはりあると便利です。
使い方のポイントとしては、持ち手部分が指4つぶんの孔となっているので、素手よりは軍手をして持ったほうがいいという点。最大5リットルの水量を運べますが、それは5kgの荷物を運ぶことを意味します。指が痛くならないよう、軍手の着用がオススメです。もちろん、この非常持出袋には最初から軍手が含まれます。
雨天時用を考慮して、レインポンチョが同梱されています。上半身を大きく覆えるタイプですのであれば安心ですが、こちらは2人用セットで1点のみ。できれば買い増ししておきたいところです。
レインポンチョは雨天対策だけでなく、夏場以外であれば暖を取るためにアルミブランケットを着用した上に着ることで体温低下を防ぐことができます(汗をかくような場合には逆にその後に身体を冷やすことになるので注意が必要です)。また、緊急時に簡易トイレを使う際の覆いとして使うこともできます。
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